円全面安続くか注目、米雇用統計に要注意(6/5夕)

5日の東京市場は、ドル強含み。連日の戻り高値更新で、4月高値である109.38円に一時面合わせする局面も観測されていた。

円全面安続くか注目、米雇用統計に要注意(6/5夕)

円全面安続くか注目、米雇用統計に要注意

〇ドル円は日中のもみ合いから夕刻にかけ上伸に転じ、一時109.40レベルに上昇
〇欧州の追加刺激策と香港情勢が注目されるユーロ円は124.40台へ上昇
〇ユーロ円は今週だけで5円上昇、週間の上げ幅は2016年以来
〇円安にさすがに行きすぎ感もあるがリスクは一段の円安方向か
〇海外時間は米中対立と全米に広がるデモ活動の動き、雇用統計に注意
〇欧米時間のドル円予想レンジ108.70-109.90

<< 東京市場の動き >>

5日の東京市場は、ドル強含み。連日の戻り高値更新で、4月高値である109.38円に一時面合わせする局面も観測されていた。

ドル/円は109.10-15円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。109.00-25円といったレンジ取引に。週末ゴトー日で仲値不足観測なども取り沙汰されたが、レンジを抜けられなかった。しかし、夕方にかけて上抜けると、4月高値に面合わせする109.35-40円までドル高が進行。16時現在でもドルは109.30-35円の高値圏を維持し、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「欧州情勢」と「香港情勢」について。
前者は、ECBが定例理事会で政策金利の据え置きを決定すると同時に、パンデミック緊急購入プログラムの買い入れ規模を6000億ユーロ増額させたことが話題に。さらに、その後もECB総裁から「ユーロ圏経済は第3四半期には上向きに転じる」などとした楽観的な見解が聞かれ、ユーロの支援要因となっていた。実際、ユーロ/円は昨日年初来高値を更新したことに続き、本日東京時間にも続伸。124.40円台と昨年5月以来の高値を示現している。
対して後者は、中国が「新型コロナ対策」を名目に開催を禁止した「天安門の追悼集会」が香港で強行され、メディアによると参加者は1万人以上にのぼったという。集まった市民らは事件の犠牲者を追悼すると同時に、中国が香港への導入を決めた国家安全法制への反対を訴えていた。なお、そうしたなか香港の立法会(議会)では、中国国歌「義勇軍行進曲」を侮辱する行為を禁じる国歌条例が親中派の賛成多数で成立している。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円単体で見た場合、上値も少しずつ重くなりつつある感を否めないが、足もとはユーロ/円を中心にクロスにおいても円は全面安の様相だ。ちなみに、ユーロ/円は今週だけで5円も上昇している。もちろん、今週はまだ終了してないものの、一週間でユーロが5円もの上昇をたどっているのは過去2-3年観測されておらず、2016年7月以来ということになりそう。そんなユーロ/円をメインとして、さすがに買われ過ぎ、短期的には行き過ぎているとの指摘も聞かれるが、リスクとしてはさらなる円安方向への進展に注意を払いたい。

材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と、「全米に広がるデモ活動」の動きになる。後者について、米大統領副報道官が、エスパー国防長官が否定的な考えを示した米軍投入を、「判断するのはトランプ大統領だ」と述べたことなども気掛かりだろう。また、本日は注目の5月の米雇用統計発表も予定されており、そちらももちろん要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京時間も続伸し、4月6日高値109.38円に面合わせした。ただ、ここまでのところ、同レベルを抜け切れておらず、ドルは強保ち合いに。
ユーロ/円の5円まではいかないが、ドル/円はそれでも今週だけで2円程度の上昇をたどっている。現状「週初安・週末高」の気配も濃厚だ。改めるまでもなく、リスクは上向きだが、調整的な下押しにも一応の注意を払いたい。

本日、5月の雇用統計という米経済指標が発表される予定となっている。水曜日に発表された先行指標のADP雇用統計がかなりの好数字になったが、昨日発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は逆に予想ほど改善されなかった。好悪は混在した格好と言えよう。
なお、そんな雇用統計のうち、市場の関心がもっとも高い非農業部門雇用者数の事前予想値はおよそマイナス800万人程度が見込まれているようだ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.70-109.90円。本日東京高値にもあたる109.35-40円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければフィボナッチのテクニカルポイント109円半ばや110円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、少し遠いが強いサポートとなると昨日安値108.62円か。仮に割り込んでも、移動平均の200日線が位置する108.40円レベルを下回る展開は予想しにくい。

円全面安続くか注目、米雇用統計に要注意

ドル円日足

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