引き続き米要人発言に注意、米指標にも注目
〇ドル円は21日東京時間107円台後半で小高く推移
〇新型コロナ問題はピークを迎えつつあるかもしれないが経済、米中関係への傷跡は深い
〇今晩はフィラデルフィア連銀景況指数他重要指標多く要注意
〇欧米時間のドル円予想レンジ107.30-108.20
<< 東京市場の動き >>
21日の東京市場は、ドルが小高い。30ポイント強とレンジは狭かったが、107円後半を中心としたドル高値圏での推移となった。
ドル/円は、寄り付いた107円半ばを日中安値にドルが小幅高。107.75円レベルまで上昇したのち、やや小緩むも夕方にかけてドルは再上昇をたどると、日中安値の107.80円前後まで値を上げている。日米株価などの動きをにらんでの一喜一憂だった。16時現在では107.70-75円で推移し、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「米通貨当局者の発言など」と「米中対立をめぐる幾つかの動き」について。
前者は、昨日は米地区連銀総裁らによる発言が相次ぎ、足もとの景気については厳しいコメントが相次ぐも、先行きについては楽観的な発言が少なくなかった。たとえば、ダラス連銀総裁は「第3、第4四半期には安定した回復が見られる」とコメントしている。なお、そうしたなか、FRBは事実上のゼロ金利政策を維持した4月28-29日のFOMCの議事録を公表。そのなかで「参加者からは将来のゼロ金利解除に当たって失業率などの必達目標を設定すべきだとの主張が出た」としていた。
対して後者は、相変わらず米国発の中国批判コメントが多数観測されている。2つのほど例を挙げれば、トランプ米大統領が「世界規模での大量殺りくを行ったのは、ほかでもない中国の無能さだ」、また米国務長官も「中国が世界に及ぼした損害に比べれば、WHO感染対策での貢献はわずか」などと発言していたという。また、それらとは別に、米上院が一部の中国企業による米株上場を制限する可能性のある法案を全会一致で可決している。
<< 欧米市場の見通し >>
いわゆる「感染第2波」を警戒しつつも、主要な欧米諸国はなんとか経済活動を再開しており、また取り敢えずは爆発的な感染再開といった状況を免れている。そうした意味では、新型コロナの問題もピークを越えつつあるのかもしれない。ただ、残した傷跡はあまりに深く、とくに貿易などを含めた各国の経済的なダメージはもちろんのこと、コロナに端を発した米中の対立構造が広範囲にわたっていることも気掛かりだ。続報にも注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「新型コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として山積みとなっている。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」関連で、とくにワクチン開発をめぐる動きと米中対立に絡むニュースには引き続き要注意。なお、本日は昨日に続き米地区連銀総裁らの講演など発言機会が多数観測されていることから、その発言内容が波乱要因となりかねないかもしれない。
テクニカルに見た場合、19日にドルは一時108.09円まで上昇し、4月16日高値108.08円をわずかに更新したものの、「しっかり」とは越えられず。また、その後の展開を見ると断定するにはやや早いが、ドルは上値トライを失敗した感も否めない。実際、過去1週間強は106.74-108.09円という1.3円ほどのレンジ取引で、いましばらくはそんなレンジ内での一進一退が続くといった声も少なくないようだ。
本日、5月のフィラデルフィア連銀景況指数のほか重要な米経済指標が多数発表される予定となっている。また、ここにきて若干落ち着きを見せ始めている週間ベースの米新規失業保険申請件数にも注意を払いたい。ちなみに、後者の事前予想値は240万件程度で、前週(298.1万件)よりも改善する見通しとなっている。
そのほか、ウィリアムズNY連銀総裁やクラリダFRB副議長らが参加する見込みのオンラインの討論会などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.30-108.20円。まずは直近高値である108.09円をめぐる攻防に注目。上抜ければ、200日線が位置する108.25-30円や、108.85円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の107.34円が最初の下値メド。割り込んでも底堅いイメージだが107円割れ、106円台後半までの押しは否定出来ない。
(ドル円時間足)
オーダー/ポジション状況
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