ドル円111円台前半、昨晩の大幅上昇で様相一変
20日の東京市場でドル円は111円台前半で方向感なく推移。昨晩海外市場でドル円が急騰し111.59と約9か月ぶりの高値をつけた反動で朝方はドル売りが先行、一時111.11まで下押す場面もありました。しかし、本邦株価の上昇によるリスク選好の回復からの円売り戻しの動きもあり、東京時間正午現在は111.30-35レベルでの取引です。日経平均午前は207円高で終了、ザラ場では上げ幅が400円を上回る場面もありました。
中国人民銀行は19日に金融政策執行報告で、あらゆる製造業の生産再開を支援すると表明、また、新型ウイルスの感染予防とコントロールを「最重要業務」と位置付けて信用支援を行う方針を示しました。また、コロナウイルスは中国経済に一定の影響を及ぼしているものの、その期間と度合いは限定的との見方を示しています。
ドル円は中国政府の支援策への期待と、昨晩発表された米国の住宅関連指標やPPI等が軒並み事前予想を上回ったことで、海外時間にほぼ一方向に上昇、未明に111.59の高値をつけました。急上昇といえる局面はなかった模様ですが、値幅は1円50銭超と最近にしては大きな動きとなっています。
テクニカルにはドル円は昨晩の上昇で一気に年初来高値を更新、昨年の年初来高値112.40までレジスタンスらしいレジスタンスが見つからない状況です。
より長期で見ても、2017年初からの三角持ち合い(下降トレンドライン現状111.35レベル)もやや上抜けている水準。一方で昨晩の高値111.59は2016年末高値118.66から昨年8月安値104.46までの下落の半値戻し111.56とほぼ一致しており、長期の視野ではいったん調整が入りやすい水準だと言えます。ただし、このレベルをしっかりと上抜けると、112.40のみならず上記フィボナッチの61.8%戻し113.24が視野に入ってくる点は注意が必要です。
尚、新型コロナウイルスの感染拡大懸念が収まらない中での大幅な円安は、感染拡大が中国、日本を中心としているとみなされているために、円の危険避難通貨的性格が今回は薄らいでいる可能性を示唆しているものなのか、あるいは、株式市場の楽観に為替がついに追随したものなのかいまのところ解釈に悩むところであり、今しばらく見極めが必要そうです。
ドル円日足
ドル円週足
オーダー/ポジション状況
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