ドル円、米GDP速報値の力強い結果を受けて安値圏から急反発
〇ドル円104.03まで下押した後、米3QGDP等の指標が予想以上に好調だったことで104円台後半に反発
〇ユーロドルECBラガルド総裁の12月追加緩和示唆に一時1.1650まで下落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに反落リスク警戒される
〇本日は月末営業日につき需給要因でのボラティリティに注意
〇本日の予想レンジ:104.00ー105.00
海外時間の為替概況
29日(木)の外国為替市場でドル円は下落後に急反発。@米追加景気対策期待の後退や、A米中対立激化懸念、B新型コロナウイルスの感染拡大、C欧米株の冴えない動き(リスク回避の円買い)が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる104.03(9/21以来)まで下落しました。しかし、心理的節目104.00をバックに下げ渋ると、D米第3四半期GDP速報値(結果33.1%、予想31.0%)の力強い結果や、E米新規失業保険申請件数(結果75.1万件、予想77.5万件)の良好な結果、F欧米株の持ち直し(リスク回避ムードの後退)、G対ユーロでのドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値104.72まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、104.60近辺で推移しております。尚、アジア時間に開催された日銀金融政策決定会合(BOJ)では予想通り金融政策の現状維持が決められると共に、その後の黒田総裁記者会見においても新味に欠ける内容となったことから、ドル円相場への影響は限定的となりました。
29日(木)のユーロドル相場はECB理事会及びラガルド総裁記者会見を経て急落。@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ユーロ圏における相次ぐロックダウン開始報道。ディズニーランド・パリも再び閉鎖)や、Aラガルド総裁による次回会合での追加緩和を示唆する発言(欧州時間に開催されたECB理事会にて金融政策の現状維持が決められたものの、ラガルド総裁は記者会見で「12月の理事会で行動することにほぼ疑いはない」と発言)が重石となり、米国時間午後にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.1650(9/28以来)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1675近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、昨日は一時104.03(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(引けにかけて反発するも、節目105円台は回復できず)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選を前にした警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染者数再拡大(新型コロナウイルスの第二波リスク→欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれ観測など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスに関するヘッドライン(米ホワイトハウスは全米の西側で新型コロナウイルス感染が持続的かつ広範囲に広がっていることを示唆)や、米大統領選及び米追加景気対策を巡る続報、欧米株及び欧米長期金利の動向、米主要経済指標の結果(米9月PCEデフレータ、米10月シカゴ購買部協会景気指数、米10月ミシガン大消費者信頼感指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は月末日となることから、本邦公表相場やロンドンフィキシングに絡む需給の変化に要注意=ボラティリティが一時的に高まる恐れあり)。
本日の予想レンジ:104.00ー105.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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