来週の為替相場見通し:『リスクオフ継続。クロス円下落→ドル円連れ安の流れに警戒』(4/4朝)

ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。

来週の為替相場見通し:『リスクオフ継続。クロス円下落→ドル円連れ安の流れに警戒』(4/4朝)

リスクオフ継続。クロス円下落→ドル円連れ安の流れに警戒

今週のレビュー(3/30−4/3)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初107.89で寄り付いた後、@トランプ米大統領とプーチン露大統領が電話会談を行うとの一部報道(※両者はエネルギー市場の安定化について合意)や、A年度末・公表相場におけるドル資金不足の顕在化、B中国の製造業及び非製造業PMIの急回復を背景に、翌3/31に、週間高値108.74まで上昇しました。しかし、C月末ロンドンフィキシングに向けたドル売り圧力や、D米経済指標(シカゴPMIやCB消費者信頼感指数)の冴えない結果、E新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード、F本邦における東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感の高まり)、G米FRB(連邦準備理事会)による海外中銀へのドル資金供給措置の発表(海外の中銀が保有する米国債を担保に翌日物でドル資金の調達を可能とする措置)が重石となると、週央にかけては、3/18以来、約2週間ぶり安値となる106.91まで反落しました。

もっとも、Hトランプ米大統領による「サウジアラビアとロシアが産油量で最大1500万バレル削減すると予想している」との発言を受けて原油先物価格が急騰すると、週末にかけては再び反発。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、108.48近辺で推移しております。尚、今週発表された米・新規失業保険申請件数(結果664.8万件、予想350.0万件)、米・非農業部門雇用者数(結果▲70.1万人、予想▲10万人)、米・失業率(結果4.4%、予想3.8%)は軒並み市場予想を大幅に上回る「悪化」を示したものの、市場の反応は限定的となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1136で寄り付いた後、早々に週間高値1.1145まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した3/17以来となる高値1.1148を前に伸び悩むと、@欧州圏(ドイツ、イタリア、フランス、スペインなど)における新型コロナウィルスの感染拡大を受けたリスク回避ムードの高まり(対ユーロでの円買い・ドル買い)や、Aユーロ圏経済を巡る先行き不透明感(アルトマイヤー独経済相は「ドイツ経済はリーマンショック時よりも大きく縮小する恐れがある」と発言)、BECBによる追加緩和観測の高まり、C欧州株の軟調な動き、Dドイツ政府をはじめ欧州各国がロックダウン(都市封鎖)など新型コロナウィルスの封じ込め政策を延長したことなどが重石となり、週末にかけては、3/25以来となる安値1.0773まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0808近辺で推移しております。

来週の見通し(4/6−4/10)

<ドル円相場>
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、約3年4ヶ月ぶり安値101.19まで急落しました。しかし、資産現金化需要に伴うドル高や、米大型経済対策を背景としたリスク選好ムードに下支えされると、3/24には一転して111.72まで反発する場面も見られました(僅か1ヶ月で10円下がって・10円戻す往って来い相場)。もっとも、足元では再び107ー108円近辺まで反落するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決定した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数や、米雇用統計の大幅な悪化)、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化、H東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感の高まり(円高要因)、リスク回避ムードの再燃リスク(クロス円売り→ドル円連れ安の流れ)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(日米欧に加えて新興国での感染拡大懸念)や、原油価格の動向、米国経済指標の結果(ミシガン大消費者信頼感指数や、物価指標など)、東京ロックダウン(都市封鎖)や非常事態宣言を巡る続報、世界的な株価動向を睨みながらも、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(クロス円下落→ドル円連れ安のシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):106.00ー109.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、3/27に記録した高値1.1148をトップに反落に転じると、今週末にかけて、1.0773まで急落しました。この間、200日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限及び雲下限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、AECBによる金融緩和長期化観測、B英合意なき離脱の再燃リスク、C欧州圏での新型コロナウィルスの感染拡大を受けた投資家心理の急速な悪化など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、欧米株及び欧米長期金利の動向、欧州経済指標(ドイツの鉱工業生産など)の結果を睨みながらも、来週はユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(ユーロ円下落→ユーロドル連れ安のシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0650−1.0950

リスクオフ継続。クロス円下落→ドル円連れ安の流れに警戒

ドル円日足

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