来週の為替相場見通し:『新型コロナ感染拡大と米中対立激化が市場の焦点』(8/1朝)

ドル円は、7/1に記録した高値108.17をトップに反落に転じると、7/31には、一時104.19(約4ヵ月半ぶり安値)まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『新型コロナ感染拡大と米中対立激化が市場の焦点』(8/1朝)

新型コロナ感染拡大と米中対立激化が市場の焦点

〇ドル円は週末にかけ約4ヵ月半ぶり安値となる104.19まで急落後、106円近辺まで戻して終了
〇FOMCでは政策金利フォワードガイダンス等変更なし外国中銀向けスワップ協定は延長
〇ユーロドルは週末にかけ2018年5月以来となる高値1.1908まで急伸するも1.17台に反落して越週
〇ドル円相場、テクニカル、ファンダメンタルズとも「下落リスク」が警戒される
〇ISM製造業景況指数雇用統計など注視、中国の為替操作国認定リスクも要警戒
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー107.00 (EURUSD):1.1600−1.1900

今週のレビュー(7/27−7/31)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初105.97で寄り付いた後、@米中対立激化を嫌気した世界的なドル売り圧力(米経済の先行き不透明感→ドル独歩安)や、A新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気したリスク回避の円買い圧力、B米経済指標の冴えない結果(米7月コンファレンスボード消費者信頼感指数や、米第2四半期GDP速報値の大幅悪化)、C米FRB(連邦準備理事会)による積極緩和の継続発表(※)、D米政治における先行き不透明感の高まり(トランプ米大統領は「米大統領選の延期の可能性」について言及)、E米長期金利の大幅低下(米債利回り低下→ドル売り)が重石となり、週末にかけて、3/12以来、約4ヵ月半ぶり安値となる104.19まで急落しました。もっとも、週末海外時間にかけては、月末ロンドンフィキシングに絡む持ち高調整が支えとなり(大規模なショートカバーを誘発し)、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、105.86近辺まで急速に値を戻す展開となっております。

※7/28ー7/29に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、@FF金利誘導目標の据え置き(全会一致)、A米経済をサポートするため、あらゆる手段を行使し、雇用の最大化と物価安定の促進に全力で取り組む方針(必要な限り政策金利をゼロ%近辺に留める方針)、B資産買い入れについて、今後数ヵ月間「少なくとも現在のペースで続ける方針(毎月1200億ドルの米債及び住宅ローン担保証券の買い入れ)」、C外国中銀向けドルスワップ協定及びFIMAレポファシリティの延長方針(2021年3月31日まで)が示されました(積極的な金融緩和継続→ドル売り)。尚、市場参加者が注目していたフォワードガイダンスの変更等については、次回9月会合に持ち越される結果となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1646で寄り付いた後、@EU復興基金案の合意成立を背景とした欧州経済の回復期待(ユーロ買い)や、Aドイツ7月Ifo景況感指数(結果90.5、予想89.3)の良好な結果、B米中対立激化を嫌気した世界的なドル売り圧力(米経済の先行き不透明感→ドル独歩安)、C年初来高値突破に伴う大規模ロスカット、D米FRB(連邦準備理事会)による積極緩和の継続発表、E米政治における先行き不透明感の高まり(トランプ米大統領は「米大統領選の延期の可能性」について言及)、F米経済指標の冴えない結果(米長期金利低下→ドル売り)が支援材料となり、週末にかけて、2018年5月以来となる高値1.1908まで急伸しました。もっとも、週末海外時間にかけては、月末ロンドンフィキシングに絡む持ち高調整が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.1782近辺まで押し戻される展開となっております。

来週の見通し(8/3−8/7)

<ドル円相場>
ドル円は、7/1に記録した高値108.17をトップに反落に転じると、7/31には、一時104.19(約4ヵ月半ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合の悪さ」を印象付けるチャート形状となっております(月末ロンドンフィキシングの影響で7/31海外時間に急反発する場面も見られましたが、一目均衡表転換線及び基準線が続伸を阻む展開に)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖→中国も成都にある米国総領事館を閉鎖)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感の高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。欧米株や商品市況(特に原油やゴールド)の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン、米中対立激化を巡る続報(米財務省による中国の為替操作国認定リスクにも要警戒)、米主要経済指標の結果(米7月ISM製造業景況指数や、米7月雇用統計など重要イベント目白押し)、睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(米中対立激化や新型コロナ第2波に絡む不確実性が一段と増す中、来週はリスク回避ムードの再燃に要注意)。

来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー107.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、6/22に記録した約3週間ぶり安値1.1168をボトムに反発に転じると、7/31にかけて、約2年2ヶ月ぶり高値となる1.1908まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A米中対立激化懸念(米中による報復措置の応酬→世界経済の不安定化リスク)、B世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏に波及する恐れ)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏における新型コロナ感染者数の拡大)、EECBによる緩和的な金融政策の継続など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に「地合いの強さ」が見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を巡るヘッドライン、ユーロ圏の主要経済イベント(欧州各国の製造業・サービス業PMIや、ユーロ圏6月小売売上高、ドイツ6月鉱工業生産など)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(来週は、EU復興基金合意成立に伴う楽観ムードから、新型コロナ第2波リスクや米中対立先鋭化リスクを嫌気したリスク回避ムードに切り替わる展開を想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1900

注:ポイント要約は編集部

新型コロナ感染拡大と米中対立激化が市場の焦点

ドル円日足

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