ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ続落。米株および原油先物価格の急落が重石に
〇ドル円は米長期金利の低下と株式市場のリスクオン相場巻き戻しの動きに一時106.58まで下落
〇米国の一部地域でのコロナ感染者数増加が第二波懸念強める
〇ユーロドルはリスクオフのドル買いに1.13割れ水準まで下落
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも「地合いの弱さ」確認される
〇ドル円相場の下落がメインシナリオ、本日の予想レンジ106.30ー107.20
海外時間の為替概況
11日(木)の外国為替市場でドル円は続落。@先週末金曜日の力強い米雇用統計を受けても尚110円を突破できなかったこと(110円トライ失敗に伴う見切り売り)や、A200日移動平均線を下抜けことに伴うロング勢のロスカット、B日本時間早朝に発表された米FOMC(連邦公開市場委員会)にて、2022年までのゼロ金利継続方針が示されたこと、CパウエルFRB議長が記者会見で「イールドカーブ・コントロール(YCC)導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と発言したこと、D上記BCを受けて米長期金利が低下したこと(ドル売り)、
E米国における感染者数拡大(第2波リスクへの警戒感)を受けて、米株及び原油先物価格が急落したこと(米ダウ平均株価は一時1600ドル超の急落、原油先物価格も前日比10%超の急落)、Fリスクオン相場の巻き戻しを受けて、リスク回避の円買い圧力が強まったこと等が重石となり、米国時間には、約1ヵ月ぶり(5/11以来)安値となる106.58まで下落しました。引けにかけて持ち直すも(資産現金化需要のドル買いが背景)戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、106.86近辺で推移しております。
11日(木)のユーロドル相場は急反落。@日本時間早朝に発表された米FOMC(連邦公開市場委員会)にて、2022年までのゼロ金利継続方針が示されたことや、AパウエルFRB議長が記者会見で「イールドカーブ・コントロール(YCC)導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と発言したこと、B上記@Aを受けて米長期金利が低下したこと等が支援材料となり、一時約3ヵ月ぶり高値(3/10以来)となる1.1422まで急伸する場面も見られました。しかし、C新型コロナ第2波リスクの高まりから、市場がリスク回避の動きを強めると、D米株および原油先物価格の急落を受けた資産現金化需要のドル買いに波及し、米国時間には一時1.1293まで急落する動きとなりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.1308近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(6/5)に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、昨日は一時106.58まで急落しました(わずか4営業日で3.28円の下落幅)。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの悪さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク、E日本経済の先行き不透明感(実質金利上昇→円高)など、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「地合いの弱さ」が確認されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は既に織り込み済みであり、ここから先は「第2波リスク到来→リスクオンの巻き戻し(※先週までの違和感のあるリスクオン相場の終焉)」の流れに警戒が必要でしょう。米中を巡るヘッドラインや、米主要経済指標の結果(米6月ミシガン大消費者信頼感指数など)、欧米株や米長期金利の動向、米国における感染者数の変化を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(クロス円一段安→ドル円連れ安の流れがメインシナリオ)。
本日の予想レンジ:106.30ー107.20
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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