ドル円、米財政出動期待で上昇するも戻りは鈍い。パンデミック再燃リスクが重石(6/17朝)

16日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に値を崩す展開。

ドル円、米財政出動期待で上昇するも戻りは鈍い。パンデミック再燃リスクが重石(6/17朝)

ドル円、米財政出動期待で上昇するも戻りは鈍い。パンデミック再燃リスクが重石

〇ドル円 株高、米小売売上高の劇的改善に米時間朝方に107.61まで上昇後107.21まで反落
〇米中での感染再拡大、中印、南北朝鮮での地政学リスク、パウエル議長の景気先行き不透明発言が重石
〇ユーロドルは1.1353まで急伸後に1.1228まで急落、1.12台半ばに戻す荒い値動き
〇ドル円はテクニカル、ファンダメンタルズとも地合いの弱さ確認される
〇米中第2波リスク到来に端を発したリスクオンの巻き戻しに注意が必要
〇ドル円相場の下落がメインシナリオ、節目107円割れを想定
〇本日の予想レンジ:106.80ー107.65

海外時間の為替概況

16日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に値を崩す展開。@米FRBによる広範な米社債を買い入れる(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCF)との発表や、Aトランプ米大統領による総額1兆ドル規模の財政出動検討報道、B上記@Aを受けたリスク選好ムード(リスクオンの株高→クロス円上昇→ドル円連れ高)、C米5月小売売上高の力強い結果(結果17.4%、予想8.4%)が支援材料となると、米国時間朝方にかけて、高値107.61まで上昇しました。

しかし、アジア時間に記録した高値107.64を超えられず失速すると、D新型コロナ第2波リスクへの警戒感(米フロリダ州や米テキサス州に加えて、中国北京でも感染拡大の報告→パンデミック再燃リスク。特に中国北京では警戒レベルを2級へ引き上げ)や、E全米各地で活発化する人種差別抗議デモ、F中国国境付近でのインドとの衝突(中印を巡る地政学的リスク)、G南北連絡事務所の爆破に端を発した朝鮮半島を巡る地政学的リスク、HパウエルFRB議長による「米景気回復の時期や強さには著しい不透明感がある」「景気が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する」との発言が重石となり、米国時間午後にかけては、安値107.21まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.30近辺で推移しております。

16日(火)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@米FRBによる広範な米社債を買い入れる(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCF)との発表や、Aトランプ米大統領による総額1兆ドル規模の財政出動検討報道、B上記@Aを受けたリスク選好ムード(リスクオンの株高→ドル売り・円売り)、C全米各地で活発化する人種差別抗議デモを受けたドル売り圧力、D6/18−6/19に予定されているEU首脳会議(EU復興基金に進展が見られるか否か)への期待感が支援材料となり、欧州時間序盤にかけて、高値1.1353まで急伸しました。

しかし、E新型コロナ第2波リスクへの警戒感(米フロリダ州や米テキサス州に加えて、中国北京での感染拡大報告→パンデミック再燃リスク)や、F米5月小売売上高の力強い結果(結果17.4%、予想8.4%)、F中国国境付近でのインドとの衝突(中印を巡る地政学的リスク)、G南北連絡事務所の爆破に端を発した朝鮮半島を巡る地政学的リスクが重石となると、米国時間にかけて、安値1.1228まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1260近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、先週末金曜日(6/5)に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、6/11には一時106.58まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの悪さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時107.64まで反発するも結局反落。上値の重さを再確認する形に)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、中印、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク、E日本経済の先行き不透明感(実質金利上昇→円高)、F全米各地で広がる人種差別抗議デモなど、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「地合いの弱さ」が確認されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は織り込み済み(消化済み)であり、ここから先は「米中第2波リスク到来に端を発したリスクオンの巻き戻し」に注意が必要でしょう(中国による特別国債入札や、欧州のEU復興基金への期待感、米FRBによる財政出動を受けて昨日は一時的にリスクオンをもたらしましたが、いずれもある程度織り込まれていたことであり、sell the factに要注意)。新型コロナウイルスを巡るヘッドライン(特に中国北京では警戒レベルを引き上げており続報に警戒)や、米主要経済指標の結果(住宅関連指標等)、中印や朝鮮半島を巡る地政学的リスク、欧米株や米長期金利の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(節目107円割れを想定)。

本日の予想レンジ:106.80ー107.65


注:ポイント要約は編集部

ドル円、米財政出動期待で上昇するも戻りは鈍い。パンデミック再燃リスクが重石

ドル円日足

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