ドル円 緩やかな円高傾向を継続(週報5月第1週)

ゴールデンウィーク中なので、今回は最近考えていることを中心に書いていきます。

ドル円 緩やかな円高傾向を継続(週報5月第1週)

ドル円 緩やかな円高傾向を継続

今週の週間見通し

先週のドル円は、特段目立った材料は無かったものの週初からドル売りが先行、106円台前半へと約1円の円高の動きを見た後に、いったんは週初の水準へとドル買い戻しが入りましたが、週末に向けては改めて押しが入る展開となりました。前週までのドル円は108円台にはドル売りが並んでいたことから、実需を中心とした売り手が水準を下げてきたところに、以前のような特殊要因によるドル買いもなかったことからじり安になったと見ることが一番素直な見方です。

また週後半には107円台半ばでドル売りオーダーが見られたことから、以前108円台にドル売り注文を入れていた実需筋が50銭ほどオーダーの水準を下げてきたであろうことも間違いないところだと思いますが、週後半には一連の金融政策イベントを通過し株価指数も週半ばの戻り高値から反落する動きとなったことで、改めて実体経済の悪さを認識させる流れとなってきていると思われます。以前から特殊要因によるドル買いが解消したことで、実体経済の悪さを材料としたリスクオフは株安、円高という従来型リスクオフの動きとなりやすいという見方をしていますので、ドルの上値が重たくなりやすい地合いは続くというのが基本です。

ゴールデンウィーク中なので、今回は最近考えていることを中心に書いていきます。

日本は水曜までゴールデンウィーク後半の動きということもあって、今週は動きがにぶくなりそうですが、日本は緊急事態宣言を5月31日まで継続、一部制限緩和は認められているものの、首都圏、中京圏、関西圏を中心に人口が多い都道府県では引き続き現状の制限が続くこととなりますので、おそらく今年のゴールデンウィーク後の国内業務再開は来週からと見ていた方が良いでしょう。ちなみに、今回の延長予定では日本の都道府県別人口ランキングトップ10で含まれないのは静岡県のみ、つまり上位9都道府県+茨城、京都、岐阜、石川の13都道府県となっていますので、日本の人口(2020年4月1日)の61.4%を占める地域となります。

既に1か月が経過し、諸外国の例を見ているとこの延長期間でほぼ終息に向かう可能性が高いと思われますが、グローバルに2月から続く人と物の移動による景気への悪影響を見ると、日本と欧州の企業の減益が他の地域(約4割)を大きく上回り7〜8割に達している(日本78%減)との記事が昨日の日経朝刊に出ていました。要因は日本が自動車や素材といった業績悪化業種が多いいっぽうで米国はITが支えている面が大きいためです。

今年のコロナショックは、これまで誰も想定しない出来事でしたが、今回の出来事をきっかけにしてコロナ後の世の中は着実に変化していくと考えざるを得ませんし、為替レートに対応するために企業が努力してきた過去があるように、日本の産業界全体が新たな枠組みへと変化していくきっかけになります。ただ、その過程においてこれまで言われていたようなV字回復ではなく思ったよりも時間がかかりそうなこと、また各産業ごとにこれからの方針への変化対応の取捨選択が起きるであろうことを考えると、少なくとも今後1年程度は厳しい世の中が続くのではないかと、ゴールデンウィーク中に自分の頭の中では世界経済、日本経済の見通しを下方修正しました。

大きなピクチャーは上述の通りですが、足元では今週前後は日柄的にも変化を生じやすいので、おそらくは株価指数が最安値から先週木曜を戻り高値に押してきている動きが短期的な調整の動きとなっていて、今週はこの株安の動きとドル安の動きが中心になってくるのではないかと見ています。

テクニカルにも見てみましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

短期的にはピンクのラインで示した下降ウェッジの中で緩やかなドル安・円高の動きになっていると考えられます。既に年初来安値とその後の戻り高値との半値押し(106.45)は達成していますので、次のターゲットとしては61.8%押しの105.21です。最近の比較的静かな値幅ではまだ距離がありますので、今週というよりは来週以降のターゲットのイメージです。

ここ2週間ほどの値幅を考えると、1円強の値幅を想定した方が現実的なので、上値は先週ドル売りオーダーが見られた107円台半ばには届かず、下値は若干の安値更新を見るというところでしょうか。今週は106.20レベルをサポートに、107.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月4日(月)
**:** 東京市場、中国市場休場
10:30 豪州3月住宅建設許可件数
16:00 トルコ4月CPI
16:00 トルコ4月製造業PMI
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
17:30 香港1〜3月期GDP
23:00 米国3月製造業新規受注、耐久財受注

5月5日(火)
**:** 東京市場、中国市場休場
07:45 NZ3月住宅建設許可件数
13:30 豪中銀政策金利発表
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI
21:30 米国3月貿易収支
22:45 米国4月サービス業PMI
23:00 米国4月ISM非製造業景況指数
23:00 (シカゴ連銀総裁講演)
27:00 (アトランタ連銀総裁講演)
27:00 (セントルイス連銀総裁講演)

5月6日(水)
**:** 東京市場休場
07:45 NZ1〜3月期失業率
10:30 豪州3月小売売上高
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
21:15 米国4月ADP全国雇用者数
23:30 週間原油在庫統計
26:30 (アトランタ連銀総裁講演)
**:** 英中銀MPC(〜7日)

5月7日(木)
**:** シンガポール市場休場
10:30 豪州3月貿易収支
**:** 中国4月貿易収支
15:00 英中銀MPC結果発表(時間変更)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
15:45 フランス3月貿易収支
15:45 フランス3月鉱工業生産
18:00 英中銀総裁会見
20:30 米国4月チャレンジャー人員削減予定件数
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト速報値
29:00 フィラデルフィア連銀総裁講演

5月8日(金)
**:** LDN市場、フランス市場休場
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
15:00 ドイツ3月貿易収支
21:30 米国4月雇用統計
23:00 米国3月卸売在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月27日(月)
 週明けのドル円は強い株価指数先物の動きとともにやや円安気味のスタートを切りましたが、後場に入り日銀会合の結果が事前に言われていた通りの内容であったことから、株式市場は一段高となったもの為替市場は材料出尽くしで一転水準を切り下げる展開となりました。またユーロドルの買いもドル売りの動きとなり、NY前場には106.99レベルまで水準を下げましたが、その後はダウが底堅い動きとなったこともあって107円台前半でのもみあいのまま引けました。

4月28日(火)
 ドル円は東京市場では動かず、欧州市場に入ってからユーロドルの上昇に引っ張られて106.56レベルまで水準を下げましたが、NY市場に入りユーロドルが行って来いの動きとともに106円台後半に戻して引けました。

4月29日(水)
 東京が休場となりドル円は特に目立った材料は無いもののドル売りが先行、その後も上値の重たい展開が続き、欧州市場前場には106.36レベルの安値をつけました。NY市場では株高の動きとともに買い戻しが目立ち、106.76レベルと東京朝方の水準へと戻しましたがドル売りオーダーも残っていたため、そのままもみあいでの引けとなりました。

4月30日(木)
 ドル円は仲値前にドル買いが見られたものの、その後は再びドル売りの流れに戻り後場には106.40レベルの安値をつけました。しかし、前日安値を抜けられなかったことから買い戻しも出て、前日終値近辺でNY市場入り。ロンドンフィキシングに向けて大口のユーロ買いが出たことからユーロ円も上昇、ドル円もその動きに引っ張られ107円台乗せ。引けにかけては短期筋のストップも巻き込みながら107.50レベルの高値をつけ、やや押しての引けとなりました。

5月1日(金)
 東京市場では早朝に若干の上下は見られたものの、株式市場が始まると株安の展開となったことと歩調を揃え円買いの動きとなりました。また前日NY市場で107.50よりも上の水準でドル売りオーダーが並んでいたことも、連休を前にドル売りの動きを強めました。NY市場の朝方には106.60レベルまで水準を下げましたが、株価とともに買い戻しが見られ一時107円台に乗せ、引けにかけては再び売られる展開となり106円台後半で引けました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る