レンジ放れなるか、コロナ第2波への警戒も(週報5月第3週)

先週のドル/円は、ドルが小高い。基本は107円を挟んだレンジ取引だったが、前週観測された下値トライは失敗に終わった格好となるなど、ドルは底堅かった。

レンジ放れなるか、コロナ第2波への警戒も(週報5月第3週)

レンジ放れなるか、コロナ第2波への警戒も

〇先週のドル円は107円挟みの小動き
〇週間を通して「新型コロナの第2波懸念」と「新型コロナをめぐる中国の対立行動」が材料視
〇コロナ関連ニュースへの為替の感応度は低下しつつある
〇106-108の1か月に亘るレンジをどちらに抜けるか注視
〇今週も材料に大きな変化はないが、5月の一部米指標に改善の兆しが見られる点は注意
〇今週の予想レンジ106.00-108.20

注:ポイント要約は編集部によるものです

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドルが小高い。基本は107円を挟んだレンジ取引だったが、前週観測された下値トライは失敗に終わった格好となるなど、ドルは底堅かった。

前週末に、英首相から「外出制限措置の一部を緩和する」との発言が聞かれたなか、米ジョンズ・ホプキンズ大は最新集計結果として新型コロナウイルスの感染者が「世界全体で400万人を超えた」と発表している。また、「米副大統領報道官がコロナ感染」で、ペンス米副大統領が自主隔離するとの報道も観測されると様々な憶測を呼ぶ。
そうした状況を受けた、週明けのドル/円は、前週末のNYクローズよりもややドル安・円高の106円半ばで寄り付いたが、結局は同レベルが週間を通したドルの最安値圏。そのままドルは右肩上がりの展開をたどると、週間高値107.76円まで1円を超える上昇となった。早い段階で、週の高安両サイドをトライしたことで、週の半ば以降は107円±40銭程度のレンジ取引に。週末NYは107.20円前後で取引を終え、越週している。
また、ポンドが週間を通して弱含み。対円では、週末にかけて3月25日以来となる一時130円割れも観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの第2波懸念」と「新型コロナをめぐる中国の対立行動」について。
前者は、前記したように「世界全体で400万人を超えた」ことが明らかになるなか、外出自粛要請の解除や経済活動の再開に向けた国が数多く観測され始めたが、反面で「第2波」と思しき動きもジワリとみられている。たとえば、中国吉林省で新たに11人がコロナ感染したうえ武漢でも新規感染者が。また、新規感染ゼロを記録していた韓国、あるいはドイツでも再び感染者が広がっている状況が指摘されている。折しも、日本でも39都道府県で「緊急事態宣言」の解除がなされたが、嬉しさ半分、不安も半分といったところで、やはり「第2波」への警戒感は強いものがありそうだ。

対して後者は、これまでも「起源説」などをめぐり米国とバチバチやりあい、それが貿易摩擦再燃観測や、週末にかけてはトランプ米大統領が「中国と断交」を言及するまでとなっていたが、先週はそれ以外でも多方面での対立が明らかとなった。幾つか例を挙げると、日本に対しては沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海に侵入して日本漁船を追尾した問題に関し「日本側が違法操業」などと逆ギレ、また台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を支持したニュージーランドを非難、さらに豪州にも「豪食肉大手4社からの牛肉輸入停止」を発表するなど、ある意味で中国の「元気な姿」が示されている。

<< 今週の見通し >>

ここ最近は、市場を取り巻く材料にそれほど大きな変化はみられない。最大の懸案事項である新型コロナについても、新鮮味を以前ほど感じなくなっていると同時に、市場の感応度もかなり低下しているようだ。実際、為替市場においても、ドル/円相場のレンジ取引に結果として繋がっている感がある。ともかく、ザックリ言って106-108円、過去1ヵ月以上にも及ぶ2円レンジを上下どちらに放れるのか、その方向性にまずは注目だ。

材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、感応度が低下しているとはいえ依然として「新型コロナウイルス」に関連するニュース。ただ、一口に「新型コロナ」関連と言っても、「第2波襲来」を含めた「感染拡大」に関する話はもちろん「治療薬」をめぐる動きや、経済・金融支援、ついに断交の話までも飛び出した「米中対立」など多岐にわたり、問題が複雑化している感も否めない。

テクニカルに見た場合、前述したように過去1ヵ月以上も106-108円のレンジ取引をたどっているだけでなく、期間をグッと縮めれば、取引レンジはさらに狭くなる。たとえば、先週半ば以降の3日間だけとすれば、106.74-107.43円のわずか70ポイントレンジだ。横這いではなく、狭いながらもレンジのなかで上下動をたどっているというところが救いだが、いずれにしてもまずはレンジ放れの有無が注視されていることに間違いない。

今週は、5月のNAHB住宅市場指数や同フィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表される予定となっている。4月分のデータ、米経済指標は全般的に冴えないものが多いが、先週末に発表された5月分は逆に予想を上回るものが目立つており、市場の一部からはやや楽観的な見方も聞かれ始めていた。先週の指標に続く好数字となるのか否か、その内容に注目だ。
また、20年債をはじめとする米財務省の入札や、米地区連銀総裁による講演が相次ぐことにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.00-108.20円。ドル高・円安については、先週高値である107.76円をめぐる攻防にまずは注視。上抜けると、過去1ヵ月程度ドルの上値を阻んできた108円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値の106.74円が最初のサポートに。割り込めば、106円レベルを目指した展開をたどりそうだが、底堅いイメージを指摘する声もある。

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