ドル円、直近安値トライに失敗。リスク回避のドル買いで再び107円台に値を戻す
〇ドル円反騰107円台を回復
〇米国の在ヒューストン中国総領事館の閉鎖要求、6月中古住宅販売件数の増加が背景
〇ユーロドルは1.1621まで一段高
〇ドル円106.60台の支持帯を下抜けること出来ず
〇米中対立激化が本格化すれば、市場のテーマがリスク回避の円買い(株安→円高)に回帰する恐れも
〇ドル円相場下落がメインシナリオ 本日の予想レンジ106.70ー107.40
海外時間の為替概況
22日(水)の外国為替市場でドル円は安値圏から反発。@EU復興基金の合意(対ユーロでのドル売り)や、A米国における追加景気対策期待、B上記@Aを背景としたリスク選好のドル売り圧力が重石となり、アジア時間には一時106.71まで下落しました。しかし、前日安値106.69をバックに下げ渋ると、C米中対立激化を嫌気したリスク回避のドル買い圧力(米政府が知的財産権の保護を目的に、在ヒューストン中国総領事館の閉鎖を要求→中国外務省は対抗措置を講じる構えを示唆)や、D米6月中古住宅販売件数の増加(結果472万件、予想475万件、前月391万件、※予想には届かなかったものの前月の水準を大幅に超過)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値107.29まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、107.17近辺で推移しております(方向感を見出し辛い時間帯が継続)。
22日(水)のユーロドル相場は一段高。@約5日間にわたるEU首脳協議(対面)を経て、7/21付けでEU復興基金が合意に至ったこと(欧州の景気回復期待→ユーロ買い)や、A米国における追加景気対策期待、B上記@Aを受けたリスク選好のドル売り(株高→ドル売り)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、2018年10月16日以来、約1年9ヶ月ぶり高値となる1.1601まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点では(日本時間5時00分現在)では、1.1573近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/21は一時106.69まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、一目均衡表雲下限及びボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。但し、今セッションにおいても、106.60台の支持帯を下抜けることが出来ず(昨日も安値トライ失敗後に反発)、市場参加者が同水準を意識していることが伺えます(7/10安値106.64、7/15安値106.66、7/21安値106.69、7/22安値106.71)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国。※イールドカーブ・コントロール導入議論を続ける米国と、7/15の日銀金融政策決定会合を経て追加緩和観測が後退した日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米政府が在ヒューストン中国総領事館の閉鎖を要求し、中国外務省も対抗措置を講じる構え。米中報復合戦の始まりの恐れ)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(外交リスクの高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク(世界的な感染再拡大)、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。足元ではリスク選好時にドルが売られ、リスク回避局面でドルが買われる傾向にありますが、米中対立激化が本格化すれば、市場のテーマがリスク回避の円買い(株安→円高)に回帰する恐れもある為、引き続きダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。欧米株や原油先物価格の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン、米中対立激化を巡る続報、米国における追加景気対策の行方(ムニューシン米財務長官は今月中の合意を目指しているが、民主党・共和党間の隔たりは大きく、月内合意は困難との見方も浮上)、米主要経済指標の結果(新規失業保険申請件数や、米6月景気先行指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:106.70ー107.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.04.19
ドル円、イスラエルのイランに対する報復ミサイル攻撃報道に、一時153円台後半に急落 (4/19午前)
19日午前の東京市場でドル円はもみ合い後に急落。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.04.19
ドル円見通し 154円割れを買われて再び155円の壁に挑戦(24/4/19)
ドル円は154円割れを買われて一段高を伺う位置に付けている印象だ。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.19
ドル円、G7・G20通過後に再び上昇。日米金利差に着目したドル買い・円売りが再開(4/19朝)
18日(木)のドル円相場は下落後に急反発。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.07.23
ドル円 上下双方試すもブレーク失敗、レンジ継続か(7/23夕)
23日の東京市場は、横這い。東京休場もあり、107円前半でほぼ動意らしい動意はうかがえなかった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.07.22
一転してドルの下値不安台頭、底割れなるか(7/22夕)
22日の東京市場は、レンジ取引。ここ最近のレンジ下限である106円後半において一進一退をたどっていた。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。