ドル円、リスクオン継続。良好な米中経済指標も相俟って節目109円を試す展開
〇ドル円は世界的外出規制緩和による楽観ムード、株、原油先物の上昇を背景に急伸、一時108.99へ上昇
〇米中の良好な経済指標もドル円の上昇をサポート
〇ユーロドル相場も大幅続伸、米国時間にかけ3/12以来の高値1.1250まで急伸
〇テクニカルにはドル円は心理的節目109.00越え試し
〇200日線を越えたことで中長期のショート勢もロスカットを余儀なくされた模様
〇ファンダメンタルズは引き続きドル売り・円買い材料多い
〇ここから先は一巡後の「反落リスク」に警戒必要、109円を超えても4/6高値109.39トップに反落か
〇本日の予想レンジ:108.40ー109.40
海外時間の為替概況
3日(水)の外国為替市場でドル円は急伸。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株および原油先物価格の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円上昇)、B200日移動平均線(108.39)を上抜けたことに伴うショート勢のロスカット(ショートカバー)、C中国5月財新サービス業PMI(結果55.0、予想47.3)の良好な数字、D米5月ADP雇用統計(結果▲276.0万人、予想▲900.0万人)及び米5月ISM非製造業景況指数(結果45.4、予想44.0)の力強い結果が支援材料となり、米国時間には、4/9以来となる高値108.99まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、108.91近辺で推移しております。
3日(水)のユーロドル相場は大幅続伸。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株および原油先物価格の上昇を受けた投資家心理の改善期待(ユーロ円上昇→ユーロドル上昇)、BEU復興基金への期待感、C6/4ECB理事会への期待感(パンデミック緊急購入プログラムの増額期待)、Dドイツ5月サービス業PMI(結果32.6、予想31.4)の良好な結果が支援材料となり、米国時間にかけて、3/12以来となる高値1.1250まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1242近辺で推移しております(この間、ユーロ円相場は1/17以来となる高値122.54まで急伸)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、約2ヵ月ぶり高値108.99まで急伸し、心理的節目109.00越えを試しております。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲上限を突破した他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(@ローソク足の雲上限突破、A転換線の基準線上抜け、B遅行線の26日前のローソク足突破)も出現するなど、テクニカル的にみて「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(特に200日線突破後に上昇に弾みがついた格好=短期ショート勢のみならず、中長期ショート勢もロスカット)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(トランプ米大統領は中国航空会社による米国への乗り入れを16日から禁止すると発表。中国政府による対抗措置に警戒)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染拡大リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク。本邦における東京アラート発動など)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル主導(200日線突破を受けたショートポジションの解消)で急伸するも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。世界的な外出規制緩和を受けた期待感は既に織り込み済みとなっていることから、ここから先は一巡後の「反落リスク」により警戒が必要でしょう。米中対立激化を巡るヘッドラインや、新型コロナウイルスの感染状況、米主要経済指標(米新規失業保険申請件数など)の結果を睨みながらも、当方ではドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目109円を上方ブレイクした場合も、4/6高値109.39をトップに反落に転じると予想)。
本日の予想レンジ:108.40ー109.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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