ドル円、米主要株価指数の下落を背景に上値の重い展開が継続(7/10朝)

9日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。

ドル円、米主要株価指数の下落を背景に上値の重い展開が継続(7/10朝)

ドル円、米主要株価指数の下落を背景に上値の重い展開が継続

〇ドル円欧米株の急落、トランプ財務記録開示命令で一時107.11まで下落
〇米新規失業保険申請件数は131.4万、4月中旬以来の低水準を記録
〇ユーロドルは欧米株下落、ポンド反落に1.1286まで急落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇アジア株動向、米国の対中国製品サービス規制の動き等注視
〇本日の予想レンジ106.80ー107.60

海外時間の為替概況

9日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@アジア株の底堅い動きや、A上記@を背景としたリスク選好の円売り圧力(クロス円上昇→ドル円連れ高)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、一時107.41まで上昇しました。しかし、B欧米株の急反落を受けて、リスク回避の動きが強まると一転(クロス円下落→ドル円連れ安)、Cトランプ米大統領を巡る不確実性の高まり(米連邦最高裁判所はトランプ米大統領の財務記録の開示を命ずる判断を下した)や、D新型コロナ感染再拡大を巡る先行き不透明感(米消費などへの悪影響に対する懸念)も重石となり、米国時間朝方には、一時6/29以来となる安値107.11まで下げ幅を広げる場面も見られました。

引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.20近辺で推移しております(1日の値幅はわずか30銭)。尚、昨日発表された米新規失業保険申請件数は131.4万件と、市場予想の137.5万件、前回の141.3万件から減少するなど、4月中旬以来の低水準を記録しました。

9日(木)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@アジア株の底堅い動きや、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力が支援材料となり、アジア時間には、一時6/11以来となる高値1.1371まで上昇しました。しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、B欧米株の冴えない動きや(新型コロナ感染再拡大懸念)、C上記Bを背景としたリスク回避のドル買い圧力、D米新規失業保険申請件数の良好な結果(ドル買い)、Eバルニエ欧州連合(EU)離脱主席交渉官による「EUと英国との間には依然として深刻な隔たりがある」との発言(英ポンド下落→ユーロ連れ安)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1286まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点では(日本時間4時40分現在)では、1.1289近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日は一時107.11(6/29以来の安値)まで反落しました。節目108円をバックに戻り売り意欲は根強く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲下限を割り込んだことで、強い売りシグナルを表す三役逆転が成立中。目先は心理的節目107円割れが射程圏内)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新型コロナ感染再拡大→米経済の先行き不透明感)、B米中対立激化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決)、C世界的な貿易戦争再開リスク、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナ第2波リスク(外出規制再開への警戒感)、F日本経済の先行き不透明感(鉱工業生産、日銀短観、家計調査共に冴えない結果。日本経済低迷→インフレ鈍化→実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクに絡む続報や、米中対立激化に関するヘッドライン(トランプ米大統領はファーウェイなど中国5社の製品を使った企業の物やサービスの発注を禁止する規制を完成させる予定)、アジア株及び欧米株の動き(米ダウ平均株価が大幅下落したことで、アジア株の連れ安に要注意)、米主要経済指標の結果(米6月卸売物価指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(強い売りシグナルを表す三役逆転成立を受けてチャート形状が悪化しており、目先は心理的節目107円割れを試す展開を想定)。

本日の予想レンジ:106.80ー107.60

ドル円、米主要株価指数の下落を背景に上値の重い展開が継続

ドル円日足

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