ドル円、107円台後半で上値の重さを再確認。米中リスクが相場の重石に(5/13朝)

12日(火)の外国為替市場でドル円は高値圏から急反落。

ドル円、107円台後半で上値の重さを再確認。米中リスクが相場の重石に(5/13朝)

ドル円、107円台後半で上値の重さを再確認。米中リスクが相場の重石に

〇ドル円107円台後半から急反落
〇米消費者物価指数が11年ぶりの低下幅
〇ユーロドルは株価の下落によるリスク回避のドル買いで1.08台半ばまで反落
〇ドル円のテクニカルは底堅さを維持するも107円台後半から108円台前半にレジスタンスがありここからの上昇は容易ではない
〇ファンダメンタルズはドル売り円買い材料多し
〇本日の予想レンジ106.70ー107.70 米生産者物価指数に注目

海外時間の為替概況

12日(火)の外国為替市場でドル円は高値圏から急反落。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(※新型コロナウイルスを巡る景気下押し圧力が最悪期を脱したとの期待感→投資家心理の改善)や、A米中対立懸念の緩和を受けたリスク回避ムードの後退(※5/8に中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部代表およびムニューシン米財務長官が電話協議を実施)、B米雇用統計を前に売り込んでいた向きによる買い戻し(材料出尽くし感→ショートカバー誘発)が支援材料となり、日本時間早朝には、一時4/23以来の高値となる107.77まで急伸しました。

しかし、107円台後半に控える一目均衡表基準線(107.69)や雲上限(107.88)をバックに戻り売りが強まると、C米消費者物価指数の結果が約11年ぶり(2008年12月以来)の低下幅に落ち込んだことや、D堅調な米10年債入札を受けて米長期金利が低下したこと、E米主要株価指数の軟調推移を背景にクロス円相場が下落したこと(ドル円連れ安)、FIMFのゲオルギエワ専務理事より「新型コロナウイルスのパンデミックは各国経済に想像以上の打撃を与えており、世界経済見通しをさらに下方修正する公算が極めて大きい」との見解が示されたこと、G一部メディアより「米共和党のグラハム上院議員らが対中制裁法案を準備している」と報じられたこと(米中対立激化懸念)などが重石となり、米国時間引けにかけて、日通し安値107.15まで下落しました。尚、米国のマイナス金利導入議論については、トランプ米大統領より「米国もマイナス金利を導入するべき」との見解が示された一方、米当局者からはマイナス金利に否定的な見解が相次ぎました。

12日(月)のユーロドル相場は上昇後に反落。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A米消費者物価指数の低下幅拡大(約11年ぶりの低下幅)、B米長期金利の低下が支援材料となり、米国時間には、一時1.0885まで上昇しました。しかし、心理的節目1.0900を前に伸び悩むと、C米主要株価指数の下落を受けたリスク回避のドル買いや、D米共和党のグラハム上院議員らが「対中制裁法案を準備中」との一部報道を受けた米中対立激化懸念が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、1.0848近辺まで押し戻される展開となっております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、5/6に記録した安値105.98(3/17以来となる安値)をボトムに反発に転じると、5/11には一時107.77まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や雲下限を上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も消失するなど、テクニカル的に見て、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。但し、107円台後半から108円台前半にかけては一目均衡表基準線や雲上限、200日移動平均線が走っていることから、ここからの更なる上昇は容易では無さそうです(※事実、昨日も107円台後半で失速すると、107円台前半まで反落する結果となりました)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米共和党グラハム上院議員らが「対中制裁法案を準備中」との報道あり)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスクなど)、E原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスク)、F日本経済の先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます(※米雇用統計後のショートカバーが一巡し、再度下落リスクを織り込むステージ)。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、日本経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立激化懸念(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※本日は米生産者物価指数に注目。107円台を割り込む場合には、ロスカット主導で米雇用統計後の全値戻しを試す展開も想定)。

本日の予想レンジ:106.70ー107.70

ドル円、107円台後半で上値の重さを再確認。米中リスクが相場の重石に

ドル円日足

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