ドル円見通し G7緊急会合と米連銀緊急利下げでも株安、ドル円106円台へ(20/3/4)

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月3日に臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%引き下げて年1.00〜1.25%とした。

ドル円見通し G7緊急会合と米連銀緊急利下げでも株安、ドル円106円台へ(20/3/4)

【概況】

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月3日に臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%引き下げて年1.00〜1.25%とした。新型コロナウイルス感染拡大による世界的な景気後退懸念から3月3日夜に先進7カ国=G7財務相・中央銀行総裁の緊急電話会議がもたれ、「あらゆる適切な政策手段を用いる」方針が示され、その直後に利下げを決断した。パウエル議長は会見で、「新型コロナウイルスが新たなリスクをもたらした」「感染拡大と封じ込め策は国内外の景気を確実に下押しする」とし、「金融市場の沈静化と個人消費を下支えするために緊急利下げを決定した」旨を述べた。議長は今後も景気下支えへ適切に行動するとしており、3月17日と18日に予定されている次回の定例FOMCにおける追加利下げの可能性も示唆した。

緊急利下げの発表後、米10年債利回りは一時0.91%まで低下して史上初めて1%を割り込み、終盤も1.00%で終了した。しかしNYダウは前日比785.91ドルで終了した。NYダウは2月27日に前日比1190.95ドル安と1日の下げ幅としての過去最大の下げとなって週間では3583.05ドル安の暴落だったが、3月2日は暴落に対する反動と対策期待で前日比1293.96ドル高と1日の上げ幅としての過去最高記録を更新し、3月3日も戻り高値を切り上げていたが、G7が具体的政策を示さなかったこと米連銀の緊急利下げ幅が市場を驚かせる規模ではなかったことで失望売りとなった。

【感染拡大への対策には期待持てず】

ドル円は2月20日高値112.21円から3月2日朝安値107.25円まで大幅下落してきたが、3月2日は世界連鎖株安一服で夕刻には108.57円まで戻した。しかし3月3日にNYダウが大上昇する中でも戻り高値を切り上げられずに108円を挟んだ揉み合いにとどまっていたが、3日夜はG7共同声明と米連銀の緊急利下げを不十分として円高が進行、NYダウも失速したために4日未明には107円を割り込んだ。
3月3日夜のG7緊急電話協議は具体的な内容に乏しかったために市場はかえって失望した。米連銀も追加利下げの余地があるとしても限定的で、量的緩和政策の復活やマイナス金利まで深掘りしてゆく程度に対策も限られている。

新型コロナウイルスの感染拡大は世界規模となり、南米でもブラジルに続いてチリやアルゼンチン等へ広がった。韓国やイタリア及び日本に対する渡航制限や入国規制の動きも広がっている。イタリアでの死者は79人に、米国でも感染者が100名を超えて死者が9人へ増えている。中国の感染爆発は落ち着きつつあるものの世界的流行=パンデミックは不可避の状況で相当深刻な景気悪化を招きかねないという印象が深まっている。そうした中でG7への失望は金融市場全般への悲観をかえって強める結果となった印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日朝安値を割り込んで底割れによる弱気サイクル入りとなっていたが、3月2日朝安値で直近のサイクルボトムを付けて下げ一服となっていた。2月26日深夜高値を基準として今回のトップ形成期は2日から4日深夜にかけての間と想定されたために3日朝時点では既に反落注意期にあるとし、2日朝安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとした。
3月4日早朝に107円割れへと一段安したため、底割れにより新たな弱気サイクル入りとなっている。ボトム形成期は5日朝から9日朝にかけての間と想定されるので4日の日中から5日朝にかけてはさらに一段安しやすいと思われる。強気転換は2日夕高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では3月4日朝に一段安となっているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。戻り抵抗は先行スパン下限までとし、一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開へ進みやすいとみて、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ揉み合いだったが、4日朝への一段安で30ポイント台へ低下している。20ポイント以下への低下も警戒されるところとし、強気転換は50ポイント台回復からとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を下値支持線、107.25円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.25円以下での推移中は一段安警戒とし、昨年10月3日安値106.50円試しを想定する。さらに続落の場合は105円台、先行きは昨年8月26日底104.45円を目指す可能性もあるとみる。
(3)107.25円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、107.25円超えの場合は107.50円から107.80円へ目先の上値目途を引き上げるが、その後の反落注意として107円割れからは下げ再開とみる。

【当面の主な発表予定】

3/4(水)
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 51.8、予想 48.0)
17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.2)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.6%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 1.3%、予想 1.1%)

22:15 (米) 2月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (1月 29.1万人、予想 17.0万人)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 49.4、予想 49.5)
23:45 (米) 2月 総合PMI改定値 (速報 49.6)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.50%)
24:00 (米) 2月 ISMサービス業景況指数 (1月 55.5、予想 54.9)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

3/5(木)
OPEC臨時総会(ウィーン)
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 52.23億豪ドル、予想 48.00億豪ドル)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.9万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.4万人)
24:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 1.8%、予想 -0.2%)
26:00 (英) カーニー英中銀総裁、発言

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