来週の為替相場見通し:『ドル売り地合い継続。ドル円は103円台突入も射程圏内』(10/24朝)

ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/21には一時104.33(約1ヵ月ぶり安値)まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『ドル売り地合い継続。ドル円は103円台突入も射程圏内』(10/24朝)

『ドル売り地合い継続。ドル円は103円台突入も射程圏内』

〇ドル円一目均衡表の「雲」に阻まれ105.75から反落、米景気対策の楽観悲観に翻弄され104.33まで下落
〇英国のEUとの通商交渉再開に対欧州通貨でドル安進行、ユーロドルは今週一時1.1882まで急伸
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスク警戒される
〇ドル円テクニカルの弱さ、景気対策期待の後退、米政治先行き不透明感、コロナ感染拡大が重石となるか
〇ユーロドルは、テクニカルに持ち直しの兆し見られるも、ファンダメンタルズの弱さが続伸を阻む想定
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー106.00(EURUSD):1.1600−1.1900

今週のレビュー(10/19−10/23)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初105.39で寄り付いた後、@欧米株の上昇を背景としたリスク選好の円売り圧力(米追加景気対策期待の高まり→クロス円上昇→ドル円連れ高)や、A米9月建設許可件数の良好な結果(2007年3月以来の高水準)、B英合意無き離脱リスクの後退(交渉決裂回避)が支援材料となり、翌10/20にかけて、約1週間ぶり高値となる105.75まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、C米追加景気対策期待の後退(ムニューシン米財務長官とペロシ議長の意見が纏まったとしても上院通過は困難との見方)や、D米政治の先行き不透明感、Eテクニカル的な地合いの弱さ、F短期筋の見切り売り(節目105円割れに伴うロスカット)、G対英ポンドでのドル売り圧力が重石となり、週央にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる104.33まで急落しました(9/21以来の安値圏)。その後は、H米主要経済指標の力強い結果(米中古住宅販売件数が2006年以来の最高水準を記録した他、米新規失業保険申請件数も良好な結果)を背景に幾分持ち直し、結局104.70前後での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1722で寄り付いた後、早々に週間安値1.1703まで下落しました。しかし、心理的節目1.1700をバックに下げ渋ると、@欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力(米追加景気対策期待の高まり)や、A英合意無き離脱リスクの後退(英国と欧州連合が通商交渉を再開→交渉決裂への警戒感後退→英ポンド急伸→ユーロ連れ高)、Bドイツ9月生産者物価指数の急上昇(ECBによる追加緩和観測の後退)、Cユーロ圏8月経常収支(季調済)の黒字幅拡大、D節目1.18突破に伴う短期筋のロスカットが支援材料となり、10/21にかけて、約1ヵ月ぶり高値となる1.1882まで急伸しました(9/16以来の高値)。もっとも、節目1.19をバックに戻り売りが強まると、週末にかけて伸び悩む展開に。E欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、Fユーロ圏経済指標の冴えない結果(ドイツGFK消費者信頼感指数や、フランス企業景況感指数、ユーロ圏消費者信頼感指数など)が重石となり、結局1.1860前後での越週となっております。

来週の見通し(10/26−10/30)

<ドル円相場>
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/21には一時104.33(約1ヵ月ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク(トランプ米大統領は中国の6メディアを「宣伝組織」に認定し、中国外務省は対抗措置を講ずる構え)、C米政治の先行き不安(11/3の米大統領選への不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれリスク(追加景気対策を巡る報道は二転三転)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況及び米大統領選に関する続報、米国の主要経済指標の結果(米9月新築住宅販売件数や、米9月耐久財受注、米9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米第3四半期GDP速報値、米9月PCEデフレータなど)、日銀金融政策決定会合及び黒田総裁記者会見を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な地合いの弱さや、米追加景気対策期待の後退リスク、米政治の先行き不透明感、新型コロナウイルスの感染拡大がドル円の重石)。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー106.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、9/25に記録した約2ヵ月ぶり安値1.1612をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約1ヵ月ぶり高値となる1.1882まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(目先は一目均衡表雲上限をクリアに上抜けられるか否かに注目。同水準の上抜けに成功すれば、強い買いシグナルを表す三役好転が点灯)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク、B欧州圏における新型コロナウイルス第2波リスク(ロックダウン再開)、CECBによる根強い追加緩和観測、DIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(潜在的なユーロ売り材料)、E英国・EU間の交渉難航リスク(今週はやや進展が見られたが油断は禁物)、FECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況、英国・EU間の通商交渉の行方、米大統領選を前にしたユーロロングの解消リスク、欧州の主要経済イベントの結果(10/26のドイツ10月IFO景況感調査や、10/29のドイツ10月消費者物価指数、ECB理事会、ラガルド総裁記者会見、10/30のユーロ圏第3四半期GDP速報値など)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。

(英国・EU間の交渉決裂リスクが回避されたことで、10/29に予定されているECB理事会では緩和策の現状維持が見込まれます。背景には、@英国の合意無き離脱リスクといった心配の種がひとまず解消されたこと、A欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大が継続する中、ECBは追加緩和の手札を将来の不測の事態に備えて温存するインセンティブが働くと考えられること。市場では一部今回の会合での追加緩和を期待する向きもあることから、緩和策の現状維持が決まった場合は、欧州株の下落を通じてユーロドルに下押し圧力が加わる恐れあり)

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1900

注:ポイント要約は編集部

『ドル売り地合い継続。ドル円は103円台突入も射程圏内』

ドル円日足

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