ドル円見通し 107円台後半中心で揉み合い、方向感探る展開続く(20/5/26)

日本では感染拡大に対する緊急事態宣言の解除が発表された事も多少好感されて日経平均は前日比353.49円高と上昇したが、ドル円を大きく動かすインパクトには欠けた。

ドル円見通し 107円台後半中心で揉み合い、方向感探る展開続く(20/5/26)

ドル円見通し 107円台後半中心で揉み合い、方向感探る展開続く

〇昨晩は英米休場でドル円も107.60以上の水準での横ばい
〇ドル円は底堅さとともに上値の重さも、復興期待に上昇感見せる株式市場とは必ずしも同調せず
〇リーマンショック後はFRBの大規模緩和で円高進行、今回も状況が似ており、円高に進みやすい面も
〇ドル円は107.50以上で推移中は上向き、107.84越えからは108.07試し、そこを超えると上昇期入り
〇107.29割れからは下値試しとなりやすいか

【概況】

ドル円は5月6日(7日未明)安値105.98円からジリ高基調で推移しており、5月1日未明高値107.49円から5月12日未明高値107.77円、5月19日深夜高値108.07円とほぼ1直線で高値ラインを若干切り上げてきた。一方で安値も5月7日未明安値の後は5月13日夜安値106.74円、5月15日夜安値106.85円、5月20日深夜安値107.43円と切り上げてきたのだが、22日夕安値で107.29円まで下げて20日深夜安値を若干割り込んだ。この段階では7日未明以降のほぼ1直線の安値ラインを割り込んだのだが、その後は安値ラインの上へ持ち直しており、25日朝には107.78円を付けて21日の戻り高値107.84円に迫る状況となっている。

5月25日は米国がメモリアルデー、英国がバンクホリデーで休場だったために為替市場の値動きも乏しかったが、107.60円以上の水準で横ばい推移となった。ドイツのIFO経済研究所による5月の景況指数が79.5となり、過去最低となった4月の74.3から回復して市場予想の79.0を若干上回ったことでリスクオン心理がやや強まったために25日夜にはユーロが対ドルで上昇する場面もあったが長続きしなかった。米トランプ大統領等の政治的な発言もインパクトのあるものはなかった。
日本では感染拡大に対する緊急事態宣言の解除が発表された事も多少好感されて日経平均は前日比353.49円高と上昇したが、ドル円を大きく動かすインパクトには欠けた。

【リーマンショック後の世界的金融緩和では円高に】

2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円まで10.98円の円高ドル安となる急落が発生し、3月24日高値111.71円まで10.48円の円安ドル高となるV字反騰、その後に4月1日安値106.91円へ反落し、さらに5月6日安値105.98円まで二段目の下落となりV字反騰に対する半値押し106.47円を割り込む水準となった。5月6日以降はややジリ高で戻しているものの、5月19日高値108.07円までの戻り幅は2.09円で、4月6日へ短期的に2.46円の上昇となったところをやや下回る程度にとどまっており、底固さと共に上値の重さも見られる状況だ。
ひとまず3月の暴落とV字反騰及び揺れ返しの急落という変動の激しさは落ち着いてきている印象だ。株式市場は総じてコロナショックをひとまず織り込んでアフターコロナの復興期待優先の上昇感を見せているが、ドル円は必ずしも株高と同調したリスクオン的な円安ドル高へと勢い付くには至っていない。
コロナショック対策で世界的な金利引き下げ、実質ゼロ金利化、量的金融緩和による資金供給が拡大している。リーマンショック対策における世界規模の金融緩和政策がショック状態から金融市場全般を復調させたことを彷彿とさせる。

リーマンショック時のドル円は、2007年6月に124.15円だったところから2008年3月17日に95.75円へ下落、いったん8月15日高値110.64円へ戻してからリーマンブラザーズ破綻直後の2009年1月21日安値87.11円へ一段安した。その後に米連銀の大規模な量的緩和が始まる中で円高ドル安が進み、2011年10月31日に75.57円を付けるところまで円高は進行した。すでに実質ゼロ金利状態が長期化している本邦長期債利回りと欧米の長期債利回り格差が縮小基調を継続する中での円高でもあった。
今回のコロナ対策での金融緩和も、日本においても量的緩和拡大となるものの、緩和拡大の規模や長期債利回りの低下余地としては欧米債利回りの低下余地が勝るため、この側面では円高へ進みやすいのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月22日安値107.29円で5月20日深夜安値107.43円を若干割り込んだもののその後の持ち直しにより21日の戻り高値107.84円へ迫っているため、5月20日深夜と5月22日夕刻の両安値をダブルボトムとしてひとまず強気サイクル入りしていると思われる。このため5月22日夕安値を割り込まないうちは5月26日の日中から28日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、22日夕安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして27日夕から29日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月22日夕刻からの戻りで遅行スパンが好転し先行スパンを上抜いている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、107.50円割れからは両スパンそろっての悪化となるために下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は小動きのために方向感に乏しく50ポイント台での横ばいとなっている。50ポイントを割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇へ進むとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円、次いで5月22日深夜安値107.29円を下値支持線、21日夕高値107.84円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円以上での推移中は上向きとし、107.84円超えからは19日夜高値108.07円試しとし、さらに高値更新へ進めば108.50円前後を目指す上昇期入りと考える。また107.50円を割り込んでも22日夕安値割れを回避しつつ107.70円以上へ戻すところからは上昇継続と考える。
(3)107.50円割れからは22日夕安値107.29円試しとし、底割れからは107.00円、次いで5月13日夜安値106.74円等を段階的に目指す下落期入りと考える。107円前後は押し目買いも入りやすいとみるが、107.29円を割り込んだ後も107.50円以下での推移が続くうちは27日以降も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/26(火)
休場、トルコ
13:30 (日) 3月 全産業活動指数 前月比 (2月 -0.6%、予想 -3.9%)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -23.4、予想 -18.9)
20:00 (メ) 1-3月期 GDP確定値 前期比 (速報 -1.6%、予想 -1.6%)
20:00 (メ) 1-3月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 -1.6%、予想 -1.6%)
22:00 (米) 3月 住宅価格指数 前月比 (2月 0.7%、予想 0.5%)
22:00 (米) 3月 ケース・シラー米住宅価格指数 (2月 219.75)
22:00 (米) 3月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (2月 3.5%、予想 3.4%)
23:00 (米) 5月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (4月 86.9、予想 88.0)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (3月 62.7万件、予想 48.0万件)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 前月比 (3月 -15.4%、予想 -23.4%)
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、バーチャル討論会

5/27(水)
16:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 -53、予想 -40)
25:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、バーチャル討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

オーダー/ポジション状況

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