ドル円、FRBによる量的緩和拡大のサプライズを受けて乱高下
海外時間の為替概況
23日(月)の外国為替市場でドル円は乱高下(下落後に急反発)。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(リスクアセット売却→資産現金化需要に伴うドル買い)や、A米FRB(連邦準備理事会)による「米国債や住宅ローン担保証券の買い入れ量を無制限とする量的緩和策」のサプライズ発表(量的緩和拡大→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円上昇→ドル円連れ高の流れ)が支援材料となり、米国時間には一時111.58まで急伸しました(アジア時間に記録した日通し安値109.67から約2円の反発)。しかし、2/20に記録した年初来高値112.21をバックに戻り売りが強まると、B上記Aを受けても尚、米主要株価指数が上昇後に反落に転じたことや、C東京オリンピックの延期観測の高まり、D米上院での2度目の否決(大規模景気対策の実現性に対する不確実性→失望売り)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、111.30近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は上昇後に急反落。@米FRB(連邦準備理事会)による「米国債や住宅ローン担保証券の買い入れ量を無制限とする量的緩和策」のサプライズ発表(量的緩和拡大→ドル売り→ユーロドル上昇の流れ)や、Aユーロ圏・3月消費者信頼感指数(結果▲11.6、予想▲13.0)の予想比上振れが支援材料となり、米国時間には一時1.0827まで急伸しました。しかし、B上記@を受けても尚、米主要株価指数が下落に転じた失望感や、C新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(リスクアセット売却→資産現金化需要に伴うドル買いの流れ)が再燃すると、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.0737近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、米財政赤字拡大懸念を背景に米長期金利が上昇に転じると、資産現金化需要に伴うドル買いも重なり、昨日は一時111.58まで急反発。僅か2週間で10円超も上昇する歴史的大相場が繰り広げられております。この間、一目均衡表転換線及び基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線、一目均衡表雲下限及び上限を突破した他、強い売りシグナルを表す三役逆転も終了するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決めた米国)、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残存している状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にみて「上昇圧力(ロスカット主導)」が強まっているものの、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、「一巡後の反落」が常に警戒される状況です。米財政赤字拡大懸念やリスク回避の資産現金化需要を背景にドル全面高の流れが続いていますが、ここから先は、「リスク回避のドル高→クロス円下落→ドル円下落」といった時間差での「ドル売り・円買い」に注意が必要でしょう。米株・米長期金利及び原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をバックに戻り売りが強まる展開を想定。特に本日発表される欧州・英国・米国のPMI速報値が冴えない結果となれば、ドル円・クロス円に下押し圧力が加わる恐れあり)。
本日の予想レンジ:109.50ー112.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.03.24
ドル円見通し ドル高円安基調続くが上昇力鈍る(20/3/24)
3月20日に小反落した時の安値109.33円からは底上げとなり、その後の上昇で24日未明には111.59円まで戻り高値を切り上げた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.03.23
乱高下継続か、G20財務相のTV会議など注視(3/23夕)
23日の東京市場は、ドルが弱含み。当初は底堅さもうかがえたが、終盤にかけ一時110円台を再び割り込む局面も観測されている。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。