ドル円見通し 104円台をいったん回復するも失速、11日深夜以降の下降チャンネル内(20/11/20)

104.21円まで戻したが、104円台を維持できずに失速しており、18日深夜安値割れに余裕が乏しくなっている。

ドル円見通し 104円台をいったん回復するも失速、11日深夜以降の下降チャンネル内(20/11/20)

ドル円見通し 104円台をいったん回復するも失速、11日深夜以降の下降チャンネル内

〇ドル円、11/19夜104.21まで戻したが104円台を維持できずに失速、11/18深夜安値割れに余裕乏しい
〇11/19夜ユーロドルが下落したが深夜以降に持ち直し、ポンドドルも反発したことでドル安感ぶり返す
〇11/19発表の米経済指標、強弱まちまち、市場の反応限定的
〇NYダウ、11/19前日比44.81ドル高と小幅上昇、続落した後の戻りとしては鈍い
〇欧米に加え日本の感染拡大もリスクオフ的な円高要因として上値を重くしている印象
〇104.21を下回るうちは一段安警戒とし、103.65割れからは103.17を目指すとみる
〇104.21を上抜く場合はいったん戻し、104.50前後から104.75前後にかけての間への上昇を想定

【概況】

ドル円は11月18日深夜に103.65円まで一段安した後は下げ渋り、19日夜にはユーロドルが下落する場面でのドル高反応で104.21円まで戻したが、104円台を維持できずに失速しており、18日深夜安値割れに余裕が乏しくなっている。
英国とEUのFTA交渉においてEU交渉官がコロナ陽性となり交渉が中断したとの報道でユーロドルが19日夜にかけて下落したが、対面交渉は一時中断したもののリモートでの交渉は継続するとされたことでユーロドルが深夜以降に持ち直しており、同じく深夜まで下落していたポンド/ドルも反発したことでドル安感がぶり返し、ドル円も戻り一巡で失速している印象だ。
英製薬大手アストラゼネカ社と英オックスフォード大が共同開発している新型コロナワクチンの中間治験において、高齢者に高い効果が認められたと報道されたことは、米ファイザー社、米モデルナに続くワクチン開発進展期待をもたらしたが、いずれのワクチンもまだ承認前であり、普及と実用化までには時間がかかるために市場の反応も11月9日のファイザー社ワクチン報道時と比較すれば限定的となっている。

11月19日に発表された米経済指標は強弱まちまちで市場の反応も限定的だった。
米フィラデルフィア連銀の11月製造業景況指数は26.3となり、前月の32.3から低下したものの市場予想の22.0は上回った。米コンファレンス・ボードの10月景気先行指数は前月比0.7%上昇で市場予想と一致した。
米労働省が発表した11月14日までの週間新規失業保険申請は74万2000件で前週比3万1000件増加し、市場予想の70万7000件を上回って5週ぶりの増加だった。失業保険受給者総数は11月7日までの週間で637万2000人となり前週から42万9000人の減少で市場予想の647万人を下回った。
米不動産業者協会(NAR)が発表した10月中古住宅販売件数は年換算で前月比4.3%増の685万戸、市場予想の645万戸を上回り2006年2月以来の高水準となった。販売価格中央値は前年同月比15.5%増の31万3000ドルで過去最高となった。

【感染拡大によるリスクオフ的な円高基調の継続】

NYダウは19日に前日比44.81ドル高と小幅上昇したものの17日の前日比167.09ドル安から18日に同344.93ドル安と続落した後の戻りとしては鈍く、ワクチン開発への期待が高まる一方での感染拡大の深刻化が重石となっている。ロイター社報道では米国の新型コロナウイルス感染入院数は19日時点で8万人近くにのぼり過去2週間で約50%増加したという。ミシガン州は18日から3週間にわたってジムや高校、大学、娯楽施設を閉鎖し、ミネソタ州ではレストランやバー及び娯楽施設等を20日から1か月間近く閉鎖することが決まった。またワシントンではスミソニアン博物館と国立動物園が11月23日から閉鎖される。
日本においても東京での新規感染者数が500人を超えて過去最多となるなど感染第三波の広がりへの懸念が強まっており、ドル円としては欧米の感染拡大に加えて日本の感染拡大もリスクオフ的な円高要因として上値を重くしている印象だ。

ドル円は11月9日の米ファイザー社ワクチン報道で急騰したが、9日深夜高値と11日深夜高値をダブルトップ型として下落に転じてきた。11月16日夜の米モデルナ社ワクチン報道で一時105円を超える反発を見せたが一段安に終わり、19日夜も104円を超えるところまで戻したものの失速しており、戻り高値の切り下がりによる下降チャンネルが形成されている。20日早朝時点では18日深夜安値割れを回避しているものの、安値更新に入ればダブルトップからの下落は16日夕刻までを一段目、18日深夜までを二段目とし、19日夜高値を起点として三段目に入ってゆく。
日足は11月12日から18日まで5日連続の陰線で下落しており、19日もローソク足の実体部分が小さいもののほとんどを上ヒゲとした陰線で終わっている。徐々に11月6日安値103.17円へ迫っているが、底割れの場合はチャート上の下値支持線となる安値は3月9日の101.17円まで切り下がる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月16日夕安値からいったん105円を超える反発となったために17日朝時点では16日夕安値を直近のサイクルボトムとし、すでに11日深夜高値から3日目となる16日夜高値でサイクルトップを付けた可能性が高いとして16日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、17日夜に16日夕安値を割り込んで弱気サイクル入りとなった。18日深夜安値から19日夜へ戻してからまた下落しているため、16日夜高値から3日目となる19日夜高値を新たな起点として下落期に入る可能性も考えられるので、19日夜高値を上抜き返せないうちは一段安警戒として来週前半にかけての下落継続を想定する。19日夜高値超えからはいったん戻しに入るとみるが、11日深夜以降の下落基調を転換させるようなドル高円安材料が出てこないと戻りは短命に終わるのではないかと考える。

60分足の一目均衡表では18日深夜安値から19日夜へ戻したところで遅行スパンは好転したがその後の失速で再び悪化している。19日夜高値では先行スパンへ潜り込みかけたが先行スパン突破へ進めずに失速しており、状況的には16日夜高値からの反落時に近い印象だ。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、上抜けないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日夜の上昇で60ポイント台中盤へ戻したがその後は50ポイント割れへ失速している。50ポイントを下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安へ進みやすい状況と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月18日深夜安値103.65円を下値支持線、19日夜高値104.21円を上値抵抗線とする。
(2)104.21円を下回るうちは一段安警戒とし、18日深夜安値割れからは11月6日夜安値103.17円を目指すとみる。103円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、104円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。また急落商状の場合は102円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)19日夜高値を上抜く場合はいったん戻しに入るとみて104.50円前後から104.75円前後にかけての間への上昇を想定するが、104.50円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

11/20(金)
G20財務相会議(オンライン)、APEC首脳会議(オンライン)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.5%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 4.7%、予想 4.1%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 1.6%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (9月 6.4%、予想 5.9%)
16:00 (独) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 -0.1%)
22:30 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感速報 (10月 -15.5、予想 -18.0)
27:30 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
11/21(土)
G20首脳会議(11/22まで、オンライン)


注:ポイント要約は編集部

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