ドル円見通し 15日早朝安値から戻すが13日深夜高値にはまだ届かず(20/10/16)

ドルストレートでのドル高がクロス円での円高感に勝る展開となってジリ高で戻し、16日早朝には105.49円まで続伸した。

ドル円見通し 15日早朝安値から戻すが13日深夜高値にはまだ届かず(20/10/16)

ドル円見通し 15日早朝安値から戻すが13日深夜高値にはまだ届かず

〇ドル円、10/16早朝105.49まで戻すも、10/13深夜高値105.62には届かず
〇10/15の為替市場、英ポンド・豪ドル・ユーロ下落、ドルストレートでは深夜にかけてドル高進む
〇NYダウは3日続落、10/15発表の米経済指標はまちまち
〇英国・EUのFTA交渉難航、再びハード・ブレグジットへの懸念強まりポンド/ドルの乱高下続く
〇105.20以上での推移かわずかに割り込んでも回復するうちは、105.62試しへの上昇余地ありとする
〇105.15割れからは下げ再開とみて105.03試し、底割れからは104円台中盤への下落を想定

【概況】

ドル円は14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となり、15日朝には105.03円まで安値を切り下げたが、その後はドルストレートでのドル高がクロス円での円高感に勝る展開となってジリ高で戻し、16日早朝には105.49円まで続伸した。13日深夜の戻り高値105.62円には届かずにいる。
15日の為替市場はポンド/ドルが英国とEUのFTA交渉難航から急落、豪ドルなども来月の利下げ観測から大幅下落し、ユーロドルも先週末高値以降の安値を更新するなど、ドルストレートでは深夜にかけてドル高が進み、ドル指数は前日比で0.45%高と上昇、2週ぶりの高値を付けた。新たなブレグジット懸念、欧州感染第二波の深刻化、米国での追加経済対策がまとまらない状況や失業保険申請件数の増加などのリスク要因から株安が続き、為替市場でのリスク回避的なドル買い戻しの流れも継続しているが、リスク回避的なクロス円での円高が勝る局面ではドル円が下げるが、ドル全面高の流れになるとドル円も戻しに入るという構図となっている。

【NYダウは3日続落】

10月15日のNYダウは前日比19.80ドル安となり3日続落で終わった。序盤は新規失業保険申請件数の下振れ等の懸念から300ドル安近い下落で開始したが、その後はトランプ大統領が追加経済対策規模で民主党への歩み寄り姿勢を示したことで下げ幅を削った。しかしプラス圏を維持できずに終えている。

15日に発表された米経済指標はまちまちだったが、新規失業保険申請件数の3週ぶりの増加が懸念要因とされた。米労働省が発表した10月10日までの週間新規失業保険申請は季節調整済みで89万8000件となり前週から5万3000件増加となった。増加は3週間ぶりであり、市場予想の82万5000件を大きく上回ったことや、季節調整前でも88万5885件で前週から7万6670件増加したことでコロナ不況長期化への懸念が意識された。失業保険受給者総数は10月3日までの1週間で1001万8000人となり前週から116万5000人減少して市場予想の1070万人を下回ったが、依然として1千万人を超える規模となっている。
米ニューヨーク連銀が発表した10月のニューヨーク州製造業景況指数は10.5となり9月の17.0から低下して市場予想の15.0を下回った。4か月連続でのプラス圏だが伸びが鈍化した印象だ。6か月先の見通しも前月の40.3から32.8へ悪化した。また米フィラデルフィア連銀が発表した10月の製造業景況指数は32.3となり9月の15.0から上昇して市場予想の14.0を上回った。

【感染拡大等諸々の懸念】

新型コロナウイルスの世界感染者数は直近で3910万人を超えて死者も110万人を超えている。米国では感染者数が820万人を超えて死者も22万人を超えており、中西部での感染拡大が深刻化している。
欧州の第二波もかなり深刻な状況で、15日はスペインで1.3万人増、ロシアで1.3万人増、フランスで3万人増、英国で1.8万人増、ドイツで7千人増等、第一波を超える規模となり、外出制限などの規制が再び強化されている。日本と同様に感染者数が増えても重傷者の比率が低ければ経済活動優先の政策も採れるが、再びロックダウンなどが始まれば市場の失望感も強まる。

英国のEUのFTA交渉も難航しており、15日のEU首脳会談では英国が示してきた10月15日の交渉期限を超えても協議を継続する姿勢が示されたが、前日の英・EU電話首脳会談後に失望感を示したジョンソン首相は16日に協議継続かの判断を示すとしている。再びハード・ブレグジットへの懸念が強まる状況でポンド/ドルの乱高下も続く。
米国での追加経済対策も与野党協議は続いているようだが、米大統領選挙までは合意に達しないだろうとの見方が強まっている。大統領選挙でのバイデン氏有利を市場も織り込んできているようだが、4年前のサプライズ的なトランプ氏勝利の経験もあり、下馬評通りの結果になるとは限らない。また郵便投票を巡っての混乱や米国民間の対立の深刻化も懸念される。

諸々の情勢での懸念がある中で、市場がリスク選好感を力強く回復する流れにならない限りはドルストレートでのドル買い戻し、クロス円での円の買い戻しが交錯する状況もまた続くと思われる。
ドル円は15日朝安値から戻しているため、13日深夜高値を超えてくればドル高優勢の市場心理が勝って持ち直しに入る可能性もあるが、戻り高値切り上げへ進めないと次の円高局面で安値更新へ向かう可能性も抱えているところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月13日夜の上昇で12日夕刻の戻り高値を超えたために14日朝時点では13日朝安値を直近のサイクルボトムとし、14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となったために15日朝時点では13日夜の戻り高値を直近のサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして16日朝から20日朝にかけての間への下落を想定した。また強気転換には13日夜高値を超える必要があるとした。
16日早朝戻しているので15日朝安値でボトムを付けた可能性がある。今のところは13日夜高値超えには至らずにいるため、105.20円割れからは下げ再開と一段安警戒とするが、13日夜高値を超える場合は15日朝安値をやや短めなサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への上昇を想定する。ただし、サイクルをやや短くした騰落で105.60円前後を抵抗に105円割れを回避するような持ち合いでの推移に留まる可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では15日夜からの上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いてきた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足のMACDは15日午前からのGクロスを継続しているので、Gクロス中は高値試し優先とし、105.15円以上での推移中は一時的にDクロスしてもその後のGクロスから上昇再開とするが、105.15円割れを伴うDクロスからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.15円下値支持線、13日夜高値105.62円を上値抵抗線とする。
(2)105.20円以上での推移かわずかに割り込んでも回復するうちは13日夜高値試しへの上昇余地ありとし、高値更新の場合は105.80円前後へ上値目途を引き上げる。105.60円以上は反落注意とするが105.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)105.15円割れからは下げ再開とみて15日朝安値105.03円試しとし、底割れからは104円台中盤(104.75〜104.25)への下落を想定する。104.50円以下は反騰注意とするが15日朝安値を割り込んだ後も105.20円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/16(金)
EU首脳会議最終日
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調済 (7月 203億ユーロ、予想 180億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調前 (7月 279億ユーロ、予想 151億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)

21:30 (米) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.6%、予想 0.7%)
21:30 (米) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 0.7%、予想 0.5%)
22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 0.5%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 71.4%、予想 71.8%)
22:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 8月 企業在庫 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (9月 80.4、予想 80.5)
29:00 (米) 8月 対米証券投資 (7月 -887億ドル)
29:00 (米) 8月 対米証券投資・短期債除く (7月 108億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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