ドル買い先行もリスクオフの円高に注意(週報4月第1週)

先週のドル円は、米国内の新型コロナウイルス感染者急増の動きから週半ばには一時107円割れ。

ドル買い先行もリスクオフの円高に注意(週報4月第1週)

ドル買い先行もリスクオフの円高に注意

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初は買いが先行したもののFRBによる流動性供給強化の施策を受けドル売りとなりましたが、米国内の新型コロナウイルス感染者急増の動きから週半ばには一時107円割れ。しかし、積極的にドルを売る向きも見られず、木曜に飛び出したOPECプラスへの期待、また週末前にはポジション調整のドル買い戻しも入り週高値圏で引けることとなりました。

先週は米国の雇用関連の数字が週後半に続きましたが、新規失業保険申請数は前週から倍増の664万件と2週合わせてほぼ1000万件。さらに雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)が70万を超える減少と事前予想からも乖離した悪さでした。新規失業保険は前週分なのでわかりますが、雇用統計は毎月12日を含む週に調査されていますので、その週の失業保険申請数から考えても10〜15万の減少という数字がコンセンサスだったのですが、かなり悪い数字です。失業率4.4%へと大幅に悪化しました。

こうした数字から考えると4月12日を含む週の調査結果は更に悪化すると予想されますが、それにも関わらず為替市場ではほとんど反応が無かったことはある意味驚きです。ドル資金市場が改めて逼迫しているというのであればわからないでも無いのですが、FRBを中心として各国中銀の連携も取れていますし、また景気刺激策に対する期待はあっても4〜6月期はまだ景気が悪化する動きが先行すると考えざるを得ません。

OPECプラスは本日予定から9日に延期されていますし、減産期待による原油高、株高という動きからのリスクオンによる円安ということも理解できないこともありません。それにしても今朝もダウ先物、日経平均と驚くほど強気で、予想される悪材料は全て出尽くしたということなのか、さすがに楽観的過ぎるというのが個人的な印象です。

今週はそれほど注目される経済指標の発表は無いものの、水曜にFOMC議事録、木曜に米国の経済指標(新規失業保険申請数、ミシガン大消費者信頼感速報値)とOPECプラス、といったあたりが注目されます。金曜はグッドフライデーで東京以外の主要市場が休場、週明け月曜はイースターマンデーで欧州市場が休場となりますので、今週は実質的には木曜までとなり、金融市場的には春のクリスマスといった状況になります。

あまり週初にリスクオンで動くことには警戒せざるを得ませんし、日本でも本日にも緊急事態宣言が発令され東京、大阪などでは週末のような状況が続く可能性があり、そうなってくると株安と円高の動きにつながる恐れもあります。日銀によるPKOも同時に出ることで株式市場が大きく下げることも無いのかもしれませんが、市場を取り囲む状況と市場の動きがちぐはぐな印象です。

どうもファンダメンタルでは判断できなさそうですので、テクニカルな観点から見てみましょう。

既に当面の安値(3月9日、101.19)も戻り高値(3月24日、111.71)も見て、現状はさらに目先の安値(4月1日、106.92)も見たという状況です。そこで4月1日以降の上昇に対するターゲットを考えると、3月24日高値と4月1日安値のフィボナッチ・リトレースメントから半値戻しが109.32、61.8%戻しは109.88(それぞれ青のターゲット)となることがわかります。

下値はリスクオフの可能性も考え、そのまま4月1日安値と考えたいところですが、既に離れてきていることから107.50レベルがいいところでしょうか。今週は107.50レベルをサポートに、上値はフィボナッチのターゲットの中間点を取って109.50 レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル買い先行もリスクオフの円高に注意

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月6日(月)
**:** 豪州・NZ冬時間移行
**:** 非常事態宣言(東京)予定
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
17:30 英国3月建設業PMI

4月7日(火)
10:30 豪州2月貿易収支
13:30 豪中銀金融政策発表
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
15:45 フランス2月貿易収支
**:** ユーロ圏財務相会合

4月8日(水)
08:50 本邦2月貿易収支(国際収支)
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC議事録公表

4月9日(木)
10:00 黒田日銀総裁挨拶
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
14:00 日銀地域経済報告
15:00 ドイツ2月貿易収支
17:30 英国2月貿易収支
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国2月PPI
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値
23:00 米国2月卸売在庫
**:** OPECプラス
**:** 米国取引所短縮取引

4月10日(金)
**:** グッドフライデー(東京以外の主要市場は全休場)
10:30 中国3月CPI・PPI
15:45 フランス2月鉱工業生産
16:00 トルコ1月失業率
21:30 米国3月CPI
25:30 クリーブランド連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月30日(月)
ドル円は日経先物の売りが先行する中で前日NY市場の流れを受け、前場には一時107.12レベルの安値をつけました。東京後場以降は上下しながらもNY市場までは底堅い流れとなり日中高値の108.29レベルまで上昇、NY市場ではほとんど動きが見られずもみあいのまま引けました。

3月31日(火)
ドル円は期末実需のドル買いが仲値に向けて出たことからドル買いが先行し、108.72レベルの高値をつけました。その後は目立った取引も無く、欧州市場でわずかに高値を更新したものの高値圏でのもみあいを続けていました。NY市場ではFRBが他国の中銀に対してもドルの流動性を供給するとのニュースを受け、ドルの上値が重くなりNY昼前には107.46レベルまで水準を下げ、安値圏でもみあいのまま引けました。

4月1日(水)
東京市場のドル円は新年度入りとは言うものの目立った動きも無く比較的底堅い動きで推移していました。しかし、後場に入り日経平均が大幅安となる動きを見て従来型のリスクオフとなり円買いが強まりましたが、朝方の安値はトライしきれず、再び底堅い動きでNY市場入り。米国の感染者急拡大による株安円高の動きから106.92レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。

4月2日(木)
ドル円はNY市場までは方向感が出ず107円台前半でのもみあいに終止していました。NY市場の朝方に発表された新規失業保険申請数が先週から更に大幅拡大し664万件となったことを受け、株安と円高の動きが先行しましたが前日安値はトライしきれず、その後トランプ大統領がサウジとロシアの減産協議に触れたことから原油価格が急騰、株価は反転上昇、ドル円も108.10レベルの高値をつけました。引けにかけては107円台後半に押して引けました。

4月3日(金)
週末のドル円は東京市場では108円前後でもみあい、欧州市場に入ってから米金利上昇の動きからドル買いの動きとなりました。米国雇用統計を控えてドルは底堅いものの動きは鈍くなり108円台半ばで指標待ちとなりましたが、結果は予想を大きく超える悪い結果となりました。しかし、一時的なドル売りは見られたものの思いの外静かな反応で、ある程度の悪い結果は織り込み済みであったという動きのようでした。引けにかけてはいったん押しも見られたものの指標発表前の水準に戻しての週末クローズとなりました。

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