海外時間の為替概況
〇ドル円米債利回り低下により一時104.36まで下落後モデルナ社ワクチンの治験好結果に105.13まで急伸
〇その後はNY連銀製造業景気指数の不冴えに104円台半ばまで反落
〇ユーロドルドル主体の動き 1.1868まで上昇後ワクチン報道で1.1815に反落、のち1.18台半ばに戻す
〇ドル円テクニカルな地合い弱く103.17→105.68の上げ幅全値押しを警戒
〇ファンダメンタルズにも下落不安材料多い
〇ワクチン報道の楽観ムードは一巡、続落リスクに注意
〇本日の予想レンジ:104.00ー105.00
16日(月)の外国為替市場でドル円は乱高下。@米国債利回りの低下や、A上記@を受けたドル売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、約1週間ぶり安値となる104.36まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線及び転換線に続落を阻まれると、B米モデルナ社による「新型コロナワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られた」との発表や、C上記Bを背景とした米主要株価指数の急騰(※先週の米ファイザー社のワクチン候補に関するポジティブな発表後の値動きを想起させる形で米株上昇→米長期金利上昇→ドル高が進行)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値105.13まで急伸しました。もっとも、その後発表された、D米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果6.3、予想13.9、前回10.5)が冴えない結果となると、再び反落に転じ、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.55近辺まで値を崩すボラタイルな展開となっております。
16日(月)のユーロドル相場は上下するも方向感見出せず。@米国債利回りの低下や、A上記@を受けたドル売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、約1週間ぶり高値となる1.1868まで上昇しました。しかし、B米モデルナ社による「新型コロナワクチンの最終治験で94.5%の効果が初期データから得られた」との発表がドル高を招くと、米国時間朝方にかけて、一時1.1815まで反落しました。その後は、C冴えない米経済指標を受けたドル売りが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1845近辺まで持ち直す動きとなっております(ユーロに主体性は見られず、終始米ドル主導の動き)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、11/11にかけて、一時105.68まで急騰しましたが、90日移動平均線に続伸を阻まれると、昨日は104円台半ばまで反落する冴えない動きとなりました。強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(短期筋の見切り売りが活発化する中、目先は103.17→105.68の上げ幅の全値押しを試す展開に警戒)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン期待は沈静化。楽観ムードの逆流に警戒)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。昨日は株式市場がグローバルに反落)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる構造的な不安材料は引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナワクチンに関する続報、米経済指標の結果(米10月小売売上高や、米10月輸出入物価指数、米10月設備稼働率、米10月鉱工業生産、米11月NAHB住宅市場指数、米9月対米証券投資など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナワクチンに関する楽観ムードは一巡。事実、昨日は米モデルナ社による新型コロナワクチンに関するポジティブな報道がなされたにも係わらずドル高での反応は一時的。続落リスクに要注意)。
本日の予想レンジ:104.00ー105.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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