ドル円見通し 107円割れ回避でやや戻し気味、先行きは不透明なまま(20/3/31)

再び円高を凌駕するようなドルの全面高とならない限りは3月25日高値で戻りを一巡させて下落再開に入った流れを継続しやすいのではないかと思われる。

ドル円見通し 107円割れ回避でやや戻し気味、先行きは不透明なまま(20/3/31)

ドル円見通し 107円割れ回避でやや戻し気味、先行きは不透明なまま

【概況】

ドル円は新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避を背景に2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円まで大幅下落となったが、その後は一段とリスク回避感が強まる中でドル全面高へ傾斜したために3月9日安値からはV字反騰に転じて3月25日未明には111.71円まで切り返した。直前の下げ幅10.98円に対してV字反騰幅は10.48円となり、ほぼ直前の下落分を解消したのだが、2月20日高値超えには一歩届かなかった。

3月20日以降は高値を若干ずつ切り上げてその後の安値も切り上げつつ、レンジが徐々に縮小するウェッジ型三角持合いとなっていたが、ドル買い一巡からドル指数が反落に転じるとウェッジ型三角持ち合いから下放れとなり、先週末は108円を割り込んで終了した。
週明けは序盤に107.13円まで続落したが、6日間続落していたドル指数が反発したことで下げ渋りとなり、30日夜から31日朝にかけては108円を挟んでややジリ高での推移となっている。

【金融市場の落ち着き、いつまで持つか】

米連銀による3月中三度の臨時FOMCによる利下げや量的金融緩和拡大政策の発表、トランプ政権による2兆ドルの経済対策、世界的な金融緩和と財政出動の拡大が矢継ぎ早に発表されてきたために、新型コロナウイルス感染爆発に対する悲観売りにややブレーキがかかった状況にある。NYダウは3月23日に1万8213.65ドルまで暴落的に下げた後は3月24日に2112.98ドル高と戻し、26日まで3連騰した。27日は915.39ドル安と反落したが週明け30日は690.70ドル高と戻しており、暴落一服で戻りを試す流れとなっている。NYダウの反騰はドル円にとってはドル高円安要因として107円割れ回避に役立った印象だが、欧米での感染拡大が一段と深刻化し、日本も感染爆発の前夜情勢という中ではリスク回避的な円高が3月26日から30日午前への円高の背景でもあり、再び円高を凌駕するようなドルの全面高とならない限りは3月25日高値で戻りを一巡させて下落再開に入った流れを継続しやすいのではないかと思われる。

新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で78万人を超え、死者は3万7千人を超えている。指数関数的な増加でありまだピークが見えない状況だ。特に米国は3月31日朝時点で感染者16万3279人、死者は前日から565人増えて3148人に達している。イタリアの死者も1万1591人だが、最近では欧州以外でもトルコの感染者数が1万人を超える等、世界的な広がりが懸念される状況となっている。

米連銀等の金融政策も無制限の国債等購入により手を出し切った印象もあり、後は財政政策・減税や企業・個人救済等をどこまで拡大するのかという状況にある。そうした手立てにより民心が落ち着き、感染爆発のピークが見えれば復興需要を先取りした強気相場へと株式市場も向かい、為替市場もリスクオン優勢の展開になる可能性もあるのだろうが、当面は今回の感染爆発被害の底が見えない状況であり、再び金融市場全般が激しく動揺する可能性も抱えていると警戒すべきだろう。またその際にドル円が3月9日への暴落的な円高ドル安反応となるのか、その後のV字反騰の様な円安ドル高となるのか、単純な図式では決めつけられない状況と言える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月20日からのウェッジ型三角持合いからの転落により弱気サイクル入りしてきたが、30日午前安値で107円割れを回避して持ち直しているため、30日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定する。トップ形成期は3月25日深夜高値を基準として30日夜から4月1日深夜にかけての間と想定されるのでまだ高値を試す余地ありとするが、30日午前安値を割り込むところからは底割れによる弱気サイクル入りとして4月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では31日午前への上昇で遅行スパンが好転しているが先行スパン下限が抵抗となっている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンに潜り込み始めるところからはその上限を試すとみるが、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開と一段安入りを想定して安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月27日から30日にかけての一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を示して上昇している。40ポイント前後を支持線とし、まだ高値試しを続けやすい状況とみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面の見通しを示す。
(1)当初、3月30日午前安値107.13円を下値支持線、108.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)30日午前安値割れ回避の内は上昇余地ありとし、108.50円を超える場合は109円試しを想定するが、109円前後は反落警戒とし、その後の108円割れからは下げ再開とみる。
(3)107.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として30日午前安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとみて106円、次いで105円前後を試しにかかる下落期入りと考える。

【当面の主な発表予定】

3/31(火)
10:00 (中) 3月 製造業PMI (2月 35.7、予想 45.0)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -10.1%、予想 -14.7%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
15:00 (英) 10-12月期 経常収支 (前期 -159億ポンド、予想 -70億ポンド)
16:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 -1.00万人、予想 2.90万人)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.0%、予想 5.1%)

18:00 (欧) 3月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (2月 1.2%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (2月 1.2%、予想 1.1%)
22:00 (米) 1月 ケース・シラー米住宅価格指数 (12月 218.73、予想 219.38)
22:00 (米) 1月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (12月 2.9%、予想 3.2%)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 49.0、予想 40.0)
23:00 (米) 3月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (2月 130.7、予想 110.0)

4/1(水)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業現況 (前期 0、予想 -10)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業先行 (前期 0、予想 -15)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業現況 (前期 20、予想 3)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業先行 (前期 18、予想 -1)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (前期 6.8%、予想 2.5%)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -15.3%、予想 3.0%)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前年同月比 (1月 -11.3%)
09:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表

10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 40.3、予想 45.0)
16:55 (独) 3月 製造業PMI改定値 (速報 45.7、予想 45.5)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI改定値 (速報 44.8、予想 44.6)
17:30 (英) 3月 製造業PMI改定値 (速報 48.0、予想 47.0)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 7.4%、予想 7.4%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (2月 18.3万人、予想 -15.0万人)
22:45 (米) 3月 製造業PMI改定値 (2月 49.2、予想 48.0)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 1.8%、予想 0.5%)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 50.1、予想 45.0)

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