海外時間の為替概況
17日(月)の外国為替市場でドル円は狭いレンジ内で膠着。@新型コロナウィルスの感染拡大懸念や、A本邦・第4四半期実質GDP速報値(結果▲6.3%、予想▲3.7%)の急低下が重石となり、日本時間朝方には、一時109.72まで下げ幅を広げました。しかし、B中国人民銀行(PBOC)が景気下支えを目的に1年物中期貸出ファシリティ(MLF)金利の引き下げを決定すると、C上海株をはじめ中国株が堅調に推移したことなども支援材料となり、米国時間にかけては、高値109.96まで上値を伸ばしました。もっとも、米市場休場(プレジデンツデー)で市場参加者に乏しく、心理的節目110円乗せには至らず。本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では109.94近辺で推移するなど、1日の値幅(高値と安値の差)は僅か24銭に留まりました。
昨日のユーロドル相場は安値圏で一進一退。中国株の上昇を背景にリスク選好ムード(ドル売り)が広がる中、欧州時間朝方には、一時1.0851まで上昇しました。しかし、欧米貿易摩擦の激化懸念やドイツを巡る政局不透明感、ECBによる追加緩和観測重石となると、米国時間にかけて、1.0829まで反落しました(先週末金曜日に記録した約2年10ヶ月ぶり安値1.0828には1pts届かず)。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では1.0833近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、2/12には一時110.14まで上昇しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンド、109.70近辺に控える強力なチャートポイント(添付チャートの赤色水平線)を全て上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(但し、現在は110円を下回る水準で推移するなど、110円台での上値の重さも意識される状態)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク(パンデミックリスク)、F英合意なき離脱の再燃リスク、G米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です(中国による大規模な景気下支え策・金融緩和策が一時的に市場に楽観ムードを与えていますが、持続性には疑問が残ります)。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。本日発表される一連の米経済指標(2月ニューヨーク連銀製造業景況指数や、2月NAHB住宅市場指数など)が冴えない結果となれば、「米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路で、ドル円が再度押し下げられるリスクも想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果、三連休明けの米国勢の動きを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目110円や、年初来高値110.30をバックに戻り売りが強まる展開を想定)。
本日の予想レンジ:109.50ー110.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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