ドル円、上値の重い展開が継続。米中対立激化と全米デモへの警戒感が重石に(6/2朝)

1日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。

ドル円、上値の重い展開が継続。米中対立激化と全米デモへの警戒感が重石に(6/2朝)

ドル円、上値の重い展開が継続。米中対立激化と全米デモへの警戒感が重石に

〇ドル円は昨晩中国の一部米農産物輸入中止報道、全米デモ激化等で頭の重い展開
〇一時107.39まで下げるも21日線背景に下げ渋る、日通し高値は107.86
〇ユーロドルは3/17以来の1.1153まで急伸するもフィボナッチ61.8%を前に反落
〇ドル円は5日連続108円台乗せに失敗、上値の重さ印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズもドル売り・円買いを想起させる材料多い
〇本日の予想レンジ107.00ー108.00

海外時間の為替概況

1日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。@米中対立激化を背景としたリスク回避ムードの高まり(※中国が米国産大豆の一部輸入を停止するとの報道等)や、A全米での大規模デモを嫌気したドル売り圧力、B108.00トライに4日連続で失敗したことに伴う見切り売り、C対ユーロでのドル売り圧力(対円でのドル売りに波及)が重石となり、欧州時間序盤にかけて、一時107.39まで下げ幅を広げました。しかし、21日移動平均線をバックに下げ渋ると持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.59近辺で推移しております(日通し高値は107.86)。尚、注目された米5月ISM製造業指数(結果43.1、予想43.5)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。

1日(月)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ユーロドル上昇)、BEUが復興基金を承認するとの期待感、C全米での大規模デモを嫌気したドル売り圧力、Dイタリアやフランスの製造業PMIが改善したこと等が支援材料となり、欧州時間朝方には、一時1.1153まで急伸しました(3/27に記録した直近高値1.1148を上抜け、3/17以来の高値を記録)。しかし、フィボナッチ61.8%戻し(3/9高値と3/23安値を起点)をバックに戻り売りが強まると、E米中対立激化を嫌気したドル買い(※中国が米国産大豆の一部輸入を停止するとの報道等)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1130近辺まで押し戻される展開となっております(日通し安値は1.1100)。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、5/19に約1ヵ月ぶり高値108.09まで上値を伸ばすも、200日移動平均線が走る108.35をバックに伸び悩むと、その後下落に転じました(5/29には一時107.08まで反落)。108円台での滞空時間は極めて短く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(※5/26高値107.93→5/27高値107.96→5/28高値107.90→5/29高値107.89→6/1高値107.86と5日連続で108円乗せに失敗)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(香港を巡って対米関係が一段と悪化。状況次第では米中第一段階合意が白紙となるリスクも)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、F全米で広がる大規模デモなど、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制緩和を受けた期待感は既に織り込み済みとなっていることから、ここから先は一巡後の「反落リスク」により警戒が必要でしょう。米中対立激化を巡るヘッドライン(米国による対中制裁や、中国による報復措置の発動など)や、全米で広がるデモの状況を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米中対立激化→クロス円反落→ドル円下落の流れを想定)。

本日の予想レンジ:107.00ー108.00


注:ポイント要約は編集部

ドル円、上値の重い展開が継続。米中対立激化と全米デモへの警戒感が重石に

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