ドル円、米大型経済対策成立期待を背景に続伸。リスク選好ムードが継続
海外時間の為替概況
24日(火)の外国為替市場でドル円は続伸。@米FRB(連邦準備理事会)による無制限量的緩和の発表(量的緩和拡大→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円上昇→ドル円連れ高)や、A米与野党が2兆ドル規模の大型経済対策に合意するとの期待感(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→ドル円連れ高)、B上記@Aを受けた世界的な株価の上昇が支援材料となり、米国時間には、2/24以来、約1ヶ月ぶり高値となる111.63まで上値を伸ばしました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、111.55近辺で推移しております。尚、安倍首相は昨晩、国際オリンピック委員会(IOC)と協議の上、今夏の東京オリンピック及びパラリンピックの延期に合意しましたが、既に織り込み済みであったことから、市場の反応は限定的となりました。
昨日のユーロドル相場は上昇後に急反落。@米FRB(連邦準備理事会)による無制限量的緩和の発表(量的緩和拡大→ドル売り→ユーロドル上昇の流れ)や、Aユーロ圏・製造業PMIが市場予想を上回ったことに伴うユーロ買い(但し、サービス業PMIは大幅悪化)、B米与野党が2兆ドル規模の大型経済対策に合意するとの期待感(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→ユーロドル連れ高)、C上記@Bを受けた世界的な株価の上昇が支援材料となり、欧州時間には、一時1.0889まで上値を伸ばしました。しかし、心理的節目1.0900を前に伸び悩むと、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.0759近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、米財政赤字拡大懸念を背景とした米長期金利の上昇や、資産現金化需要に伴うドル高圧力、米大型経済対策期待を背景としたリスク選好ムードが支援材料となり、昨日は一時111.63まで反発しました。僅か1ヶ月間で「10円下がって・10円戻す」といった壮大な「往って来い」が繰り広げられております。この間、一目均衡表転換線及び基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線、一目均衡表雲下限及び上限を突破した他、強い売りシグナルを表す三役逆転も終了するなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決めた米国)、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残存している状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にみて「上昇圧力」が強まっているものの、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、「反落リスク」が警戒されます。米財政赤字拡大懸念やリスク回避の資産現金化需要、米大型景気対策期待を背景にドル円上昇の流れが続いていますが、ここから先は、一巡後の反落に備える必要性がありそうです(Sell the fact)。米株・米長期金利及び原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、米経済指標の結果、米大型経済対策が合意されるか否かを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(2/20に記録した10ヶ月ぶり高値112.21をバックに戻り売りが強まる展開を想定)。尚、本日は5・10日となりますので、日本時間9時55分に予定されている公表相場決定前後の値動きに注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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