ドル円、108円台を維持出来ず急反落。見切り売り主導で前日の上げ幅を全値戻し
〇海外時間にドル円は急反落、一時107.35まで下落前日上昇分を全戻し
〇米中対立懸念激化によるリスク回避ムード、対欧州通貨のドル売り等が要因
〇早朝発表のFOMC議事録は想定内の内容
〇ユーロドルは1.0999まで急伸、ユーロ圏5月消費者信頼感指数の大幅改善が追い風に
〇テクニカルには、昨日の上下動の「真偽」見定めのため、107円台前半の転換線、基準線を死守できるかに注目
〇ドル円は「売り一巡後の再上昇」意識され短期的な上昇トレンドの継続がメインシナリオ
〇本日の予想レンジ107.15ー108.00
注)ポイント要約は編集部
海外時間の為替概況
20日(水)の外国為替市場でドル円は急反落。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和)を受けた楽観ムードの広がりや、A株高・原油高を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)、B日銀が5/22に臨時の金融政策決定会合を開催するとの一部報道(追加緩和期待→円売り)が支援材料となり、前日(5/19)米国時間には、約1ヵ月ぶり高値となる108.08まで急伸しました。しかし、200日移動平均線108.29をバックに戻り売りが強まると、C米中対立懸念の激化を背景としたリスク回避ムードの再燃や、D対ユーロや対ポンドでのドル売り圧力、E108円台での滞空時間の短さを嫌気した俄かロングの見切り売りが重石となり、昨日海外時間には一時107.35まで急落する場面も見られました(前日の上げ幅の全値戻しを達成)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時45分現在)では、107.55近辺で推移しております。尚、日本時間早朝に発表されたFOMC議事要旨は予想通りの結果(低金利の維持+あらゆる手段を行使)に留まり、市場の反応は限定的となりました。
20日(水)のユーロドル相場は急上昇。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和)を受けた楽観ムードの広がりや、Aワクチン開発への期待感、Bドイツとフランスが欧州連合加盟国の経済再建のために5000億ユーロの基金設立を提案したこと(※欧州委員会は5/19、融資と交付金による1兆ユーロ超の新型コロナウイルス復興計画を5/27に提示する発表)、Cユーロ圏5月消費者信頼感指数(結果▲18.8、予想▲24.0)の大幅改善、D対主要通貨でのドル売り圧力が支援材料となり、欧州時間にかけて、高値1.0999まで急伸しました。しかし、心理的節目1.1000を前に伸び悩むと、引けにかけて小反落。本稿執筆時点(日本時間5時45分現在)では、1.0979近辺まで押し返される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、5/6に記録した安値105.98をボトムに反発に転じると、5/19には一時108.08(約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転も成立するなど、テクニカル的に見て、中立→上昇へのトレンド転換が意識されます(但し、昨日は一時107.30台へと押し返されるなど、108円台での上値の重さも浮き彫りに)。昨日の下げが単なる押し目なのか、前日の上げがそもそも騙しなのかを見極める上で、本日は107円台前半に並ぶ一目均衡表転換線および基準線を死守できるか否かに注目が集まりそうです。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日銀による追加緩和観測の高まり(5/22に臨時会合を開くとの報道あり)や、A中国全人代開幕への期待感(5/22に開幕)、B世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスがピークアウトしたとの期待感→リスク回避ムードの後退)、C米主要株価指数や原油先物価格の堅調推移(WTI原油は波乱なく6月限の納会を通過)など、クロス円(含む新興国通貨)上昇→ドル円連れ高を想起させる好材料が増えつつあります。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「売り一巡後の再上昇」が意識されます。本日発表される一連の米経済指標(新規失業保険申請件数や、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、パウエルFRB議長発言など)を睨みながらも、当方では短期的な上昇トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(週末にかけて再び108円台乗せを試す動きを想定)。
本日の予想レンジ:107.15ー108.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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