ドル円、下落後に持ち直す展開。月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いが背景(12/1朝)

30日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。

ドル円、下落後に持ち直す展開。月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いが背景(12/1朝)

ドル円、下落後に持ち直す展開。月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いが背景

〇ドル円 ドル安の流れ続き一時103.83まで下落するも、104円台前半に反発
〇月末フィキシング、欧米株下げ幅縮小、モデルナ社の欧米でのワクチン使用許可申請報道がサポート
〇ユーロドルリスク選好回復等で一時1.2004まで上昇
〇ドル円テクニカルの地合い弱く引き続き11/6安値103.17がターゲット
〇欧米株、米長期金利、新型コロナウイルス、ワクチン報道、米経済指標要注視
〇本日の予想レンジ:103.80ー104.60

海外時間の為替概況

30日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。先週来続くドル安の流れ(ドル指数は年初来安値を更新し、2018年4月以来、約2年7ヵ月ぶり低水準)を背景に、アジア時間朝方にかけて、一時103.83まで下げ幅を広げるも、@欧米株の下げ幅縮小を背景にリスク選好の円売りが強まると、A米モデルナ社による「欧米で新型コロナワクチンの認可申請を行う方針」との一部報道や、B月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローも支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値104.39まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.30近辺で推移しております。尚、バイデン氏は次期財務長官に前FRB議長のイエレン氏を起用する方針を明らかにしましたが、市場の反応は限定的となっております。

30日(月)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@欧米株の上昇を受けたリスク選好のドル売り圧力や、Aドイツ11月消費者物価指数(結果▲0.3%、予想▲0.2%)の予想比下振れ(物価下押し→実質金利上昇→ユーロ高)、B短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時1.2004まで上昇しました(約3ヵ月ぶり高値圏)。しかし、9/1に記録した直近高値1.2012をバックに伸び悩むと、C欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大や、DECBによる根強い追加緩和観測、E欧州当局者によるユーロ高牽制の思惑(1.20アッパーでは口先介入に警戒)、F英国と欧州連合のFTA交渉の先行き不透明感、GラガルドECB総裁によるハト派的な発言(金利はかなりの期間にわたって低水準を維持する)、Hロンドンフィキシングに絡むドル買いフローが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1942まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1950近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日も一時103.83まで下げ幅を広げるなど、11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17が引き続き射程圏内)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、12月FOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(昨日発表された米11月シカゴ購買部協会景気指数、米10月住宅販売保留指数は共に冴えない結果)、B米中対立激化懸念(一部メディアによると、トランプ米政権は中国企業2社をブラックリストに追加する方針)、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、上値の重い展開が想定されます。欧米株や欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米経済指標の結果(米11月製造業PMI、米11月ISM製造業景況指数、パウエルFRB議長発言など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ドル売り基調の継続を予想)。

本日の予想レンジ:103.80ー104.60

注:ポイント要約は編集部

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