ドル円、リスクオフ再燃で上値の重い展開。米ダウ平均株価は連日の急落
〇ドル円米追加家気対策の遅れ、米中対立懸念、米国内感染者急増を受けた株急落で一時104.11まで下落
〇ユーロドル独仏ロックダウンの報と欧米株大幅安に1.1718まで急落後1.17台半ばに反発
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズとも続落リスク警戒される
〇9/21安値104.00が射程内
〇本日の予想レンジ:103.80ー104.70
海外時間の為替概況
28日(水)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@米追加景気対策期待の後退(後ずれ観測)を受けたドル売り圧力や、A米中対立激化懸念、B新型コロナウイルスの感染拡大(米国の新型コロナウイルス入院者数急増)、C米大統領選を控えた警戒感、D欧米株の急落(米ダウ平均株価は960ドル超の下落→リスク回避の円買い圧力)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値104.11まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、104.35近辺で推移しております。
28日(水)のユーロドル相場は下落。@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(ユーロ圏における相次ぐロックダウン開始報道。マクロン仏大統領は10/30から全国規模でロックダウンを開始すると発表。ドイツのメルケル首相も11/2から1ヶ月間部分的なロックダウンを実施すると発表)や、AECBによる根強い追加緩和観測(今晩開催されるECB理事会を前にした警戒感)、B欧米株の急落(米ダウ平均株価は960ドル超の下落→リスク回避のドル買い圧力)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1718まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1750近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、昨日は一時104.11(約1ヵ月半ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(9/21に記録した安値104.00割れも射程圏内)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選を前にした警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染者数再拡大(新型コロナウイルスの第二波リスク→欧米を中心にロックダウン再開→欧米経済の先行き不透明感→リスク回避ムード再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれ観測など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスに関するヘッドラインや、米大統領選及び米追加景気対策を巡る続報、欧米株及び欧米長期金利の動向(株安が続けばリスク回避の円買いが強まる恐れあり)、日米欧の主要経済イベントの結果(日銀金融政策決定会合及び黒田総裁記者会見、ECB理事会及びラガルド総裁記者会見、米第3四半期GDP速報値、米新規失業保険申請件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧米株安→リスク回避のクロス円売り→ドル円連れ安の波及経路を想定。9/21安値104.00割れが射程圏内。通貨オプション市場ではインプライドボラティリティが急伸すると共に、リスクリバーサルで円コールオーバーが急拡大。米大統領選を控えダウンサイドリスクを織り込む展開に)。
本日の予想レンジ:103.80ー104.70
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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