来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクと米中対立再燃リスクが相場の重石』(5/16朝)

ドル円は、5/11以降、日足雲上限および日足雲下限の範囲内で方向感に欠ける値動きが続いております。

来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクと米中対立再燃リスクが相場の重石』(5/16朝)

新型コロナ第2波リスクと米中対立再燃リスクが相場の重石

〇ドル円は週初各国の経済活動再開期待と米中緊張緩和の動きに107.78まで上昇
〇その後は米経済指標の悪化と悲観的景気見通し、米中の対立激化に106.74に下落
〇小戻しするも戻り鈍く107.04で越週
〇ユーロドルは週初はリスク選好の回復等で1.0897まで上昇するも反落
〇トランプ大統領のドル高支持発言、FRB議長のマイナス金利導入否定等でドルが買い戻され1.0775まで下落、1.0820で越週

〇ドル円はテクニカルがニュートラルに変化
〇「雲」の上下どちらを先に抜けるかに注目
〇ただし、ファンダメンタルズは弱く軟調推移を予想
〇来週の予想レンジ来週の予想レンジ105.75ー108.25
〇ユーロドルのテクニカルは地合いの弱さ示唆
〇ファンダメンタルズも上値を抑制する要因が多き
〇ユーロドルは下落リスクを警戒 来週の予想レンジ1.0650−1.0950

注:ポイント要約は編集部によるものです

今週のレビュー(5/11−5/15)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初106.64で寄り付いた後、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(※新型コロナウイルスを巡る景気下押し圧力が最悪期を脱したとの期待感→投資家心理の改善)や、A米中対立懸念の緩和を受けたリスク回避ムードの後退(※5/8に中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部代表およびムニューシン米財務長官が電話協議を実施)、B先週末の米雇用統計を前に売り込んでいた向きによるショートカバー(材料出尽くし感)が引き金となり、週明け早々に高値107.78まで上昇しました。

しかし、心理的節目108.00や、一目均衡表雲上限107.88に続伸を阻まれると、C米消費者物価指数や米生産者物価指数の大幅低下、D堅調な米10年債入札を受けた米長期金利の低下、EゲオルギエワIMF専務理事による「新型コロナウイルスのパンデミックは各国経済に想像以上の打撃を与えており、世界経済見通しをさらに下方修正する公算が極めて大きい」との見解、F一部メディアによる「米共和党のグラハム上院議員らが対中制裁法案を準備している」との米中対立激化を連想させる報道、GパウエルFRB議長による米経済に対する悲観的な見方が重石となり、週央にかけては、一時106.74まで下落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局107.04での越週となっております。尚、5/15に発表された米・4月小売売上高(結果▲16.4%、予想▲12.0%)は極めて弱い数字となりました(過去最大の落ち込み)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0838で寄り付いた後、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(ドル売り)や、A原油先物価格の上昇を受けたリスク回避ムードの後退(ドル売り)、B冴えない米経済指標を背景としたドル売り圧力(ドル売り)、C米FRBによるマイナス金利導入観測(ドル売り)、Dイタリア政府による新型コロナ追加支援策550億ユーロの閣議承認(ユーロ買い)が支援材料となり、週央にかけて、高値1.0897まで上昇しました。しかし、心理的節目1.0900や、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、その後は、EパウエルFRB議長がマイナス金利導入を否定したこと(ドル買い)や、Fトランプ米大統領による「強いドルは良いこと」との発言(ドル買い)が重石となり、翌5/14には一時1.0775まで下落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.0820での越週となっております。

来週の見通し(5/18−5/22)

<ドル円相場>
ドル円は、5/11以降、日足雲上限および日足雲下限の範囲内で方向感に欠ける値動きが続いております。また、相場の方向性を示唆するボリンジャーミッドバンドも「横ばい」に転じるなど、短期的に見て、「下落→横ばい」へのトレンド転換が意識されます。目先は日足雲上限、雲下限のどちらを先に抜けてくるかに注目が集まりそうです。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米経済指標も冴えない数字が相次いだ)、B米中対立激化懸念(トランプ米大統領は「中国の対応に心底失望」と発言)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E原油先物価格の不安定化リスク(5/19の納会に向けて再び下落するリスク)、F日本経済の先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的に持ち直しの兆し(下落→横ばいへのトレンド転換)が見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます(※事実、通貨オプション市場では円コールオーバーが拡大するなど、円高を織り込む動きが足元で確認されます)。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、日本経済のリセッション懸念(デフレ懸念→実質金利上昇→円買い要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立激化リスク(株安・円買い要因)、新型コロナウイルスの第2波リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は本邦第1四半期GDP速報値や米住宅関連指標、米当局者発言、新型コロナ第2波や米中対立に関するヘッドラインに注目。クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要注意)。

来週の予想レンジ(USDJPY):105.75ー108.25

新型コロナ第2波リスクと米中対立再燃リスクが相場の重石

ドル円日足

<ユーロドル相場>

ユーロドル相場は、5/1に記録した約1ヶ月ぶり高値1.1019をトップに反落に転じると、5/7には一時1.0766まで下げ幅を広げました。この間、一目均衡表基準線や一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(※今週も一時1.0775まで下落するなど、安値圏での軟調な動きが続いております)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、Aドイツ連邦憲法裁判所による「ECBの公的部門証券買い入れプログラムPSPPが一部違憲」との判断に端を発したECBの金融政策先行き不透明、B英合意なき離脱リスクの再燃リスク(6/30がブレグジット交渉の法定期限)、C外出規制緩和後に感染者数が再び拡大に転じる新型コロナ第2波リスク、D原油先物価格の不安定化を受けたリスク回避ムードの再燃リスク(5/19がWTI原油先物6月限納会)、E米中対立激化懸念(対ユーロでのドル買い・円買い要因)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は引き続きたくさん残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的でも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルス関連のヘッドライン(外出規制緩和後に感染者数が拡大に転じたことを伝える報道など)や、欧米株及び欧米長期金利の動向(特にドイツと周辺国の利回り格差)、欧州の主要経済指標の結果(5/19に予定されているドイツ5月ZEW景況感調査や、5/20のユーロ圏・4月消費者物価指数、5/22のユーロ圏各国の5月PMIなど)を睨みながらも、来週はユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0650−1.0950

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