ドル円見通し 米モデルナ社のワクチン関連報道への反応は9日程に盛り上がらず(20/11/17)

ドル円はいったん急反発となり16日夕刻安値104.36円から夜高値105.12円へ上昇したが、早々に戻り売りにつかまって104.50円を割り込む等上昇が続かなかった。

ドル円見通し 米モデルナ社のワクチン関連報道への反応は9日程に盛り上がらず(20/11/17)

ドル円見通し 米モデルナ社のワクチン関連報道への反応は9日程に盛り上がらず

〇ドル円、11/16夕刻安値104.36から夜高値105.12へ上昇したが、104.50を割り込む等上昇続かず
〇NYダウ、取引時間中の史上最高値を更新したものの、前日比470.63ドル高にとどまる
〇米モデルナ社のワクチン関連報道への反応、米ファイザー社報道のあった9日程に盛り上がらず
〇米国の新型コロナ増加数、第二波ピーク時から倍増以上、ワクチン開発報道への反応冷静に
〇ユーロドル・ポンドドル・豪ドル米ドルも上昇基調、ドル安基調は継続中
〇104.36割れ回避のうちは上昇余地ありとし、105.12を上抜く場合は105.67を目指す上昇を想定
〇104.36割れからは新たな下落期に入るとみて104.00、103.50等を段階的に試して行くとみる

【概況】

11月16日夜に米バイオ医薬品企業のモデルナ社が新型コロナウイルスのワクチンに有効性が確認され早期に承認申請を行うと発表したことでドル円はいったん急反発となり16日夕刻安値104.36円から夜高値105.12円へ上昇したが、早々に戻り売りにつかまって104.50円を割り込む等上昇が続かなかった。
11月9日に米ファイザー社が治験成績良好で月内にも申請すると報じられた時には、NYダウが一時1600ドル高を超える上昇で3万ドルに迫って史上最高値を更新、ドル円も株高への同調で103円台中盤から105円台中盤まで急伸したのだが、16日はNYダウが9日に付けた取引時間中の史上最高値を更新し、終値ベースでも2月以来9か月振りに最高値を更新したのだが、前日比は470.63ドル高にとどまった。モデルナ社の申請見込みは12月、実用化と現場供給にはまだ時間がかかるが、足元の感染爆発も収まる気配が見られないことから市場も9日に熱狂的な反応を示した時と比較すればかなり冷静な動きにとどまったといえる。

【ワクチン供給期待と感染爆発による不況長期化不安の狭間】

米バイオ医薬品のモデルナは11月16日に同社が開発中の新型コロナウイルスの治験で94.5%の有効性がみられたとし、数週間以内に緊急使用許可を米当局に申請し、年内の出荷開始を目指すと発表した。許可申請は12月初旬の見通しで、年末までに米国内で2000万回の出荷を準備し、2021年中に5億〜10億回分の製造を目指すとしている。
米モデルナのワクチンは1か月安定的に冷蔵保存できるために農村地域を含めより多く配布が可能だという。既存の低温保管方法で輸送が可能であり、米ファイザー社ワクチンが低温での輸送保管がネックとされる問題を解消しているという。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は13日時点で新型コロナウイルスのワクチンについては基礎疾患のない一般の人々への接種開始は来年4月になる見込みだと述べている。

世界全体の新型コロナウイルス感染者累計は5500万人を超え、米国では1150万人を超えた。11月13日には1日の増加数が18万7957人と過去最高となり、第二波のピークであった7月24日の7万9440人から倍増以上となっている。各地で外出や営業規制も強化され始めているが、夏場に活動力が低下していたウイルスが気温と湿度の下がる冬に活性化して感染力を増すのはインフルエンザや通常の風邪と同様であり、これまではマスクや消毒等で回避してこられた防御レベルを超えて感染爆発が一段と深刻化することも懸念されるため、ワクチン開発成功報道に対する市場の歓喜も9日のファイザー社報道時と比較すればかなり冷静なものになってきた印象だ。

ドル円は16日夜にいったん反騰してから早々に反落したが、ユーロドルは夜に小反落したものの先週後半からの上昇基調を維持、ポンドドルも同様、豪ドル米ドルも上昇基調を維持するなど、ドル安基調は継続している。新興国通貨も上昇しており全般的なドル安感が強まる中でドル円の16日夜の反騰も控えめだったといえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月11日深夜高値からのジリ安が続いたために13日朝時点では11日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日午前から18日午前にかけての間への下落を想定した。16日夕刻へ安値を切り下げてから夜にいったん反騰して105円を超えたため、16日夕安値を直近のサイクルボトムとする。すでに11日深夜高値から3日目となる16日夜高値でサイクルトップを付けた可能性が高い印象のため、16日夕安値割れ回避のうちは17日の日中から18日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、16日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして19日夕から23日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では13日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、16日夜の反発では遅行スパンが好転できず先行スパンの下限が上値を抑えている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は16日夜の反発場面で60ポイント台中盤へ上昇したがその後の反落で50ポイントを割り込んでいるため戻り一巡から下げ再開に入っている印象だ。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒として30ポイント割れを目指すとみる。強気転換は65ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月16日夕安値104.36円を下値支持線、16日夜高値105.12円を上値抵抗線とする。
(2)16日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、16日夜高値を上抜く場合は11日深夜高値105.67円を目指す上昇を想定する。105.50円以上は反落注意だが、16日夕安値割れ回避での推移が続くうちは18日も高値を試す可能性があるとみる。
(3)16日夕安値割れからは新たな下落期に入るとみて104.00円、103.50円等を段階的に試して行くとみる。16日夕安値を割り込んだ水準での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる、またドル安感が強まる場合は先行きで11月6日夜安値103.17円を目指すとみる。

【当面の主な予定】

11/17(火)
フェイスブックCEO、ツイッターCEO、上院司法委員会で証言
OPECプラス、共同閣僚監視委員会
モリソン豪首相来日、日豪首脳会談
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.9%、予想 0.5%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 1.5%、予想 0.6%)
22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 輸出物価指数 前月比 (9月 0.6%、予想 0.2%)
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.6%、予想 1.0%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 71.5%、予想 72.3%)

24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.3%、予想 0.5%)
24:00 (米) 11月 NAHB住宅市場指数 (10月 85、予想 85)
26:00 (米) ラムスデン英中銀副総裁、講演
27:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
29:00 (米) アトランタ、サンフランシスコ、ミネアポリス、ボストン連銀総裁、4連銀主催オンライン会議
30:00 (米) 9月 対米証券投資 (8月 863億ドル)
30:00 (米) 9月 対米証券投資・短期債除く (8月 278億ドル)

11/18(水)
06:45 (NZ) 7-9月期 生産者物価指数 前期比 (4-6月 -0.3%)
07:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、バネル討論会
08:30 (豪) 10月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (9月 0.2%)
09:30 (豪) 7-9月期賃金コスト指数 前期比 (4-6月 0.2%)
08:50 (日) 10月 貿易統計・通関・季調前 (9月 6750億円)
08:50 (日) 10月 貿易統計・通関・季調済 (9月 4758億円)
16:00 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.3%、予想 1.3%)
16:00 (英) 10月 小売物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 -0.1% )
16:00 (英) 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 1.1%、予想 1.2%)
16:00 (英) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 0.3%、予想 0.4%)

19:00 (欧) 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:30 (英) ホールデン英中銀委員、講演
22:30 (米) 10月 住宅着工件数・年率換算件数 (9月 141.5万件、予想 145.5万件)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数 前月比 (9月 1.9%、予想 2.8%)
22:30 (米) 10月 建設許可件数・年率換算件数 (9月 155.3万件、予想 156.3万件)
22:30 (米) 10月 建設許可件数 前月比 (9月 5.2%、予想 1.2%)
24:00 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演
26:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、ウェブセミナー
27:20 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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