ドル円上値は重く6月安値を視野に入れる流れ(週報7月第2週)

株価の反転をよそにドル円はレンジ下抜けの動きから一時106円台半ば近くまで押す動きとなりました。

ドル円上値は重く6月安値を視野に入れる流れ(週報7月第2週)

ドル円上値は重く6月安値を視野に入れる流れ

〇ドル円は先週特段の材料もない中で、売りオーダーの水準下げで107円割れ
〇株式市場の好調続くも過熱による高値警戒感には警戒が必要
〇中国GDP、本邦の感染拡大要注視
〇週後半にECB理事会、EUサミット、G20とイベントが続き欧州発のニュースにも注意
〇今週は106.20レベルをサポート、107.50レベルをレジスタンスとする流れか

今週の週間見通し

先週のドル円は前半は107円台半ばを中心として方向感のはっきりしないもみあいを続けていましたが、木曜になりドル売りオーダーが107.50水準に下がってきたことが主な理由と考えられる上値の重さからじり安の動きへと流れが変化しました。金曜東京市場では株安も手伝って106円台へと入り込み、株価の反転をよそにドル円はレンジ下抜けの動きから一時106円台半ば近くまで押す動きとなりました。

この間、ドル円に目立った材料はありませんでしたが、逆に目立った材料が無い中でもみあいとなっていたことから、動きが出たことでドル売りについていった動きであると考えられます。また、金曜の株式市場は新型コロナ治療薬とワクチン開発を材料に米国株がリードして週後半の下げを回復してはいますが、株式市場特有の先取りの動きであることを考えると、経済活動再開後の各国の感染者数急増の状況下でこのまま楽観的な地合いを続けられるのかとなるとやや疑問です。

特に中国では上海総合が年初来高値どころか昨年高値まで上抜ける動きを見せていて、業種間の格差はあるとはいえ世界的な株高をけん引しています。中国株や米国ナスダックが強い間は株式市場は堅調な動きが続くと見る参加者が多いいっぽうで過熱による高値警戒感も出ていますので、為替市場は現状では株式市場とは距離を置いた動きとはなっているものの、株式市場が下げる時には円高地合いが進む可能性があるため注意が必要です。

今週は国内では週前半に日銀会合があり、海外では週後半にECB理事会、EUサミット、G20と続きますが、日銀会合もECB理事会も現状維持でしょうから金融政策面での影響は少ないと見られますが、EUサミットに向けての思惑がユーロ円にも影響し、その動きがドル円に波及するという可能性があり、これは上下どちらにも動きうるため、欧州発のニュースには注意しておきたいところです。

また、その他の経済指標としては中国4〜6月期GDPがもっとも注目されます。中国ではすでに4〜6月期は経済活動が回復していましたので1〜3月期のー6.8%から+2.1%へと再び成長へと戻る予想が出ていますが、この予想に対してどのような結果が出てくるかによって中国株への影響とそれが波及しての主要株価指数への影響が気になるところです。

そして国内の動きとしてはもうひとつ気になるのが東京都内の新規感染者が200人超で安定していることです。国内の新規感染者のうちの多くが東京を中心に首都圏に集中していることや、経済活動再開から首都圏内での人の動きはかなり以前の状態に近づきつつあり、明確に感染者増加のカーブも以前の急角度に戻ってきています。西村再生相も昨日の会見で「感染状況を見ながら休業要請も考えなければいけない」と発言していることから、その範囲にもよりますが、日経平均の悪材料とされる可能性は高いと思われます。

テクニカルには下げてきてはいるものの大きくはレンジ内の動きです。今一度先週からの変化を確認しておきましょう。

3月下旬以降の動きは先週振り返った通り、5月安値105.99と6月高値109.85の水準は、3月安値と3月高値の半値押し106.43(ピンクのターゲット)と安値がほぼ重なり、3月高値と5月安値の61.8%戻し109.51(紫のターゲット)が高値と誤差の範囲でした。また、5月高値と6月安値の半値戻し107.96(青のターゲット)と近いところで反落し、6月安値と7月高値と78.6%(61.8%の平方根)押しとなる106.52(黄緑のターゲット)に近い水準まで金曜に押したこととなります。

日柄的に7月12日の前後の営業日は円高との相関が高く、その時間帯に円高に動いたということから、いったんは下げの動きにブレーキがかかりやすいのですが、着実に上値を下げる動きとなってきていることから目先はこの下降トレンドを継続し、6月安値を視野に入れる展開にあると見た方がよさそうです。

今週は6月安値に近い106.20レベルをサポートに、先週木曜に上値が重かった107.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月13日(月)
15:00 ドイツ6月PPI
16:00 トルコ5月経常収支、鉱工業生産
22:00 英中銀総裁講演
24:30 NY連銀総裁講演
26:00 ダラス連銀総裁講演

7月14日(火)
**:** 日銀会合(〜15日)
**:** 中国6月貿易収支
08:01 英国6月小売売上高
10:30 豪州6月企業景況感
15:00 ドイツ6月CPI
15:00 英国5月GDP、貿易収支
18:00 ドイツ7月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏7月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産
21:30 米国6月CPI
26:30 (セントルイス連銀総裁講演)

7月15日(水)
**:** トルコ市場休場
09:30 豪州7月消費者信頼感
12:** 日銀会合結果発表
15:00 英国6月PPI
15:30 黒田日銀総裁会見
17:00 南ア5月CPI
21:30 米国7月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国6月輸入物価指数
22:15 米国6月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 週間原油在庫統計
25:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
27:00 ベージュブック

7月16日(木)
07:45 NZ4〜6月期CPI
10:30 豪州6月失業率
11:00 中国4〜6月期GDP
11:00 中国6月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国6月失業率
15:45 フランス6月CPI
17:00 トルコ6月財政収支
18:00 ユーロ圏5月貿易収支
18:30 南ア5月PPI
20:15 英中銀総裁講演
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国6月小売売上高
23:00 米国7月NAHB住宅市場指数
23:00 米国5月企業在庫

7月17日(金)
18:00 ユーロ圏6月CPI
18:00 ユーロ圏5月建設支出
19:00 英中銀総裁講演
21:30 米国6月住宅着工・建設許可件数
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感速報値
**:** EUサミット(〜18日)

7月18日
**:** G20

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月6日(月)
東京前場は週明けの株式市場が大幅高となる動きとともにリスクオンの動きからドル円、ユーロ円での円売りが目立ちました。その後の主役はユーロに移り、ユーロドルでのドルの動きがドル円にも波及しじり安の展開。NY後場には107.26レベルと先週月曜以来の安値をつけ上値の重たいままでの引けとなりました。

7月7日(火)
東京前場は前日安値をトライする場面があったものの1銭のみ更新で抜け切れず反転、後場に入って突っ込んで売った向きのストップも加わって反転上昇の動きになりました。欧州市場では前日高値をわずかに上回ったものの東京前場同様に抜けきれず、NY市場では107円台半ばへ下押し後は動きが止まっての引けとなりました。

7月8日(水)
東京市場のドル円は仲値に向けてのドル買いで107.71レベルの高値をつけましたが、後場に入り事前に言われていた日経平均ETF売りの影響による株価の下げで行って来い。その後NY市場までは上値が重たいながらももみあいとなっていましたが、NY市場前場には欧州通貨の買いに引っ張られたドル売りとなり、引けにかけては107.20レベルまで水準を下げて安値圏での引けとなりました。

7月9日(木)
ドル円はNY市場に入るまでは107.25レベルを中心としたもみあいを続けまったく方向感が出ない流れが続きました。NY市場が始まり株式市場が下げる動きとともに一時的に円買いの場面も見られましたが、その後はユーロ売りの動きにドル買い戻しの動きとなってもみあい水準を変えられないままに引けました。

7月10日(金)
ドル円は東京市場では株安とともに円買いの動きが先行、週間安値を更新する動きも重なって上値の重たい展開が続きました。その後海外市場に入りダウ先物が反転上昇する動きから株式市場は全般に強い地合いとなったものの、ドル円の売りはNY前場まで続き106.64レベルの安値をつけました。引けにかけてはダウが大幅高となったことから週末前の買い戻しも出て、107円目前まで戻しての引けとなりました。

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