ドル円見通し 欧米株暴落連鎖でリスク回避の円高再燃(20/2/25)

2月19日からの急騰はテクニカルな弾みによるものとすれば、株安債券高なら円高という従来の基本的な反応へと戻ったのではないかと思われる。

ドル円見通し 欧米株暴落連鎖でリスク回避の円高再燃(20/2/25)

ドル円見通し 欧米株暴落連鎖でリスク回避の円高再燃

【概況】

ドル円は2月1日安値108.30円から2月7日高値110.02円へ反騰した後は、2月12日に110.13円までわずかに高値を切り上げたものの110円台に乗せても維持できずに109円台後半での持ち合いが続いていたが、19日夜に2月12日高値110.13円、さらに1月17日高値110.28円を超えて持ち合いを上放れしてから急騰商状となった。

2月20日早朝に111.59円まで大幅上昇となり、20日深夜には112.21円まで一段高となった。12月以降の抵抗線突破によるテクニカルな買いが連鎖反応を引き起こしたものと思われるが、円の暴落的な下落という印象も抱かせるドル高円安だったために、一部では日本売りによる円安が始まったのではないかとの懸念も出た。

しかし21日にNYダウが前日比227.57ドル安と下落したことでリスク回避感が強まるとドル円は112円台を維持しきれずにジリ安となり、24日は早朝からダウ先物が急落したことで朝に111.19円まで急落、いったん戻しかけたがその後もダウ先物の暴落的な下げが拡大したために売られ、米国市場が開くとNYダウが1000ドルを超える暴落となったことで25日未明には110.32円まで急落した。終盤のダウ暴落一服でやや戻しているものの110円台中盤に止まっている。

【昨年8月以降の上昇チャンネル上限到達での下落】

1月31日から2月20日までの上昇幅は3.91円幅であり、昨年8月26日底104.45円から9月18日高値108.47円までの最初の上昇幅4.02円幅に近い上昇だった。昨年8月底と今年1月8日底、1月31日底はほぼ1直線で下値支持線を形成しているが、この支持線との平行線を昨年9月18日高値から描けばちょうど2月20日高値にぶつかる。

1月17日高値から1月31日安値へ1.98円の下落後にV字反騰したため、チャート上の上値計算値は1月8日から1月17日への上昇幅並としたN計算値110.93円と、1月31日への下げ幅の倍返しとなるV計算値112.26円が意識される水準となっていたが、今回の上昇で倍返しのV計算値は概ね実現している。
テクニカルな抵抗、上値目処到達により売られている状況とすれば、昨年8月からの上昇チャンネルの中心線の来る110.00円が当面の下値支持線となるが、中心線を割り込んで続落となる場合は上昇チャンネルの下限線が来る109円台前半まで下値目処が切り下がる可能性がある。

今回の急落は材料的には世界連鎖株安によるリスク回避での円高と思われる。株安債券高により米10年債利回りは24日に前日比0.10%低下の1.37%まで下降し、2016年7月以来3年7か月振りの低水準となった。米10年債利回りの低下が日米金利差による円高要因となり、また金融市場全般の不安感を反映してクロス円投資におけるポジション調整で円が買い戻されて円高へ進むという構造と思われる。
2月19日からの急騰はテクニカルな弾みによるものとすれば、株安債券高なら円高という従来の基本的な反応へと戻ったのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月18日夜安値からの反発で17日深夜高値と同値まで戻したために、19日朝時点では18日夜安値で既にサイクルボトムをつけて新たな強気サイクルに入ったとし、トップ形成期を20日夜から24日深夜にかけての間とした。21日朝時点ではまだ上昇余地ありとしたが、前回サイクルトップから3日を経過していたので21日未明安値111.70円割れを弱気転換注意、20日午前安値111.08円割れからは弱気サイクル入りとした。

2月24日の下落により20日午前安値も割り込んだため、現状は20日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクルにおけるボトム形成中と思われる。今回のボトム形成期は21日夜から25日夜にかけての間と想定されるので、早ければ急落し過ぎの反騰により25日未明安値でボトムをつけた可能性も考えられるが、111.25円を超えない内は25日夜にかけての間への一段安余地ありとし、110.50円割れからは下げ再開とみる。
111.25円を超える場合はいったん強気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性があるので、強気転換した後に戻り幅の半値以上を削る下落が発生するところからは下げ再開を疑い、直近のサイクルボトムを割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして28日未明から3月3日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日の急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からはリバウンド入りとみて高値試し優先とし、先行スパン下限を試すとみる。ただしいったん遅行スパンが好転した後に再び悪化する場合は新たな下落局面として安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月25日未明安値で20ポイント割れまで急落したがその後は戻している。50ポイント台が戻り抵抗と思われる。またもう一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られれば大幅下落一服で上昇に転じる可能性も出てくると思うが、指数のボトムも切り下がる場合は下落期が伸びる可能性に注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月25日未明安値110.32円を下値支持線、111.25円を上値抵抗線とみる。
(2)111.25円以下での推移中は一段安余地ありとし、110.50円割れからは下げ再開とし、25日未明安値を割り込む場合は109.50円前後への下落を想定する。109.50円以下は反発注意とするが、110.50円以下での推移が続く場合は26日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)111.25円を超える場合はいったん強気サイクル入りとみて111円台中盤への上昇を想定する。111.50円以上は反落警戒とするが、111.25円を超えた後も111.00円以上での推移なら26日も戻り高値を試す可能性ありとみる。

【当面の主な予定】

2/25(火)
14:00 (日) 12月 景気先行指数・CI改定値 (速報 91.6)
14:00 (日) 12月 景気一致指数・CI改定値 (速報 94.7)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (米) 12月 住宅価格指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.4%)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 (11月 218.68)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (11月 2.6%、予想 2.8%)
24:00 (米) 2月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (1月 131.6、予想 132.0)
24:00 (米) 2月 リッチモンド連銀製造業指数 (1月 20、予想 10)

2/26(水)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 前月比 (12月 -0.4%、予想 2.3%)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (12月 69.4万件、予想 71.0万件)

オーダー/ポジション状況

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