ドル円見通し 11月24日深夜高値からの下げ幅に対する半値を戻す(20/12/1)

NYダウが反落したことやユーロドルが9月1日高値にあと一歩まで迫ってから反落したことでドル高感がぶり返し、1日朝には104.40円まで戻した。

ドル円見通し 11月24日深夜高値からの下げ幅に対する半値を戻す(20/12/1)

ドル円見通し 11月24日深夜高値からの下げ幅に対する半値を戻す

〇ドル円、11/30午前に103.83まで下落したが夜にドル高感ぶり返し、12/1朝104.40まで戻す
〇11/24深夜以降の下げ幅に対する半値戻しを若干超えるところまで回復
〇NYダウ・ナスダックともに前日比で下落、発表された米経済指標は冴えない結果に
〇ドル指数、11/30安値で91.50をつける、9/1安値を割り込み3月以降の安値を更新
〇ユーロドル、高値警戒感やリスク回避感がややぶり返し、9/1高値目前で失速気味
〇104.10を上回るうちは上昇余地あり、104.50超えからは11/24深夜高値104.75試しとみる
〇104.10割れからは11/30朝安値103.83試しとし、底割れからは103円台前半への下落を想定

【概況】

ドル円は11月30日午前に103.83円まで下落して27日午後安値を割り込み、11月24日深夜高値104.75円以降の安値を更新したが、午前中で下げ止まり、夜は米経済指標が冴えない中でNYダウが反落したことやユーロドルが9月1日高値にあと一歩まで迫ってから反落したことでドル高感がぶり返し、1日朝には104.40円まで戻した。24日深夜以降の下げ幅に対する半値戻しが104.29円であり、半値戻しを若干超えるところまで回復したことになる。
30日午前は期末での国内輸出企業によるドル売りや日経平均の下落等で当初はドル安円高となったが、ドル売り一巡後は買い戻しの動きが優勢となった。中国国家統計局の11月製造業PMIが予想を上回ったことで買われた人民元が戻り売りに反落した流れとも同調して戻した印象もあった。

【米国株高一服、米経済指標冴えず】

30日夜はNYダウが前日比271.73ドル安と下落、3万ドル到達後は上値が重くなっていたこともあり利益確定売りに押された。ナスダック総合株価指数も30日に取引時間中の史上最高値を更新したものの高値警戒感から失速して前日比7.11ポイント安とマイナスで終了した。株安によるリスク選好感の後退もあってユーロドルが反落するなど深夜はドル高優勢となり、ドル円も1日朝へ戻り高値を切り上げた。米10年債利回りは週末からの横ばいの0.84%、30年債利回りは0.01%低下の1.57%で小動きだった。

米モデルナ社は30日に同社ワクチンの緊急使用申請を米当局に行った。
パウエル米連銀議長は議会証言で「最近数か月の景気回復ペースが緩やかになった」「コロナ感染再拡大により当面は著しい試練と不確実性が続く」「景気回復を後押しするためにあらゆる手段を講じる」と述べた。
バイデン新政権体制ではイエレン元米連銀議長が財務長官に正式指名された。
米MNIインディケーターズによる11月のシカゴPMIは58.2で前月の61.1から低下、市場予想の59.0を下回った。米不動産業者協会(NAR)の10月中古住宅販売仮契約指数は前月比1.1%低下で市場予想の1.0%上昇を下回った。

新型コロナウイルス世界感染者累計は6350万人を超えた。米国は1390万人超、欧州もロックダウンにより減速しているものの依然として高水準の感染増が続いている。足元の感染拡大と不況長期化への懸念、ワクチン承認・普及による経済活動正常化への期待バイデン政権発足からの景気対策期待が入り混じる中で株高基調は調整を入れながらも継続し、為替市場のリスクオン優先でのドル安基調も継続している印象だが、ドル円としては11月9日から11月23日までの下げ一服、11月6日安値割れ回避でやや様子見の動きというところか。

【ドル指数は9月1日安値を割り込み3月以降の安値を更新、ユーロドルは9月1日高値目前で失速気味】

ドル指数は11月30日安値で91.50を付けて9月1日安値91.74を割り込み、2018年4月末以来の安値水準となった。3月20日天井以降、3月27日までの当初急落を一段目、9月1日安値までを二段目とすれば、底割れにより三段目の下落期に入った可能性がある。わずかな安値更新にとどまって深夜から戻したためにダブルボトム形成で持ち直す可能性もあるが、92.50以下での推移が続くようだとさらに安値更新するところからは三段目の下落期入りという印象がかなり強まると思われる。
ユーロドルは30日深夜に1.2003ドルまで上昇して9月1日高値1.2009ドル以来の高値となったが、1.20ドル台到達に対する高値警戒感や米経済指標が冴えずにNYダウが反落したことでリスク回避感がややぶり返して反落している。ドル指数と逆に、9月1日高値とのダブルトップ形成に終わる可能性もあるが、高値更新へ進めばダブルトップ破りによる先高感が強まると思われる。ただし、パンデミックの拡大による不況長期化懸念、英国とEUの離脱猶予期限が迫る中でFTA交渉が合意に至らないこと等による不透明感も抱えているところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月30日午前安値からの反騰で直前の下げ幅の半値戻しを超えたため、30日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとみる。高値形成期は24日深夜高値を基準に12月1日深夜までの間と想定し、すでに反落注意期にあるとみる。104.10円以上を維持するうちは高値更新余地ありとみるが、104.10円割れからは下げ再開と仮定して30日朝安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとみて12月3日朝から7日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では30日深夜の上昇で遅行スパンが好転し先行スパンも上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は27日午後安値から30日朝への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反騰入りした。70ポイント手前に抵抗感が出ているが、50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとし、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.10円を下値支持線、104.50円を上値抵抗線とする。
(2)104.10円を上回るうちは上昇余地ありとし、104.50円超えからは24日深夜高値試しとみる。104.70円以上は反落注意とするが、104.20円以上での推移なら2日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)104.10円割れからは30日午前安値103.83円試しとし、底割れからは103円台前半への下落を想定する。103.25円以下は反騰注意とするが、104.00円以下での推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/1(火)
休場、フィリピン(ボニファシオの日)、インド(シーク教ナナック生誕日)
09:30 (豪) 7-9月期 経常収支 (4-6月 177億豪ドル、予想 71億豪ドル)
09:30 (豪) 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 15.4%、予想 -3.0%)
10:45 (中) 11月 財新製造業PMI (10月 53.6、予想 53.5)
12:30 (豪) 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
17:50 (仏) 11月 製造業PMI改定値 (速報 49.1、予想 41.9)
17:55 (独) 11月 製造業PMI改定値 (速報 57.9、予想 57.9)
17:55 (独) 11月 失業者数 前月比 (10月 -3.50万人、予想 0.80万人)
17:55 (独) 11月 失業率 (10月 6.2%、予想 6.3%)
18:00 (欧) 11月 製造業PMI改定値 (速報 53.6、予想 53.6)
18:30 (英) 11月 製造業PMI改定値 (速報 55.2、予想 55.2)

19:00 (欧) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 -0.3%、-0.2%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (加) 7-9月期 GDP 前期比年率 (4-6月 -38.7%、予想 47.0%)
23:45 (米) 11月 製造業PMI改定値 (速報 56.7、予想 56.7)
24:00 (米) 上院銀行委員会・新型コロナ緊急対策四半期報告(ムニューシン米財務長官、パウエルFRB議長)
24:00 (米) 11月 ISM製造業景況指数 (10月 59.3、予想 57.8)
24:00 (米) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.3%、予想 0.8%)
26:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
26:00 (米) ブレイナードFRB理事、討論会参加
27:15 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
29:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、地域会議での開会挨拶

12/2(水)
08:50 (日) 11月 マネタリーベース 前年同月比 (10月 16.3%)
09:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、経済委員会で議会証言
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 -7.0%、予想 2.4%)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 -6.3%、予想 -4.5%)
14:00 (日) 11月 消費者態度指数・一般世帯 (10月 33.6、予想 33.0)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 -2.4%、予想 -2.3%)
19:00 (欧) 10月 失業率 (9月 8.3%、予想 8.4%)

22:15 (米) 11月 ADP・非農業部門民間雇用者数 前月比 (10月 36.5万人、予想 43.0万人)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:00 (米) 下院金融サービス委員会証言 (ムニューシン米財務長官、パウエルFRB議長)
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、記者会見
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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