ドル円見通し ウェッジ型三角持合い転落による下落基調継続(20/4/1)

31日夜には108.72円まで1.59円の戻り幅となったが、31日深夜の失速で30日午前安値割れへ余裕が乏しくなっている。

ドル円見通し ウェッジ型三角持合い転落による下落基調継続(20/4/1)

【概況】

ドル円は新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避を背景に2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円まで大幅下落したが、ドル資金需給逼迫によるドル全面高により3月9日安値からはV字反騰に転じて3月25日未明には111.71円まで切り返した。3月20日以降は高値も安値もレンジを狭めながら若干ずつ切り上がるウェッジ型三角持合いとなっていたが、ドル買い一巡により26日に下放れとなり、週明けの3月30日午前には107.13円まで続落した。

107円割れをひとまず回避し、31日夜には108.72円まで1.59円の戻り幅となったが、31日深夜の失速で30日午前安値割れへ余裕が乏しくなっている。

3月31日はNYダウが前日比410.32ドル安と下落、NY金は前日比38.6ドル安と急落。米10年債利回りは0.06%低下の0.67%となった。新型コロナウイルスの感染拡大により先の見えない状況のなか、金融緩和や財政出動等による対策も矢継ぎ早に出たために暴落一服でやや落ち着きを取り戻したかに見えた金融市場だが、積極的な楽観を取り戻す状況には程遠く、ポジション圧縮的な動きが再び強まり始めており、その中でドル円も揺れ返しの下げに入っている印象だ。

3月31日に米コンファレンスボードが発表した3月の消費者信頼感指数は120.0となり、前月の132.6から急低下した。これは感染拡大に伴う悪化であり、2017年7月以来2年8カ月ぶりの低水準だった。市場予想の110.0を上回ったものの4月の統計はさらに悪化が見込まれる。
米MNIインディケーターズが発表した3月のシカゴ購買部景況指数(シカゴPMI)は47.8となり前月の49.0から低下した。好不況の分岐点とされる50を9カ月連続で割り込んだ。市場予想の40.0は上回ったが、消費者信頼感指数とともに4月はさらに悪化が見込まれる。

新型コロナウイルス感染は85万人を超えて死者は4万2千人を超えた。米国の感染者は18万人を超え死者は3780人で中国を上回った。経済活動停滞は深刻となり大企業の資金繰りも危機的な状況となりつつある。
米連銀は3月31日に、外国中央銀行を対象にして米国債を担保にした翌日物レポ取引によるドル資金供給制度を創設すると発表した。新興国や途上国のドル資金不足が深刻化しており、米国債の換金売りによる値崩れを未然防止するための対策とも思われる。米国の大企業における資金繰りの深刻さも報道されており、金融市場全般の現金化と投資ポジション圧縮が再び強まりつつあるようだ。
今週末には3月の米雇用統計発表があるが、現時点での市場予想では、非農業部門就業者は10万人の減少が予想されている。

【半値押しで止まれるか】

2月20日から3月9日への急落幅が10.98円、その後のV字反騰幅が10.48円。3月24日高値からの反落幅は30日午前時点で4.58円となっている。
V字反騰に対する調整安の目安としては、3分の1押しが108.22円ですでに割り込んでおり、3月30日午前安値を割り込む場合は半値押しの106.47円前後までで下げ止まれるかどうかを試し、さらに続落する場合は3分の2押しの104.72円前後まで下値目処が切り下がり、あるいはV字反騰に対する揺れ返して3月9日への暴落型の下げに発展する懸念も出てくるかもしれない。
3月31日夜の戻り高値108.72円までの戻り幅の倍返しなら105.54円、3月24日(25日未明)高値から30日午前まで下げ幅と同レベルの二段下げとなる場合はN計算値が104.14円となる。
金融市場全般が先の見えない状況で混乱し乱調なため、3月24日からの反落幅に対する半値戻し以上へ切り返せば、もう一度3月9日からの反騰レベルでの円安ドル高となる可能性も併せ持っていると思う。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月20日からのウェッジ型三角持合いからの転落により弱気サイクル入りしてきたが、30日午前安値で107円割れを回避して持ち直していたため、31日午前時点では30日午前安値を直近のサイクルボトムとした。またトップ形成期は3月25日深夜高値を基準として30日夜から4月1日深夜にかけての間と想定されたためまだ高値を試す余地ありとしたが、30日午前安値を割り込むところからは底割れによる弱気サイクル入りとした。
4月1日朝への反落により底割れへ余裕が乏しいため、底割れを条件として31日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして4月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換は31日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では31日夜の反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は3月31日午前と夜の高値でダブルトップ型の弱気逆行となり失速している。50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が発生しない内は一段安警戒が続くと考える。

以上を踏まえて当面の見通しを示す。
(1)当初、107.00円を下値支持線、108.00円を上値抵抗線とする。
(2)108円を下回る内は一段安警戒とする。107円割れからは106円前後への下落を想定する。106円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、30日午前安値を割り込んだ後も108円以下での推移が続く内は2日も安値を試しやすいとみる。また107円以下での推移なら105円前後まで下値目処が切り下がる可能性があると注意する。
(3)108円超えの場合は108.25円前後までの上昇とその後の反落警戒とする。強気転換は31日夜高値超えからとし、その場合はダブル底形成からの反騰入りにより109円台後半へ向かう可能性を検討する。

【当面の主な発表予定】

4/1(水)
10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 40.3、予想 45.0)
16:55 (独) 3月 製造業PMI改定値 (速報 45.7、予想 45.5)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI改定値 (速報 44.8、予想 44.6)
17:30 (英) 3月 製造業PMI改定値 (速報 48.0、予想 47.0)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 7.4%、予想 7.4%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (2月 18.3万人、予想 -15.0万人)
22:45 (米) 3月 製造業PMI改定値 (2月 49.2、予想 48.0)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 1.8%、予想 0.5%)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 50.1、予想 45.0)

4/2(木)
08:50 (日) 3月 マネタリーベース 前年同月比 (2月 3.6%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.4%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 -0.5%)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -453億ドル、予想 -433億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 前週分 (前週 328.3万件
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 前週分 (前週 180.3万人)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -0.5%)

オーダー/ポジション状況

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