ドル円、一時2週間ぶり安値圏へ続落。ユーロは年初来高値を大幅更新
〇ドル円欧米株の上昇を背景にドル売り強まり一時103.68まで下落
〇ユーロドルFTA合意期待、小売売上高の良好に18年4月以来の高値1.2177まで急伸
〇株高ドル売りの持続性、コロナ関連ヘッドライン、米雇用統計注視
〇雇用統計次第では11/6安値103.17試す展開か
〇本日の予想レンジ:103.30ー104.30
3日(木)の外国為替市場でドル円は下落。@欧米株の上昇(米共和党マコネル上院院内総務が追加経済対策の交渉に前向き→追加経済対策期待再燃→株高)を背景としたリスク選好のドル売り(特に対欧州通貨でのドル売りが活発化。ドル指数は2018年4月以来の安値更新)や、A米中対立激化懸念(トランプ米政権は中国共産党の党員及びその家族による米国への渡航を制限)、B上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り、C米11月ISM非製造業景況指数(結果55.9、予想56.0、前回56.6)の冴えない結果(6ヵ月ぶり低水準)が重石となり、米国時間午後にかけて、約2週間ぶり安値となる103.68まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、103.94近辺で推移しております。
3日(木)のユーロドル相場は年初来高値を大幅更新。@新型コロナワクチンの実用化期待や、A短期筋のショートカバー、B英国と欧州連合のFTA合意期待(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)、Cユーロ圏10月小売売上高(結果4.3%、予想2.6%)の良好な結果、D欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、約2年7ヵ月ぶり高値となる1.2177(2018年4月26日以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、1.2140近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日も一時103.68まで下落するなど、上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、12月FOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米11月シカゴ購買部協会景気指数、米10月住宅販売保留指数、米11月ISM製造業景況指数、米11月ADP雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数は軒並み冴えない結果)、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方。新型コロナワクチンに対する過度な期待の後退)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。欧米株や欧米長期金利の動向(株高が続くか否か)や、ドルインデックスの動き(ドル売りが続くか否か)、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米経済指標の結果(今週のメインイベントである米11月雇用統計など。今週発表された米経済指標が軒並み冴えない結果となったことから、今晩の米雇用統計の下振れリスクが高まりつつある)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(日本時間22:30に発表される米雇用統計が冴えない結果となれば、ドル売りの流れが一段と加速し、11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17を試す展開も想定)。
本日の予想レンジ:103.30ー104.30
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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