ドルの上値余地拡大、108円台乗せトライも
〇ドル円107円台で小安く推移
〇コロナ起源、通商問題をめぐり米中摩擦燻る
〇中国は日本やニュージーランドとのあいだでも対立拡大の動き
〇各国は感染拡大と経済活動再開の難しいバランスとりを強いられることに
〇ドル円は108.10レベルのレンジ上限の攻め注視
〇海外時間の予想レンジ107.20-108.10
<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、ドルが小安い。昨日NYで107円後半までドルは上昇したものの、上値は重く、東京時間も結局上げ渋り。
ドル/円は、107.60-65円で寄り付いたのち、しばらくはドルが強保ち合い。107.55-70円といった値動きとなったが、底割れすると107.35円レベルまで値を下げた。その後はドルの上値が重くなり、それまでのサポートが今度は逆に抵抗に。頭の重いまま、16時現在では107円半ばで推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナをめぐる中国の各国に対する行動」について。
これまでも「起源説」などをめぐり米国とバチバチやりあい、それが貿易摩擦の再燃懸念にまで繋がっていたが、改めて中国の共産党系メディアである環球時報が「中国に米中通商合意の見直しを求める声」などと報じ物議を醸していた。なお、報道について、トランプ米大統領は「再交渉はまったく受け入れられない」と完全否定している。
また、米国が中国人記者を対象に査証(ビザ)発行のガイドラインを厳格化したことを受け、中国外務省は対抗措置を取ると警告。こちらも米中対立を想起させていた。
そうしたなか、中国海警局の船が沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海に侵入して日本漁船を追尾した問題に関し、「日本漁船が違法操業」などと逆に日本を批判。中国側が強く反発したことが日中間での火種に発展しそうな気配になってきた。さらに中国は、台湾のオブザーバー参加を支持したニュージーランドを非難するなど、中国をめぐる国家間の対立構造が広がっているようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナの感染拡大は主要な欧米諸国においてピークを迎えており、経済活動の再開などに踏み切る先も増えてきたなか、「第2波襲来の予兆」と思しき動きも観測され始めている。たとえば中国においては、先日吉林省で新たな感染者が観測されたことに続き、今度は一度抑え込んだ武漢でも感染が明らかとなった。感染拡大の抑制と経済活動再開という、一見相反する事情にどうバランスをとって向かい合うのか、各国首脳は難しい選択を迫られている。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」に関連するニュースだが、前述したように、いまだ感染拡大で苦しむ日米などを尻目に、中国が攻勢をかけていることは非常に気掛かりだ。とくに、米中については、コロナ後に向けた覇権争いがすでに本格化しつつあるようにも思われる。
テクニカルに見た場合、昨日欧米時間にドルは続伸すると、上値は107.76円まで。108.10円レベルの大きなレンジ上限は維持したものの、107円半ばの小さなレンジ上限は越えてきた。本日以降、ドルはさらに続伸し、108.10円を超えていくことが出来るのか否かを注視したい。ドルの上抜けが仮に失敗に終われば、106-108円程度のボックス相場がしばらく続くことになりそうだ。
本日は4月の消費者物価指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。改めて指摘するまでもなく、先週発表された米雇用指標など4月以降の指標はこぞって悪化傾向を示しており、本日の指標にも注意を払いたい。
また、それとは別に米財務省による10年債の入札や、セントルイス連銀総裁やフィラデルフィア連銀総裁による講演などが実施される見込みで、そちらも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.20-108.10円。ドル高・円安方向は、昨日示現したドル戻り高値の107.76円が最初の抵抗。上抜けると、108円台回復が視界内に捉えられ、大きなレンジ上限にあたる108.10円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日のNYクローズでもしっかりと上回ってきた移動平均の25日線が位置する107.30円レベルが今度は逆にサポートに。ただ、割り込んでも底堅いイメージで、足もとでは106円半ばまでに押しがあれば精々か。
ドル円4時間足
オーダー/ポジション状況
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