米経済指標などを注意しつつも結局レンジか(5/15夕)

15日の東京市場は、ドルが冴えない。ただ、値動きは30ポイント程度にとどまるなど、明確な方向性は引き続き乏しかった。

米経済指標などを注意しつつも結局レンジか(5/15夕)

米経済指標などを注意しつつも結局レンジか

〇ドル円は107円台前半で小幅な行って来い
〇トランプ大統領の強いドル支持、中国牽制発言が注目集める
〇欧州の一部地域でコロナ感染再拡大の動きがあり見極め必要
〇今週を通じドル円は1.3円幅の値動きにとどまる、今後レンジのどちらに抜けるか注目
〇今晩発表される米5月指標に注意
〇今晩の予想レンジ106.50-107.50

<< 東京市場の動き >>

15日の東京市場は、ドルが冴えない。ただ、値動きは30ポイント程度にとどまるなど、明確な方向性は引き続き乏しかった。

ドル/円は、107.20-25円で寄り付いたのち、当初はややドル買い先行。日中高値である107.45円レベルまで一時上昇している。しかし、高値を示現後は緩やかな右肩下がりをたどる「行って来い」。夕方にかけては、寄り付きレベルを下回る107.15円レベルまで下落となった。16時現在では、そのドル安値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、そうしたなかポンドは緩やかな右肩下がりの流れ。一時下げ渋る局面も見られたが、対円では結局131.40円台から130.60円台までじり安推移をたどっていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「トランプ発言」と「欧州における新型コロナ再拡大の動き」について。
前者は、FOXニュースのインタビューに応じたトランプ米大統領の発言が市場で話題に。幾つか例を挙げると、「強いドルを持つには素晴らしいとき」、「中国には非常に失望している」、「中国と完全に断交することが可能か思案している」、「海外で製造の米企業に課税する方針も検討」−−などとなる。ちなみに、トランプ氏は4月17日の記者会見でも「強いドルは全体としてとても良いこと」と発言しており、以前までとスタンスを変えた「ドル高支持者」への転身が指摘されていた。

対して後者は、イタリアとスペインの保健当局が発表した新型コロナの死者数が再び拡大傾向を示したことが思惑を呼ぶ。またフランスの死者数はそれよりさらに増加し、スペインを再び上回ったことが明らかとなっている。世界第4位の死者数に。ドイツなどを含め、多くの欧州各国はロックダウン(都市封鎖)の解除に動いているが、一方で解除を受けて「第2波」と思しき感染者・死者数増の動きも鮮明になってきた。

<< 欧米市場の見通し >>

前述したように、経済活動の再開を受け欧州などで「コロナ感染の再拡大」とも言える動きが観測され始めている。もちろん、再拡大の規模にもよるのだろうが、各国とも経済を優先させ解除の方針を採り続ける、それとも再びロックダウンなどの措置に踏み切るのか、米国や日本を含めしばらくのあいだ世界情勢を見極めたい。また、それとは別に、さらにエスカレートしている感のある新型コロナをめぐる米中対立の行方にも要注意。

材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として山積みだ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」に関連するニュースになる。ただ、一口に「新型コロナ」関連と言っても、感染拡大や経済などへのダメージ、経済・金融支援、米中対立、治療薬をめぐる動きなど、あまりに多岐にわたっており、以前のように的を絞りにくくなっている。

テクニカルに見た場合、今週のドル/円相場は、ここまで1.3円ほどのレンジ取引だが、それほど動いたのは週明け月曜日だけ。火曜日以降、本日まではというと106.70-107.70円といった、およそ1円レンジでの往来相場だ。ともかく、1円あるいは1.3円という足もとのレンジをいつ、どちらの方向に抜けていくのかにまずは注意を払いたい。

本日は5月のNY連銀製造業景況指数や同ミシガン大学消費者信頼感指数速報といった米経済指標が発表される予定となっている。1-3月の米GDPや4月の雇用統計を持ち出すまでもなく、米経済指標の悪化はこれまでにも顕著だったが、前述した2つの指標は先行して発表される「5月分のデータ」であるだけに、市場の関心も高いものがあるようだ。予想以上の落ち込みを示せば、地合いからいってドル売りがさらにかさむ可能性も否定出来ない。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.50-107.50円。本日東京高値の107.40-45円をめぐる攻防にまずは注目。また本日は週末と言うことで、それとは別に107.20円レベルに位置する移動平均の25日線をNYクローズで越えられるか否かも注視されているようだ。
対するドル安・円高方向は、前回安値である106.74円が最初のサポート。割り込んだ場合には106.65-70円、106.40円などがターゲットに。

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