ドル高続くか、112.40円の攻防まず注視(週報2月第4週)

先週のドル/円は、ドル堅調裡。

ドル高続くか、112.40円の攻防まず注視(週報2月第4週)

ドル高続くか、112.40円の攻防まず注視

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドル堅調裡。一時112.22円まで上昇したほか、一週間を通じて2.5円ほどと、今年一番の価格変動を達成するなど、非常にアクティブに動いた週だった。

週末は引き続き新型コロナウイルスに関する話題が多く観測されるなか、英紙タイムズによる「英首相、5Gめぐる対立を懸念し訪米計画を先送り」、「米USTR、エアバス補助金めぐりEU向け追加関税を15%に引き上げると発表」といった別の内容も思惑を呼んでいた。

そうしたなか週明けのドル/円は109.80円レベルと、前週末高値とさほど変わらないレベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。週初月曜日はNYがプレジデンツデーにあたり休場になったことで、積極的な売買は手控えられた。しかし、翌日からドルは急速に買い戻されると、上方向の抵抗を次々上抜けながらストップロスも巻き込みつつ、一時122円台へ。112.40円という昨年高値に急接近する局面も観測されていた。そののち、週末にかけてはやや値を崩し、111円台へと軟落したものの底堅く、週末NYは111.60円レベルで取引を終え、越週している。
なお、ユーロは対ドル中心に引き続き波乱含みの様相。一時は1.0778ドルまで下落、2017年4月以来のユーロ安値を示現するも、その後買い戻され、結局「行って来い」に。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナウイルス」について。
先週は引き続き「新型ウイルス」一色といっても良い一週間だった。ただ、中国本土の感染者数は依然として拡大傾向を示すも、そのペースは目に見えて鈍化。途中、李首相から「国内での新型コロナウイルスの感染拡大抑制が改善傾向を示している」とのコメントが報じられていたが、それが現実のものとなりつつあると好感されていた感も否めない。
その反面、日本そして韓国における感染者数の拡大が話題に。とくに日本については、週初に発表された昨年第4四半期GDPが事前予想マイナス3.0%強に対し、実にマイナス6.3%という衝撃的な数字となったこととあわせ、景気後退局面入りしている可能性なども取り沙汰されると、為替市場では強い円売り要因なっていた。

なお、それらとは別に、新型ウイルスをめぐる米紙WSJ報道が発端となり、米中の場外戦に発展しつつあることが気掛かり。中国外務省がWSJ紙記者を事実上の「国外退去処分」としたことに、米国務省が「言論統制」などと反発。すると、今度は中国サイドがそれに再反論するという一歩も引かない構えをうかがわせていた。先行きには要注意だ。

<< 今週の見通し >>

新型コロナウイルスに関する話題が依然として金融市場を席巻しているものの、初期と比べるとその内容はだいぶ色合いが変わってきた。これは大きく2つに分類され、ひとつは「中国をはじめとする経済への影響や政治的停滞」などへの関心が高くなってきたことで、もうひとつは「中国以外、日韓を中心としたほかの国の感染者増や被害状況」が俎上にのぼり始めているということになる。うち後者について、日本は「東京オリンピック開催困難」との見方や、「米国が対日渡航警戒レベルを1段階引き上げる」など、足もとはある意味で中国以上に危険な国との認識も台頭しているようだ。円を積極的に買い進める要因に、乏しい気もしないではない。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型ウイルス」、「米大統領選」など注意すべき要因は目白押し。そうしたなか、引き続きもっとも注意を要するものは「新型コロナウイルス」に絡むニュース。先で指摘したように、感染源である中国がいち早く回復の兆しがうかがえる反面、日韓などは被害が拡大しつつある。状況次第では、円がさらに売り込まれても不思議はないだろう。また、一週間を通して発表される米経済指標、その内容にも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドルは先週112.22円まで上昇し、昨年高値112.40円にほぼ面合わせしている。上昇スピードの速さなどもあり、週末にかけては調整の動きも観測されたが、流れは引き続きドル高・円安方向か。先週高値あるいは昨年高値をめぐる攻防がまずは注視されている。ちなみに、上抜けると次の抵抗は113.20円レベルで、これは2016年12月高値を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しにあたる。そのレベルも越えると、いよいよ115円が視界内に。

一方、材料的に見た場合、2月の消費者信頼感指数や同シカゴ購買部協会景気指数といった複数の米経済指標が発表される予定となっている。今月に入って以降、雇用統計や「ミシガン大消費者信頼感指数」など、発表される米経済指標は総じて良好なものが多いだけに、今週発表の指標についても市場の期待感はかなり強い感を否めない。先でも指摘したように、日本のファンダメンタルズに不安感が台頭するなか、米景気の強さが改めて示さされれば、ドルの強力な下支え要因となる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、110.60-112.80円。ドル高・円安については、先週高値の112.22円の攻防にまずは注目。抜ければ112.40円、そして113.20円レベルなどがターゲットに。ポジションの偏りは気掛かりだが、ドル続伸の可能性も。
対するドル安・円高方向は、111円半ばがごく目先のサポートで、割り込んでも111.10円レベルなどサポートレベルも徐々に切り上がってきた。仮に下押しが入ったとしても、ドルの下値はかなり底堅い雰囲気。(了)

ドル高続くか、112.40円の攻防まず注視

ドル円日足

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