来週の為替相場見通し:『リスク選好ムードの賞味期限切れに要注意』(11/14朝)

ドル円は、先週末に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、一時105.68まで急騰しましたが、結果的には104円台半ばへ反落しました。

来週の為替相場見通し:『リスク選好ムードの賞味期限切れに要注意』(11/14朝)

『リスク選好ムードの賞味期限切れに要注意』

〇ドル円週明け早々103.19の安値をつけるも、ファイザーのコロナワクチン成功報道等に105.68まで上昇
〇その後世界的感染拡大、米指標不冴えに104.60まで値を崩して越週
〇ユーロドルワクチン開発期待に1.1920に急伸後、コロナ感染拡大、ECB緩和観測に一時1.1745まで反落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスクが警戒される
〇欧米株、米長期金利、コロナ感染拡大、ワクチン開発関連報道、米指標等注意
〇コロナワクチンに端を発した楽観ムードは早くも後退。来週は見切り売り主導で全値押しを試す展開か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50、(EURUSD):1.1675−1.1925

今週のレビュー(11/9−11/13)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初103.35で寄り付いた後、早々に週間安値103.19まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をバックに下げ渋ると、@バイデン氏の勝利宣言に伴う米政治不安の後退や、A米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチン候補に関するポジティブな報道(米ファイザー社と独ビオンテック社が開発中のワクチン候補が、数万人参加した治験で90%超の確率で感染防止の暫定結果→新型コロナウイルスの収束期待)、B上記@Aを背景としたリスク選好ムードの高まり(欧米株急騰+米長期金利急騰)が支援材料となり、週央にかけて、10/20以来となる高値105.68まで急伸しました。

もっとも、90日移動平均線に続伸を阻まれると、週後半にかけては再び反落。C世界的な新型コロナウイルスの感染拡大や、Dそれに伴うロックダウンの再開懸念(ニューヨーク州はレストランやバーを22時で閉店するよう命じると発表)、E米10月消費者物価指数や米10月生産者物価指数の予想比低下、F米11月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果77.0、予想82.0)の冴えない結果が重石となり、結局104.60近辺まで値を崩しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1882で寄り付いた後、@米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチンに関するポジティブな報道や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの高まりが支援材料となり、週明け海外時間に、約2ヵ月半ぶり高値となる1.1920(9/2以来)まで急伸しました。

しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、B米10年債利回りの高騰や、C上記Bを背景としたドル買い圧力、D欧米貿易摩擦懸念(欧州連合は米政府に40億ドル相当の報復関税を課すと発表)、Eドイツ11月ZEW景況感指数(結果39.0、予想41.7、前回56.1)の冴えない結果、F欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(イタリアの新型コロナ感染者が100万人を突破)、Gオランダ中銀クノット総裁によるハト派的な発言(ECBは12月会合でいかなる政策決定も排除しない)、HラガルドECB総裁による追加緩和を示唆する発言(12月会合ではパンデミック緊急購入プログラム=PEPPや、長期資金供給オペ=TLTROの拡大が焦点)、I欧英交渉難航リスク(交渉が11月中旬の期限までに間に合わないリスクの再燃)が重石となり、週央にかけて、約1週間ぶり安値となる1.1745まで反落しました。週末にかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1835近辺での越週となっております。

来週の見通し(11/16−11/20)

<ドル円相場>
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、今週半ば(11/11)にかけて、一時105.68まで急騰しましたが、結果的には90日移動平均線に続伸を阻まれる形で104円台半ばへ反落しました。強い売りシグナルを示唆する三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダーも継続しており、テクニカル的にみて、「地合いは弱い」と判断できます(短期筋による見切り売りが活発化すれば、来週は103.17→105.68の上げ幅の全値押しの可能性あり)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン期待は沈静化。楽観ムードの逆流に警戒)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。昨日は株式市場がグローバルに反落)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる構造的な不安材料は引き続き残っている状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米追加景気対策及び米大統領選挙の続報、米国の主要経済指標の結果(11/16の米11月ニューヨーク連銀景況指数、11/17の米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、11/19の米11月フィラデルフィア連銀景況指数、米10月中古住宅販売件数など)、FRB当局者による要人発言(今週は11/16のクラリダFRB副議長討論会や、11/18のニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁討論会をはじめ多くの当局者発言が予定。米FRB当局者よりハト派的な発言が見られればドル売り圧力が強まる可能性あり)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナワクチンに端を発した楽観ムードは早くも後退。来週は見切り売り主導で全値押しを試す展開か)

来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー105.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、11/4に記録した約3ヵ月半ぶり安値1.1603をボトムに反発に転じると、今週初(11/9)にかけて、9/2以来となる高値1.1920まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(今週は週央にかけて下落するも、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドに続落を阻まれる形で持ち直す結果に。終値ベースで一目均衡表雲上限より上側の水準をキープ)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(欧米貿易摩擦懸念)、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、CECBによる追加緩和観測(次回12月会合での追加緩和観測)、D英国・EU間の交渉難航リスク(11月中旬の期限に間に合わないリスク)、EECB当局者によるユーロ高牽制姿勢など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、新型コロナワクチンに関する続報、欧州圏の主要経済指標の結果(11/19のユーロ圏9月経常収支や、11/20のユーロ圏11月消費者信頼感指数など)、ECB当局者による要人発言(11/16に予定されているデギンドスECB副総裁講演、ポルトガル中銀センテノ総裁講演、ラガルドECB総裁講演、メルシュECB専務理事講演、11/20に予定されているフランス中銀ビルロワドガロー総裁講演、シュナーベルECB専務理事講演、ラガルドECB総裁講演など)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1675−1.1925

注:ポイント要約は編集部

『リスク選好ムードの賞味期限切れに要注意』

ドル円日足

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