来週の為替相場見通し:『いよいよ今年最大の注目イベント米大統領選に突入』(10/31朝)

ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/29に一時104.03(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『いよいよ今年最大の注目イベント米大統領選に突入』(10/31朝)

『いよいよ今年最大の注目イベント米大統領選に突入』

〇ドル円週初は民元安容認観測、対ユーロでのドル高に105.07まで上昇
〇その後はコロナ再拡大、リスクセンチメント悪化、欧米株安で一時104.03まで急落104.70近辺で越週
〇ユーロドル欧州圏のコロナ感染急増と独仏ロックダウン、ECBの12月緩和示唆に週末1.1640まで急落
〇今週は米大統領選、はじめ米国重要イベント目白押し、米ドル主導のボラタイルな相場展開予想
〇大統領選はいずれの結果もドル売りの可能性大か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):101.50ー106.50、(EURUSD):1.1400−1.1850

今週のレビュー(10/26−10/30)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初104.75で寄り付いた後、@中国当局による人民元安容認観測(人民元安の抑制を目的に2017年5月に採用された対ドル基準値設定時のカウンターシクニカル調整要素を、中国外貨取引センターが10/27付けで一時停止すると発表→市場では人民元安容認観測と受け止められ、対人民元でのドル高が加速)や、A対ユーロでのドル買い圧力が支援材料となり、週明け早々に、週間高値105.07まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線及び基準線に続伸を阻まれると、B米追加景気対策期待の後退や、C米中対立激化懸念(米政府が先週中国報道機関6社を外国政府の宣伝組織に認定したことへの対抗措置として、中国外務省は米メディア6社に対して人員や財務に係る情報を7日以内に書面報告するよう要求)、D新型コロナウイルスの感染拡大懸念、E欧米株の急反落(リスク回避ムード再燃)、F米大統領選挙を控えた警戒感が重石となり、10/29には、約1ヵ月ぶり安値となる104.03(9/21以来)まで急落しました。

もっとも、心理的節目104.00をバックに下げ渋ると、その後は、G米第3四半期GDP速報値(結果33.1%、予想31.0%)の力強い結果や、H米新規失業保険申請件数(結果75.1万件、予想77.5万件)の良好な結果、I対ユーロでのドル買い圧力(ハト派なECB理事会の結果を受けて、対ユーロでドル高が加速)が支援材料となり、結局104.70近辺まで持ち直しての越週となっております。尚、10/29に開催された日銀金融政策決定会合(BOJ)では、金融政策が予想通り据え置かれると共に、黒田総裁記者会見も新味に欠ける内容となったことから、ドル円相場への影響は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1858で寄り付いた後、早々に週間高値1.1861まで上昇しました。しかし、10/21に記録した直近高値1.1882をバックに伸び悩むと、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A上記@を受けたロックダウン再開懸念(マクロン仏大統領は10/30から全国規模でロックダウンを開始すると発表。ドイツのメルケル首相も11/2から1ヶ月間部分的なロックダウンを実施すると発表。その他、ベルギーやイタリアでもロックダウン実施見通し)、Bドイツ10月IFO景況感指数(結果92.7、予想93.0)の冴えない結果、

C欧米株の急落を背景としたリスク回避のドル買い圧力、DECB理事会及び記者会見のハト派的な結果(ECB理事会は金融政策を据え置くも、ラガルドECB総裁は記者会見で「12月の理事会で行動することにほぼ疑いはない」と発言)が重石となり、週末にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.1640(9/28以来)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1650近辺での越週となっております。尚、10/30に発表されたユーロ圏7ー9月期GDP速報値(結果12.7%、予想9.4%)は市場予想を大幅に上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(11/2−11/6)

<ドル円相場>
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/29に一時104.03(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(週末にかけて持ち直すも上値は重たい)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選を前にした警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染拡大(新型コロナウイルスの第二波到来→欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖)、I米財政収支赤字の拡大(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況及び米大統領選挙の結果、米国の主要経済イベント(11/2の米10月ISM製造業景況指数、11/4の米10月ADP雇用統計、米10月ISM非製造業景況指数、11/5の米FOMC、11/6の米10月雇用統計など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(今週は米大統領選挙をはじめ、米国の重要イベントが目白押しの週となる為、米ドル主導のボラタイルな相場展開を想定)。

尚、11/3に投開票される米大統領選挙では、@トランプ米大統領再選のケース、Aバイデン新大統領誕生のケース、B投票やり直しなど新大統領がなかなか決まらない最悪のケース、のいずれにおいてもドル売り圧力が強まると予想いたします

(@の場合は米議会のねじれ継続に伴う米追加景気対策の後ずれ観測や、米中対立激化を通じたドル売り・円買いが続くと予想。Aの場合は米政治の先行き不透明感の解消を通じて当初はドル買い・円売りが強まると見られるものの、一巡後はトリプルブルー成立を通じた増税への想起から株式市場が値崩れを起こす展開が想定される為、結果としてドル円は下落に転じると予想。Bの場合は米政治の先行き不透明感を背景にリスク回避ムードが強まり、ドル円相場の急落に繋がる恐れあり)。今回の米大統領選挙はバイデン氏優勢と報じられているものの、4年前の米大統領選挙では世論調査が一切あてにならなかったことは記憶に新しく、今回も何かしらのサプライズ発生に伴うボラティリティの急拡大に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):101.50ー106.50(米大統領選挙を迎える週となることから、予想レンジは通常時より広めに呈示させていただきます)

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、10/21に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1882をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.1640まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、CECBによる追加緩和観測(12月会合での追加緩和期待)、D英国・EU間の交渉難航リスク、EECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況(欧州圏におけるロックダウン再開がセンチメント悪化に繋がる懸念)、米大統領選及び欧州の主要経済イベントの結果(11/3の米大統領選挙、11/5のユーロ圏9月小売売上高、11/6のドイツ9月鉱工業生産など)、英国と欧州の通商協議を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(尚、今週は米大統領選挙をはじめ、米ISM製造業景況指数や米FOMC、米雇用統計など米国の重要イベントが目白押しとなる為、米ドル主導のボラタイルな相場展開に要注意)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1400−1.1850(米大統領選挙を迎える週となることから、予想レンジは通常時より広めに呈示させていただきます)

注:ポイント要約は編集部

『いよいよ今年最大の注目イベント米大統領選に突入』

ドル円日足

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