ドル円見通し 米大統領感染速報からの急落を退院報道で解消(20/10/6)

株高が進み、安全資産買い後退による債券売りから米長期債利回りが上昇する中で、高値を切り上げて2日に急落する直前高値を超えて9月30日高値105.80円に迫っている。

ドル円見通し 米大統領感染速報からの急落を退院報道で解消(20/10/6)

ドル円見通し 米大統領感染速報からの急落を退院報道で解消

〇ドル円、トランプ大統領退院報道後105.50を超え続伸入り、その後も高値を切り上げる展開
〇10/5NYダウ・ナスダックともに上昇、株高により米長期債利回り上昇加速気味か
〇金融市場全般トランプ大統領に振り回される状況、今後も容体に関する続報注意
〇105.50以上での推移中は上昇余地あり、105.80超えからは106円試しを想定
〇105.50割れを弱気転換注意、105.30割れからは弱気サイクル入りと仮定、104.93試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は10月2日午後にトランプ米大統領がコロナ陽性と速報されたことでのリスク回避から円高反応となり2日午後には104.93円まで急落した。急落一巡後は軽症説も出て続報待ちとなり、2日夜の米雇用統計での失業率改善や大幅下落で開始したNYダウが下げ幅を解消する動きとなったことで2日午後の急落幅に対して凡そ半値を戻したところで先週を終えた。
週明け5日はトランプ大統領が米国時間5日にも退院するとの報道からリスク選好感が回復したとして105.50円を超えて続伸入りとなり、夜も、株高が進み、安全資産買い後退による債券売りから米長期債利回りが上昇する中で、高値を切り上げて2日に急落する直前高値を超えて9月30日高値105.80円に迫っている。

【トランプ大統領に振り回される、長期債利回り上昇に注目】

金融市場全般はトランプ大統領に振り回されている状況だ。トランプ米大統領は5日夕方に退院するとツイートし、日本時間6日7時半に退院した。大統領の容体を巡っては情報が錯綜したが、4日に自身が入院中の軍病院周辺に集まった支持者に車中から応え、軽症をアピールしたことで週明けは序盤からやや楽観的なムードとなっていたが、退院する見込みとの報道や5日夜に発表された米ISMの9月サービス業景況指数が市場予想を上回り前月から上昇したこと、さらにメドウズ米大統領首席補佐官が米メディアに与野党協議が難航している追加景気対策について「合意の可能性はある」と発言したことが楽観ムードを高めた。

NYダウは2日の取引開始当初に400ドル以上の下落となったが終盤への持ち直しで134.09ドル安まで回復したが、5日は前日比465.83ドル高と上昇した。ナスダック総合指数も2日に前日比251.49ポイント安と下げたが5日は257.47ポイント高と大幅上昇した。
株高により安全資産である債券は売られたため、米10年債利回りは前日比0.08%上昇の0.78%となり6月9日の0.83%以来の高水準となった。30年債利回りも0.10%上昇の1.59%となった。米長期債大量発行による需給のゆるみで米長期債利回りはなかなか低下せずに高止まり状態が続いてきたが、株高により利回り上昇が加速気味となり始めている。

米長期債利回り上昇ならドルは買われやすくなり、ドル円では日米金利差を意識してドル高円安を助長した。その一方で米長期債利回り上昇によるドル高圧力以上に株高によるリスク選好感の強まりでユーロ、ポンド、豪ドル等は買われてドルストレートでのドル安感が再燃している。
米大統領の退院は、2日の発症からわずか4日目であり、発症から数日経過した後に重症化するリスクが高いことを踏まえると早すぎる退院という印象もあるので、今後も容体についての続報によっては市場全般が混乱する可能性は残ると思う。しかしこのまま職場復帰、大統領選挙活動再開、バイデン氏とのTV討論会も行うような流れに入り、感染予防よりも経済優先とするトランプ政策の正当性を主張すれば再選の可能性も高まるかもしれない。逆にまだ投開票までは1か月近くを残しているので、選挙戦終盤で容体悪化となれば戦局もガラリと変わりかねない。しばらくは続報注意だろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月25日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、30日午前高値からの下落で30日夕刻を割り込んだだめに1日朝時点では30日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は30日午後から10月2日夕にかけての間と想定したが、2日午後へ急落してから急落幅の半値以上を戻したために5日朝時点では2日午後安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは5日午前から7日午前にかけての間への上昇余地ありとした。
6日早朝へ続伸しているため引き続きトップ形成中とみるが、前回サイクルトップから4日目に入るので反落注意期とし、105.50円割れを弱気転換注意、105.30円割れからは弱気サイクル入りとして7日午後から9日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5日夕刻への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを突破した。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし反落注意期に来ており30日午前高値に対してほぼ往って来い間で戻しているので遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒して安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2日午後安値からの持ち直しを続けて60ポイント台に到達したが70ポイントには届いていない。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみて40ポイント割れを目指す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.50円を下値支持線、9月30日午前高値105.80円、次いで106円を上値抵抗線とする。
(2)105.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、30日午前高値超えからは106円試しを想定する。106円到達では戻り売りも出やすいとみるが、106円超えから続伸に入る場合は106.25円から106.50円にかけてのゾーンへ上値目途を引き上げる。また105.50円以上での推移が続く場合は7日午前にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)105.50円割れを弱気転換注意とし、105.30円割れからは弱気サイクル入りと仮定して2日午後安値104.93円試しへ向かうとみる。105円台序盤は押し目買いも入りやすいところとみるが、105.30円以下での推移が続く場合は7日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/6(火)
休場、中国
日米豪印の4カ国外相会合
米国務長官、日韓モンゴル歴訪
12:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 2.8%、予想 2.6%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前年同月比 (7月 -7.3%、予想 -3.5%)
21:30 (米) 8月 貿易収支 (7月 -636億ドル、予想 -661億ドル)
22:00 (欧) ラガルドECB総裁、パネル討論会
23:40 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、全米企業エコノミスト協会年次会合で講演
24:30 (欧) レーンECB理事、講演
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
27:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

10/7(水)
休場、中国
米副大統領候補討論会(ユタ州ソルトレークシティー)
07:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論会参加
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)速報値 (7月 86.7、予想 89.0)
14:00 (日) 8月 景気一致指数(CI)速報値 (7月 78.3、予想 79.4)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.2%、予想 1.8%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -10.0%、予想 -8.7%)

21:10 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
25:30 (欧) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC 9月15-16日開催分)議事要旨
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
27:15 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
28:00 (米) 8月 消費者信用残高 前月比 (7月 122.5億ドル、予想 140.0億ドル)
29:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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