ドル円、パウエル議長のマイナス金利導入否定発言で反発するも戻りは鈍い
〇ドル円は一時106円台後半まで下落するも持ち直して107円近辺
〇PPIは予想比悪化
〇パウエル議長はマイナス金利を否定したことで反発へ
〇テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスクを示唆
〇本日の予想レンジ106.60ー107.40
海外時間の為替概況
13日(水)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。@米・4月生産者物価指数の急低下(結果▲1.3%、予想▲0.5%)や、AFRBによるマイナス金利導入観測、BパウエルFRB議長による米経済に対する悲観的な発言が重石となり、米国時間朝方には、一時日通し安値となる106.75まで下げ幅を広げました。しかし、一目均衡表転換線や一目均衡表雲下限に続落を阻まれると、CパウエルFRB議長による「マイナス金利導入」を否定する発言(ドル売り圧力の後退)も支援材料となり、ショートカバー主導で一時107.13まで買い戻される場面も見られました。もっとも、D米中対立激化懸念の高まりや、E米主要株価指数の下落を背景に戻りも鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、107.03近辺で上値の重い展開が続いております
13日(水)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A原油先物価格の上昇を受けたリスク回避ムードの後退、B米・4月生産者物価指数の急低下(結果▲1.3%、予想▲0.5%)が支援材料となり、米国時間朝方には一時1.0895まで急伸しました。しかし、CパウエルFRB議長が「マイナス金利導入」を否定すると、対主要通貨でドル買いが強まり、米国時間午後にかけては、日通し安値1.0812まで急落する展開となりました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、1.0814近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、5/11に記録した高値107.77をトップに反落に転じると、昨日(5/13)は一時106.75まで下落しました。この間、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は、106円台後半に控える一目均衡表転換線および雲下限割れを試す動きが想定されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(昨日も「中国は米個人に対する報復措置を検討中」との報道あり)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスクなど)、E原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスク)、F日本経済の先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます(※通貨オプション市場でも、リスクリバーサルが拡大するなど、更なる円高が織り込まれつつある状況)。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、日本経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立激化懸念(株安・円買い要因)、新型コロナウイルスの二次感染リスクの高まり(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※本日は米新規失業保険申請件数などに注目。106.70に控える一目均衡表雲下限を下抜けできれば、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が再点灯し、雇用統計後の上昇幅の全値戻しに繋がる恐れあり)。
本日の予想レンジ:106.60ー107.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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