ドル円見通し 107円台回復、6月23日安値割れはひとまず回避だが、方向感定まらない展開(20/7/14)

ドル円はドルストレートでのドル安よりも株高に同調したリスク選好の円安が勝ったためにジリ高の上昇を続けて107円台序盤を回復している。

ドル円見通し 107円台回復、6月23日安値割れはひとまず回避だが、方向感定まらない展開(20/7/14)

ドル円見通し 107円台回復、6月23日安値割れはひとまず回避だが方向感定まらない展開

〇ドル円は海外序盤ドルストレートでのドル安よりリスク選好の円安が勝り107円台序盤を回復
〇ダウは昨晩一時500ドル超上昇後10.50ドル高まで上げ幅を削り、ナスダックは226.6ドル安で終了
〇カリフォルニア州の活動規制再開報道が株安のトリガー
〇107円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、107.50前後は戻り売りにつかまりやすいところ
〇107円割れから続落に入る場合は、10日深夜安値106.62試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は6月23日深夜安値106.06円から7月1日午前高値108.16円まで上昇した後は伸び悩み、7月2日から7月9日までは107.50円を中心値として高安レンジを共に拡大するレンジ拡張型の持ち合いを形成していたが、7月10日に持ち合いの下値支持線を割り込む一段安となり、10日深夜には106.62円まで下落した。
ドル円が週末夜にかけて下落したのは、当初は9日からの米国株安によるリスク回避での円高であり、10日夕刻以降は米国株反騰によりリスク選好感が強まる中でユーロやポンド、豪ドル等が買われたことでドル安感が強まったことだった。週明けも当初は米国株が大幅続伸する中で深夜にかけてユーロ高ドル安等が進んだが、ドル円はドルストレートでのドル安よりも株高に同調したリスク選好の円安が勝ったためにジリ高の上昇を続けて107円台序盤を回復している。

5月以降のドル円は、5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円をダブル底として下値支持線を形成しているが、6月5日高値109.84円への上昇時を除けば108円台序盤では上値が抑えられており、凡そ2円幅ので推移が中心となっている。ナスダック総合指数が史上最高値を連日のように更新しているものの株高と同調したリスク選好での円安反応は鈍く、株高に際してドルストレートでのドル安となる場合にはドル円が下落反応となる場面も多い印象だ。感染拡大が収まらない中での株高に対してのドル円の反応はやや慎重であり、リスク回避感が強まる場合はドルストレートでドル高となってもリスク回避での円高も生じるために値動きが鈍くなっている。当面は106円前後から108円前後までのレンジ内で方向感を探る展開が続きやすいところかもしれない。

【感染拡大への懸念も徐々に深刻化】

NYダウは7月9日の前日比361.19ドル安に対して10日は369.21ドル高と上昇して下げ幅を解消し、週明けの13日も一時は500ドル以上の続伸となったが、カリフォルニア州の活動規制再開報道等から株安に転じて前日比10.50ドル高まで上昇幅を削った。ナスダック総合株価指数は7月8日から10日まで3連騰して史上最高値を更新し、13日も高値で10824.79ポイントまで最高値を更新していたが、深夜の急落で前日比226.6ポイント安で終了した。高値からは450ポイントを超える大幅下落で、日足は高値更新から急落してほぼ安値引けとなる大陰線となった。

NYダウは6月8日以降は高値更新へ進めずにナスダック総合指数の史上最高値更新に対しても慎重な姿勢に止まってきたが、アフターコロナの復興期待及び金融緩和による資産インフレ期待による3月暴落からの巻き返しも一巡し、感染拡大が止まないことへの不安感により上値が徐々に重くなってきた。ナスダック総合株価指数が下落基調に転じる場合は米国株高に同調してきた世界の主要株価指数も連鎖的に下落基調に転じかねないところと思われるが、その際は、ドルストレートでのドル買い戻しによるドル高よりも、クロス円全般の円買い戻しによる円高が勝ることになるのではないかと考える。

米カリフォルニア州は全州でレストランの屋内営業を再び停止し、感染拡大が深刻な地域で教会、ジム、美容院などを閉鎖すると発表した。経済活動再開を急いだり当初から緩めていたところの感染拡大が収まらない。
7月14日朝時点の世界全体の感染者数は1322万人を超えた。米国は13日時点で347.8万万人に拡大しているが連日にわたり6万人を超える増加となっている。フロリダでは1日の増加数が1万人を超え、カリフォルニア、テキサス、ジョージア等の感染増が深刻だ。ブラジルは188.7万人に増加、インドも90万人を超えた。ブラジルの他にペルー、チリ、メキシコが10位以内に入っており南米の感染爆発は深刻だ。アジア、欧州は落ち着いてきているが世界全体のパンデミックは収まる気配が見られない。
日本においても感染者増加が目立ち始め、第二波到来への懸念も強まっている。検査数増を背景とした増加であり今のところは重傷者や死者の顕著な増加はみられないものの、市場全般への不安感を助長する動きとなっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月7日午前安値を前回のサイクルボトム、7日夜高値を同サイクルトップとして弱気サイクルに入ったが、7日午前安値から3日半となる10日深夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りした。今回のトップ形成期は7月7日夜高値を基準とすれば10日夜から14日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、107円台を維持する内はサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとし、107円割れからは弱気サイクル入りを疑う。

60分足の一目均衡表では7月13日深夜への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが悪化するところからは下げ再開を疑い安値試し優先とする。また先行スパンから再び転落するところからは下げ再開感が強まると思われる。

60分足の相対力指数は7月10日夕刻から深夜への下落時に指数のボトムが切り上がる小規模の強気逆行を見せてから反騰入りしている。13日深夜に70ポイントを超えてからは、相場が高値を更新しているものの指数のピークが切り上がっていないため、今度は弱気逆行を発生させる可能性があると注意する。60ポイントを割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.00円を下値支持線、107.50円を上値抵抗線とする。
(2)107円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、107.50円前後は7月2日から8日までの持ち合いにおける中心値であり、戻り売りにつかまりやすいところとみる。
(3)107円を一時的に割り込んでも切り返す内は上昇再開余地ありとするが、107円割れから続落に入る場合は10日深夜以降の戻り一巡による下落再開と仮定して10日深夜安値106.62円試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

7/14(火)
未 定 (中) 6月 貿易収支・米ドル建て (5月 629.3億ドル、予想 5960億ドル)
未 定 (中) 6月 貿易収支・人民元建て (5月 4427.5億元、予想 4250.0億元)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合
10:30 (豪) 6月 NAB企業景況感指数 (5月 -24)
13:30 (日) 5月 設備稼働率 前月比 (4月 -13.3%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -8.4%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -25.9%)
15:00 (独) 6月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
15:00 (独) 6月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)

15:00 (英) 5月 月次GDP 前月比 (4月 -20.4%、予想 5.5%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産指数 前月比 (4月 -20.3%、予想 6.0%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産指数 前年同月比 (4月 -24.4%、予想 -20.0%)
15:00 (英) 5月 貿易収支・物品 (4月 -74.90億ポンド、予想 -82.00億ポンド)
15:00 (英) 5月 貿易収支・合計 (4月 3.05億ポンド、-6.35億ポンド)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -17.1%、予想 14.5%)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -28.0%、予想 -20.5%)
18:00 (独) 7月 ZEW景況感・期待指数 (6月 63.4、予想 60.0)

21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 0.1%、予想 0.6%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.1%)
27:00 (米) ブレイナードFRB理事、オンラインセミナー
27:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論会

7/15(水)
休場、トルコ
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
09:30 (豪) 7月 ウエストパック消費者信頼感指数 (6月 93.7)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (英) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.2%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.2%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前年同月比 (5月 1.0%、予想 1.1%)
15:00 (英) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 0.6%、予想 0.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見

21:30 (米) 6月 輸入物価指数 前月比 (5月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 6月 輸出物価指数 前月比 (5月 0.5%、予想 0.8%)
21:30 (米) 7月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (6月 -0.2、予想 8.4)
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.4%、予想 4.3%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 64.8%、予想 67.8%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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