ドル円、6/29以来の安値を更新。強い売りシグナルを表す三役逆転も成立
〇ドル円米株式反発しリスク選好の回復に107.21まで下落
〇ユーロドルはリスク選好の回復と英国の追加刺激策によるポンド高へのつれ高で1.1352まで急伸
〇本邦の機械受注、中国のインフレ指標、米国の新規失業保険申請件数および卸売売上高等注視
〇ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:106.80ー107.60
海外時間の為替概況
8日(水)の外国為替市場でドル円は反落。公表相場決定にかけて、一時107.71まで上値を伸ばすも、前日高値107.80をバックに伸び悩むと、@欧米株の堅調推移や、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力、B好調な米10年債入札を受けた米長期金利の低下が重石となり、米国時間午後にかけては、6/29以来となる安値107.21まで反落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.22近辺で推移しております。
8日(水)のユーロドル相場は急上昇。@欧米株の堅調推移や、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力、B英ポンドの急上昇(英国のスナック財務相が追加ウイルスパンデミック対策を公表→英ポンド急伸→ユーロ連れ高)、C好調な米10年債入札を受けた米長期金利の低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、6/16以来となる高値1.1352まで急伸しました(日通し安値はアジア時間に記録した1.1262)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点では(日本時間4時40分現在)では、1.1334近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、昨日は一時107.21(6/29以来の安値)まで反落しました。節目108円をバックに戻り売り意欲は根強く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲下限を割り込んだことで、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決)、C世界的な貿易戦争再開リスク、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナ第2波リスク(外出規制再開への警戒感)、F日本経済の先行き不透明感(鉱工業生産、日銀短観、家計調査共に冴えない結果。日本経済低迷→インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクに絡む続報や、米中対立激化に関するヘッドライン、アジア株及び欧米株の動き、日中米の主要経済指標の結果(本邦の機械受注や、中国のインフレ指標、米国の新規失業保険申請件数および卸売売上高など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(強い売りシグナルを表す三役逆転成立を受けてチャート形状が悪化。心理的節目107円割れも射程圏内に)。
本日の予想レンジ:106.80ー107.60
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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