ドル円、リスク選好の動きが継続中。クロス円の上昇に連れる形で109円台を回復
〇ドル円一時109.17(その後109.20)まで上昇
〇ライトハイザーUSTR代表による「中国は感染拡大中でも貿易合意の順守で健闘」「中国が大豆購入を停止するとの報道は誤り」との発言や米長期金利上昇がサポート
〇ユーロドルは大幅続伸、ECBがパンデミック緊急購入プログラム拡大を決めたことで1.1362まで上昇
〇ユーロ円は一時1年1か月ぶりの高値123.97へ
〇ドル円、テクニカル主導で底堅い動き継続するもファンダメンタルズの弱さが続伸を阻むシナリオを想定
〇4/6高値109.39をトップに反落に転じるシナリオか
〇本日の予想レンジ108.40ー109.40
海外時間の為替概況
4日(木)の外国為替市場でドル円は上昇。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(投資家心理の改善期待→リスク選好ムード→クロス円急伸→ドル円連れ高)や、A200日移動平均線(108.39)を上抜けたことに伴う中長期勢のロスカット、Bライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による「中国は感染拡大中でも貿易合意の順守で健闘」「中国が大豆購入を停止するとの報道は誤り」との発言、C米長期金利の上昇等が支援材料となり、米国時間にかけて、4/7以来となる高値109.17まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、109.13近辺で推移しております。
4日(木)のユーロドル相場は大幅続伸。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(投資家心理の改善期待→リスク選好ムード→ユーロ円急伸→ユーロドル上昇)や、A欧州中央銀行(ECB)が「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を6000億ユーロに拡大させる」と共に、「買い入れ期間の半年延長」「保有債券の2022年末までの再投資継続」を発表したこと(予想以上の措置を好感→ユーロ圏景気の回復期待→ユーロドル急伸)、Cドイツ政府によるパンデミック対応財政刺激策の合意、D冴えない米経済指標(新規失業保険申請件数の高止まり)を受けたドル売り圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、3/11以来となる高値1.1362まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1333近辺で推移しております(この間、ユーロ円相場は年初来高値を更新し、昨年5月以来、約1年1ヵ月ぶり高値となる123.97まで急伸)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、約2ヵ月ぶり高値109.17まで急伸し、心理的節目109.00越えを達成しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲上限を突破した他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(@ローソク足の雲上限突破、A転換線の基準線上抜け、B遅行線の26日前のローソク足突破)も出現するなど、テクニカル的にみて「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(特に200日線突破後に上昇に弾みがついた格好=短期ショート勢のみならず、中長期ショート勢もロスカット)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第二波リスク、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル主導で底堅い動きが継続するも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。世界的な外出規制緩和を受けた期待感は既に織り込み済みとなっていることから、ここから先は一巡後の「反落リスク」により警戒が必要でしょう(ユーロ円が年初来高値を更新し、約1年ぶり高値圏へ急伸するなど、ショート勢のロスカットが昨晩のタイミングで一気に出てきた印象あり→ショートカバーの一巡によってポジションが軽くなる為、新規のショートエントリーが出やすい状況)。米中対立激化を巡るヘッドラインや、新型コロナウイルスの感染状況、米主要経済指標(米雇用統計など)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(4/6高値109.39をトップに反落に転じるシナリオを想定)。
本日の予想レンジ:108.40ー109.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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