ドル円見通し 9月21日安値を割り込む、ドル全面安でドル円は103円台中盤に(20/11/6)

5日夜には104円を割り込み6日早朝には103円台中盤まで続落して9月21日安値103.99円を割り込んだ。

ドル円見通し 9月21日安値を割り込む、ドル全面安でドル円は103円台中盤に(20/11/6)

ドル円見通し 9月21日安値を割り込む、ドル全面安でドル円は103円台中盤に

〇ドル円、11/5夜104円を割り込み11/6早朝103円台中盤まで続落、9/21安値103.99を割り込む
〇NYダウ、3連騰の後11/5も542.52ドル高と大幅続伸、楽観ムード形成
〇米大統領選、未だ波乱含みの状況だが株式市場はコロナ不況対策は進むとみて楽観的な姿勢続く
〇英中銀の量的緩和拡大の金融政策発表、株式市場で好感、ポンドドルは反騰
〇米FRB、長期間の低金利確約の姿勢を示す、株式市場には支援要因、為替市場にはドル売り要因となる
〇103.50以下での推移中は103.00試し、さらに102円台への下落を想定、102円以下は反騰注意
〇104円を超えて続伸の場合はいったん反騰に入るとみて104.50を目指す上昇を想定

【概況】

11月3日の米大統領選挙はその後の開票速報でのバイデン氏優勢からトランプ氏撒き返し、さらにトランプ氏劣勢と情勢が目まぐるしく変化してきた。6日朝時点ではバイデン氏の勝利確率が高まり、トランプ陣営は法廷闘争に入り始めており、最終決着がつくまではまだ波乱含みとなっている。ただし上院選挙では民主党が過半数を取れなかったことで、いわゆるブルーウェーブとされる民主党による大統領、上下院の制圧による政策的な大転換は難しくなり、株式市場にとってはいずれが勝者となってもコロナ不況対策は進むとみて楽観的な強気姿勢が続いている。

5日の欧米株式市場はほぼ全面高で、NYダウは一時600ドルを超える上昇で前日比542.52ドル高となった。NYダウは11月2日に423.45ドル高、3日に554.98ドル高、4日に367.63ドル高と3連騰してきたが、5日も大幅続伸したことで楽観ムードを形成している。株高により為替市場のリスク選好感も回復しており、ユーロドル、ポンドドル、豪ドル米ドル等は波乱となった4日午前序盤の高値を超えて一段高となっており、ドル全面安の様相となった。
ドル円は4日午前序盤に104.36円まで下げてから4日昼前に105.33円まで一時的に急伸したがその後はドル全面安再燃の流れを背景に4日夜には104.14円まで下落し、5日夜には104円を割り込み6日早朝には103円台中盤まで続落して9月21日安値103.99円を割り込んだ。

【英中銀の量的緩和拡大、米連銀の長期低金利確約】

11月5日夕刻に英中銀が当初の予定を早めて金融政策を発表し、政策金利を過去最低の0.10%へ据え置き、資産購入規模を従来の7450億ポンドから8950億ポンドへ拡大した。市場予想の8450億ポンドを超える規模となったものの、株式市場への支援材料として好感されたこと、5日早朝には英紙によるリークとみられる資産購入規模拡大報道もあって事前に下げていたこともあり、ポンドドルは当面の売り材料消化として反騰した。
米連邦準備理事会(FRB)は11月4-5日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を持ったが、金融政策を現状維持とし、先行き不透明感の中で景気回復支援に対してあらゆる手段を尽くすこと、長期間の低金利を確約する姿勢を示した。長期の低金利継続見込みは従来と変わらないが株式市場には支援要因となるとともに為替市場にはドル売り要因となった。

米労働省が発表した10月31日までの週間新規失業保険申請件数は季節調整済みで75万1000件、前週比7000件の減少となった。3週連続の改善だが市場予想の73万2000件は上回った。また失業保険受給者総数は10月24日までの週間で728万5000人、前週から53万8000人減少したものの、これも市場予想の720万人を上回った。
米労働省が発表した7-9月期の非農業部門労働生産性速報値は季節調整済み年換算で前期比4.9%上昇したが市場予想の5.6%上昇を下回った。インフレ指標である単位労働コストは8.9%の低下で市場予想の11.5%低下を上回ったが前年同期比では2.5%上昇にとどまった。高失業状態は継続しており、改善も緩やかなものにとどまっているが、欧州各国でのロックダウン再開、米国の感染拡大の深刻化を踏まえれば10-12月期の悪化が懸念されるところだ。

【米大統領選挙、円安要因になり切れず、月末への続落警戒】

米大統領選挙では4日に一時的な上昇で105.33円を付ける場面があったものの、その後の失速によりかえって戻り高値切り下がりによる下落基調の継続感が強まった。
9月21日安値103.99円に対して10月29日安値104.02円で底割れを回避しての戻りだったが、10月8日高値106.10円から10月20日高値105.74円、11月4日高値105.33円と戻り高値は徐々に切り下がってきている。
コロナショック以降は3月24日の戻り天井から下落基調が続いてきているのだが、月初に戻したところからの下落パターンが繰り返されており、4月6日高値からの下落、6月5日高値からの下落、7月1日高値からの下落、8月13日の後は揉み合いが続いたのちに9月3日高値からの下落、10月7日高値からの下落と繰り返されており、現状も11月4日で戻り高値を付けて下落期に入ってきたとすれば、2か月ないしは3か月周期の底打ちサイクルを踏まえて11月後半、あるいは12月後半にかけて下落基調を続けやすい状況となり始めているのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日午前に安値を切り下げてから105円超えへ急伸してから反落したために、5日午前時点では4日午前安値でサイクルボトムを付けて上昇したもののその後の急落により4日午前高値を直近のサイクルトップとして底割れから新たな弱気サイクルに入ったとした。また新たなボトム形成期は9日午前から11日午前にかけての間と想定した。5日夜も下落基調が続いているので引き続きボトム形成中とし、強気転換は104円超えからとする。

60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換にはまず遅行スパンが好転する必要があるが、上昇再開感が強まるには先行スパンを突破するような上昇も必要と思われる。

60分足の相対力指数は20ポイント台まで低下しているが、相場の安値更新に対する指数のボトムアップという強気逆行はまだ見られないので、40ポイントまでを抵抗としてまだ一段安余地ありとみる。上昇再開には50ポイントを超える上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)9月21日安値を割り込む一段安のため、104円を戻り抵抗として下回るうちは一段安警戒とみる。
(2)103.50円以下での推移中は103.00円試し、さらに102円台への下落を想定する。102円以下は反騰注意とするが、日足チャート上の下値支持線となるべき安値は3月暴落時の3月9日安値101.17円まで見当たらなくなっているので所要日数を別としても3月9日安値を目指す流れとみる。
(3)米大統領選挙を巡る波乱はまだ継続する可能性があること、6日夜には米雇用統計もあるので、乱高下には注意がいる。104円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、104円を超えて続伸の場合はいったん反騰に入るとみて104.50円を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

11/6(金)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.2%、予想 2.7%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -9.6%、予想 -6.5%)
22:30 (米) 10月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (9月 66.1万人、予想 60.0万人)
22:30 (米) 10月 雇用統計・失業率 (9月 7.9%、予想 7.7%)
22:30 (米) 10月 雇用統計・平均時給 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (9月 4.7%、予想 4.6%)
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.4%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 1.4%、予想 1.0%)
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 -72.2億ドル、予想 90.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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