米4月消費者物価指数(CPI)予想
本日、米国4月消費者物価指数(CPI)が公表されます。3月央から顕著になったコロナウィルスの拡大により、ここまでの米経済指標は大きく悪化していますが、最近の相場(株や為替)は織り込み済の反応です。株式市場に至っては低金利と経済対策期待で大幅に反発し、NYダウは3月23日底値から約30%強の上昇をみせています。
更に最近の市場は米金利のマイナス化を織り込み始める動きもあり、それに対し地区連銀総裁はその見方に対してやんわりと否定するコメントを出しています。既に前月比ではマイナスとなっているCPIがこのまま連続して水面下を継続する事態になれば、米金利の一層の低下もあり得ると思われます。
2020年5月12日9時現在予想
下図(1)は前月比ベース(全体)の推移を示しています。オレンジ色の6ヶ月移動平均線は予想通りならマイナスとなり、もしマイナスになると2014年11月以来のことになります(2014年はアフリカでのエボラ出血熱拡大などによる世界経済停滞懸念がありました)。
前回はその後急反発していますが、今回はまだコロナウィルスの終息が見えない時期ですので、少なくとも5・6月はマイナス継続となりそうです。
(1)米国消費者物価指数(CPI)前月比ベース推移
(黒い線より右側は今回の予想値、赤はゼロ)
一方、下図(2)は前年比ベースのCPIとPCEインフレのコア数値です。前年比ベースのCPIコアは4月一気に2%割れとなり、下がる予想になっています。両者はある程度相関していますので、FRBのインフレ指標であるPCEコアも先々は低下見込みとなりそうです。
(2)米・CPIコア(青)とPCEコア(オレンジ)の前年比ベースの推移
(赤はFRBのインフレ目標値2%、緑より右は今回予想値)
(注:CPIは米労働省統計局が発表し、世帯調査に基づく家計消費に関し、その購入に関わる費用の変化をみたもの。PCEは米商務省統計局が発表し、主に事業所調査に基づいての消費構造の変化をみるもので、PCEには医療保険に関わる費用なども含まれているため、カバーされる範囲が広いのでFRBのインフレ指標に採用されています。)
下図はドル円の日足です。先週まではラインA(=106円75銭)とB(=105円60銭)ないしC(=105円00銭)でドル安トレンドラインを形成していましたが、昨日はAを上抜けたことで、目先はドルが堅調になっています。今日以降A未満で終わらない限り、先に上値をトライできる形になっています。
最初の抵抗線はD(=108円20銭)、次いでE(=109円55銭)、そして今年高値からの抵抗線F(=111円95銭)と続いています。
因みに週足では目先108円00銭にも抵抗線があるので、現在の107円台後半で上値を抑え込まれる可能性もあります。また106円65銭に窓が空いており、今週中に埋めると上値トライのエネルギーが少なくなります。
今日のCPIが予想以上のマイナスになると米金利軟化からドル買いの勢いが少なくなりそうです。この場合にはNY株価への波及度合いも見ておきます。
(5月12日10:40 1ドル=107円55銭)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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