ドルの下落リスク再燃か、米雇用統計を注視(週報3月第5週)

先週のドル/円は、ドル安・円高。週足は3週ぶりの陰線でトータル約4円、実体部も3円近くに達する依然として激しい変動だった。

ドルの下落リスク再燃か、米雇用統計を注視(週報3月第5週)

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先週のドル/円は、ドル安・円高。週足は3週ぶりの陰線でトータル約4円、実体部も3円近くに達する依然として激しい変動だった。

前週末に話題となっていたのは、引き続き新型コロナウイルスに関する話。また、週末21日早朝に「北朝鮮が2発の飛翔体を発射した」ことや、世界陸連などが開催延期を相次ぎ要望した「東京五輪の開催有無をめぐる問題」も、そこここで思惑を呼んでいた。
そうしたなか、週明けのドル/円相場は先週末のNYクローズとさほど変わらない110.70-75円で取引開始。その後しばらくは揉み合いながらも、ややドル高方向にバイアスのかかった展開をたどると、週間高値111.71円を示現している。しかし、ドルの買い戻しは続かず、むしろサポートになっていた109.50-110.00円をしっかり割り込むと、そのまま週間安値である107.75円まで一気に下落。週末NYも、そのままドル安値圏の108円前後で取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「東京オリンピック」と「新型コロナの感染と各国経済・金融対策」について。
前者は、わずか数日前には国際オリンピック委員会(IOC)が「東京五輪の中止はいかなる問題も解決せず、誰のためにもならない」とした声明を発表していたものの、それを覆すような発表が各国委員会から相次ぎ発表されると、IOCも重い腰を上げざるを得ず、24日に臨時理事会を開いたうえで「1年程度の延期」を正式決定している。ちなみに、オリンピック・パラリンピックの延期は史上初の出来事。

対して後者は、「世界最悪の死者数を記録したイタリア」や「ジョンソン英首相の感染確認」となった欧州情勢はもちろん、感染者数ということでは「中国を抜き世界最多となった米国」情勢も懸念要因に。そうしたなか、週明けからG20財務相やG7財務相、G7外相といったような重要な国際テレビ会議が連日開催され、26日にはG20首脳会議を実施、終了後に「5兆ドル超を世界経済に投入する」とした共同声明が発表されていた。また、それとは別にFRBが予想外の「無制限量的緩和」を発表したうえ、週末27日にはトランプ大統領が2兆ドルもの大型経済対策法案に署名し、成立の運びとなっている。

<< 今週の見通し >>

NYダウは24日に史上最大の上げ幅2112.98ドル高を記録しただけでなく、週末にも終値ベースで900ドル以上下落するなど、依然として荒っぽい変動が続いている。また、米金利や原油相場もいまだ落ち着かず、それらを受けて為替市場も乱高下をたどることが少なくない。以前ほど、株式市場と為替市場の連関性が高くなくなったとはいえ、引き続き動静には注意を払いたいところだろう。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題で、感染拡大の収まらない欧米を中心とした状況ならびに、先で取り上げた「入国制限」といった施策、あるいは金融政策を含めた各国のさらなる財政対応などには引き続き注意を払いたい。また、今週もうひとつ注目されているのは、発表される米経済指標であり、なかでも週末に発表される米雇用統計への関心は極めて高い。先週発表された「週間ベースの新規失業保険申請件数」が300万件超えというネガティブサプライズを記録しているだけに、米雇用統計についても予想以上の悪化を懸念する声が聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円はほんの一ヵ月のあいだに「11円下落し、10円戻す」という非常に荒っぽいジェットコースター相場をたどってきたが、先週末から再び下方向にリスクを掛けた動きとなっている。まだ、それほど強いドルの下落がうかがえるわけではないが、先でも取り上げた米雇用統計の数値などによっては予断を許さず。すぐにではないにせよ、9日に記録した安値101.19円を目指す「2番底あるいは3番底」形成へ向けたドルの一段安進行を見込む向きも少なくない。

今週は3月のダラス連銀製造業活動指数や同ISM製造業景況指数、同雇用統計などの重要な米経済指標が連日発表される見通しだ。それぞれ注意を要するものの、もっとも注視されているものは、やはり週末の米雇用統計だろう。
ちなみに、市場の関心がもっとも高い非農業部門雇用者数の事前予想値はマイナス10万人程度。実際、この数字に近い内容でも2010年以来の悪さになるが、市場ではさらに悪化するといったネガティブな見方も聞かれていた。事前にある程度は織り込まれそうだが、それでもやはり発表前後の為替市場はかなり荒っぽい変動をたどる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-109.50円。ドル高・円安については、先週までサポートとして寄与してきた移動平均の25日線や200日線が位置する108.20-40円が最初の抵抗。上抜けると、109円前後などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値に近い107.70円の攻防にまず注目。ちなみに、同レベルは年初来安値101.19円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しで、半値押しは106.45円レベル、61.8%押しは105.20円レベルになる。

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