米中対立と米デモの行方が相場の波乱要因に(6/2夕)

107円後半、30ポイント足らずとレンジは狭かったが、終盤にかけてドル買いがやや目立つ展開だった。

米中対立と米デモの行方が相場の波乱要因に(6/2夕)

米中対立と米デモの行方が相場の波乱要因に

〇ドル円は107円台後半で終盤にかけてドル買いがやや目立つ展開
〇米中対立と米国内の黒人差別に対する抗議デモ拡大が引き続きテーマに
〇米中対立での米農産物輸入一時停止は中国が「一歩」をついに踏み出した感もある
〇本日海外時間の米指標は小粒
〇欧米時間のドル円予想レンジ107.30-108.10

<< 東京市場の動き >>

2日の東京市場は、ドルが高値引け。107円後半、30ポイント足らずとレンジは狭かったが、終盤にかけてドル買いがやや目立つ展開だった。

ドル/円は日中安値圏である107.50-55円で寄り付いたものの、積極的な動意に乏しい。日経平均株価が終値ベースで263円高を記録した反面、NYダウ先物は弱含みで推移するなど股裂き商状となり、材料視しにくかった。実際、107.50-80円といったように、レンジは狭かったが終盤にかけてはややドル買いが目に付くと、16時現在でもほぼ日中高値圏で推移、欧米時間を迎えている。
なお、値動きそのものは決して大きくなかったが、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨が小高い。たとえば豪ドル/円や豪ドル/ドルは、一時今年2月末以来の高値を記録していた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中対立」と「米国におけるデモ活動」について。
前者は、香港情勢を中心とした米中対立が激しさを増し、中国サイドから引き続き「米国の内政干渉」などといった批判コメントが聞かれるなか、「中国が大豆など米農産物輸入を一時停止するよう求めた」との報道が観測され物議を醸す。そうした状況を憂慮してか、ロイターからは「米中第1段階通商合意破棄」の可能性について言及した記事の配信も観測されていた。今後の動きに要注意だ。
対して後者は、黒人差別に対する抗議デモが全米に広がるなか、ホワイトハウス近くでもデモが実施されており、CNNによると「トランプ米大統領は家族とともに、一時地下壕に避難した」という。また、「周辺のデモ隊に催涙ガスが発射された」との報道も確認されるなど、行動も過激さを増してきた感を否めない。そうしたなかトランプ氏は、州知事らとの電話会談を行い、デモ参加者への対応や一斉逮捕のほか、国旗を燃やす行為を禁止する条例の制定などを求めたほか、のちの会見では「自治体や州政府が行動しないならば軍を動員」する可能性を指摘していた。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日筆者は、「香港情勢を中心とした米中対立が激しさを増している感を否めないが、双方ともギリギリのところでは踏み止まっている」−−と指摘した。しかし、前述したように中国サイドの対応が、懸念していた「一歩」をついに踏み出した感もあるところは気掛かりだ。結果からすると、ドル/円はそれでもレンジ取引で、いまだ方向性が乏しいものの、今後の進展次第で金融市場も予断を許さない。

材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、ついに「新型コロナウイルス」を上回る注目を現在集めている「米中対立」と、「全米に広がるデモ活動」の動きになる。また、米財務長官が指摘したように、本日は「G7財務相が電話会合開催」の見込みとなっており、そちらにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円は引き続き107円台を中心としたレンジ取引で目立った方向性がうかがえない。すでに、107.06-108.09円という、およそ1円レンジが半月にも及ぶ。まずは、レンジブレークの方向性とタイミングが注視されている。
ちなみに上抜けば、移動平均の200日線などが位置する108.30円レベルをまず目指す反面、底割れすれば106.74円や105.99円などがターゲットに。

本日も幾つかの米経済指標が発表されるものの、全体的に小粒で市場の注目度も低い。正直、マーケットへの影響は限定的か。ただ明日以降、週末にかけては注目の米雇用関係指標の発表が相次ぐだけに、注意だけは怠らないようにしておきたい。
また、それとは別に、先で指摘した「G7財務相による電話会合」には一応要注意か。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.30-108.10円。時間足ベースなど短期的には先週だけで最低4度ドルが上げ止まっている107.90-95円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ108.09円などが再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値にあたる107円半ばが最初のサポート。割り込むと、昨日安値の107.38円や107.06円などがターゲットとなる。

米中対立と米デモの行方が相場の波乱要因に

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